炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

ハエトリソウのこと    -炉端老人の手紙-

2012-08-06 05:58:54 | Weblog
 つい先日、この炉端老人を尋ねてくれたとき、「植物と動物の違い」について話しをした。
これについて、応さんから植物の細胞でも電気が流れて動作するハエトリソウがあるというコメントがあった。
 そこで、ハエトリソウについて少しばかり調べてみたので手紙を書いておくことにしよう。

 ハエトリソウは、北米大陸の米国に原産地がある。やせた土地に繁殖していることから、ムシを捕食してハエトリソウに必要な栄養素を取り込んでいるのだそうだ。ムシを捕まえるために葉の上に尖った数本のハリのようなセンサーがある。このセンサーにムシがさわっても一度だけでは葉が閉じることはない。二十秒程度の間に、さらにセンサーにふれるとセンサーが感知した葉がパタンと素早く閉じるという。
 ハエトリソウが、動物のような動作で葉を閉じるためには大きなエネルギーがいる。一度だけセンサーにふれただけでは動作しないようになっているのだそうだ。

 NHKのラジオ放送に「夏休み子ども科学電話相談」があるが、これを聞いたことがあるかな。今年の8月2日の放送でもハエトリソウの電話相談があった。この老人も思わず聞き入ったものだ。どこの園芸店でもハエトリソウは手にはいるそうなので、さっそく近くの園芸店をのぞいてみたら数百円程度で売っている。
 電話相談でも、葉が閉じるのには大きなエネルギーがいるから、面白がってセンサーをつついて葉を閉じさせることを何度もやっていると葉が枯れるそうだ。場合によってハエトリソウ全体が枯れてしまうこともあると放送では解説していた。それほど高価な植物でもないから、お小遣いで買ってきて観測するのも、いい勉強になるだろう。

 さてハエトリソウには動物の神経細胞と同じような細胞があるだろうか。この老人が調べた範囲だが、細胞に電気が流れることは確からしいが、どうも仕組みは違っているようだ。動物の神経細胞の中に電気パルスが伝わるのと同じではないように思われる。最近になって学術的な研究が行われた論文もある。その論文を読んで見たいところだが、残念ながら手に入りにくい。ハエトリソウにどのような電気が流れて動作するのか、調べてみるのも面白そうだよ。

 種の起源で進化論に大きな波紋をもたらしたチャールズ・ダーウィンも、このハエトリソウには大変に興味を持ったことがインターネットを調べるとうかがえる。この老人の想像だが、ダーウィンもハエトリソウの進化が動物の進化とどのようにかかわりがあるのか、大いに悩んだのではないだろうか。
 どのように考えても動物と植物の進化の過程の中で、ハエトリソウが動物と分化したわけではない。動物が先に存在して、その後にハエトリソウが発生しなければ、動物を補食する説明はできない。そうであるとすれば、ハエトリソウと動物の進化は別の経過をたどっているはずである。
どのような進化の過程があったのかは未解決かもしれない。しかし現在進められているDNAの研究などによって進化過程も明らかにされると、この老人は考えている。

 前回訪問してくれたときに、「動物には神経細胞があり、その中を電気パルスが伝わるようになったことが植物とは決定的に違う界をもたらした」といったが、ハエトリソウのことをよくよく研究することで、この老人の発言の真偽が明らかになるかもしれない。
 次世代をになう君たちのような中学生、ハエトリソウのようなことに科学的な疑問をふくらませて、人類に貢献するような仕事をしてほしい。

 暑い夏休みのことだから、熱中症にならないように気をつけ、体も鍛えて元気に過ごしなさいね。
(脳)