素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

ナウマンゾウの絶滅原因を探る(20)中本博皓

2020年05月15日 08時33分38秒 | ナウマン象と日本列島

   ナウマンゾウの絶滅原因を探る(20)

     

  絶滅したナウマンゾウのはなし(第三話)

 

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 もう一つの原因として、麻柄は「環境変化(寒冷化)説」を取り上げています。後期更新世終わり、最終氷期の期間で、凡そ4万年前頃から3万年前頃にかけて、日本列島の気候は急速寒冷化に向かいました。

 2万数千年前の最寒冷期には、平均気温が現在より8℃ほど低かったいうのです。古気候の急激な寒冷化によって、ナウマンゾウが大きな気候変動のストレスをけたことが絶滅の原因の一つではないか、と推測できなくありません。極寒の環境に適応でないまま、日本列島のナウマンゾウやヤベオオツノジカは絶滅に向かったという説もありす。

 しかし一方では、前節で述べましたが、最終氷期の末頃、1万2000年前頃には、日本列は湿潤な気候で、かなり高温で現在よりは2℃ほど高かったので海水準も上昇していた、とう説もあるのです。

 絶滅したナウマンゾウの先祖は、15万年前のリス氷期の最寒冷期に種(しゅ)を絶やすことなく生き延びられたのに、最終氷期には、なぜ適応できなかったのか、その納得のいく答えが見つからない限り、環境変化(気候変動)説を大量絶滅の原因と決定づけることには無理があるのではないか、と慎重論の立場をとる専門家も多いのです。

 ナウマンゾウが絶滅した原因は一つだけではなく、寒冷化や温暖化といった極端な気候変動あるいは気象危機、そして人類の拡散と繁殖、すなわち急激な人口増大など人類の関与がさまざま形で複合して、日本列島の生態系に与え続けたストレスが無視できない原因なのではないだろうか、わたしにはそうも考えられます。

 ちなみに、忠類の12万年前(或は30万年前)のナウマンゾウが発掘された層準から昆虫化石や花粉化石もたくさん発見されているように、素人目にはナウマンゾウを絶滅に追いやるような恐ろしいウイルスだって、絶滅原因となり得ると考えられなくはないと思えるのです。