炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

十和田石の余話

2011-08-27 08:33:44 | Weblog
 五年ほど前になるが、十和田石のことをこの炉端での話題に書き留めた。
最近になって、この十和田石について問い合わせがあったので、余話を残しておきたい。

 十和田石の採掘の現場を訪れたことは、五年前のブログに書いてある。まだ採掘には充分余裕があると現場の所長から説明があった。多分50年ぐらいは持つだろうとのことであった。
十和田石を知るきっかけとなった伊豆若草石の採掘現場に行く機会が三年ほど前にあった。ここはすでに掘り尽くしたようで、かって切り出した在庫品のみしか扱っていない。いたしかたなく現場に残された伊豆若草石の破片をいただいてきた。
伊豆若草石はまぼろしとなっている。

 筆者も風呂場の改装に十和田石を用いた。水きりのための勾配は1/50にする。
十和田石はダイヤモンド・カッタで切り出しているから、きっちりした寸法になっている。そこで石と石の間には目地を入れないことにした。標準寸法はかなりおおきいから難しい工法が必要であった。
この工法は筆者の企業秘密?にしておきたい。
立て張りには、十和田石は用いずに、磨き花崗岩にした。立て張りには汚れがつきやすいと判断したからである。
施工した本人の満足度は85点である。微妙な寄せ勾配を行ったので水はけもよく、家人からは素晴らしいとの評価を得ている。

 知人の医師の奥さんが風呂場で転倒して骨折したので、風呂場を改装したいという。聞くところによると床はタイル張りとのことであったので、十和田石を床張りにしてはどうかと薦めた。十和田石は水を含んでも滑らない。しっとりと足にまつわりつくような感触になる。
 知人の医師は、さっそく十和田石を取り寄せて風呂場の床張りにしたといい、確かに優れものだという。施工業者は十和田石を初めて扱ったという。
三年ほど前のことであった。

その後、この知人の医師の奥方に会うごとに、十和田石張りの風呂場のことを聞いた。滑らなくなっていいが、汚れやすいという返事であった。筆者は、多孔質の石だから汚れは残るかもしれませんね、と答えていた。
今年2011年6月にこの現場を拝見する機会があった。素晴らしい風呂場である。多分2坪(約6平方米)はあり、窓越しに農作物を植えた畑が見渡せる。バスタブも大きい風呂場には全面にわたって十和田石がしきつめられている。しかしこの施工には問題があることがすぐにわかった。
石と石の間には、目地が入れてある。見たところ5ミリ程度だろうか。しかもその目地は、石の表面から下がっているから、ここに汚れがたまることは間違いない。
そこで汚れがつかないようにするために目地を埋めることを薦めた。さらに表面をなだらかにするため、業者にお願いして十和田石の表面をサンダーがけすればいいのではないかとも進言した。目地と石の表面を同一面にするのである。
このサンダーがけは筆者の経験によるものである。十和田石の表面は、施工当時とほぼ同じように、美しくもどる。

十和田石を風呂場に施工する場合、目地を入れない工法を行うことを筆者の経験として推奨しておきたい。
(農)

 筆者の改装施工による十和田石張り風呂場
(壁板は檜、柿渋の塗装、板の背面は湿気抜き空間層を設置、これを太陽光電池を用いて強制換気)

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