素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

ナウマンゾウの絶滅原因を探る(14)中本博皓

2020年05月03日 19時19分40秒 | ナウマン象と日本列島

    ナウマンゾウの絶滅原因を探る(14)

 

 絶滅したナウマンゾウのはなし(第二話)

 過剰狩猟仮説(その2)

 前にも一度引用したことがあるネイチャーの記事に、後期更新世の末期、1万3000年前~1万年前、その前後に起こった最大級のミステリーの1つは、大型獣の絶滅が急増したことだ、という記事がありました。

 「大量絶滅の原因の1つは、北アメリカに新たに進出した人類がマンモスや野生のウマなどを捕り尽くしてしまった」と言うもので、人類による過剰狩猟を行った結果と言うことになります。

 ところが、最近のR・D・ガスリーによる炭素14 (14C)測定では、「600を超える獣・人骨の年代が新たに測定され、絶滅の要因は自然の気候変動などほかにあることが示唆された」、と言うのです。つまり、人類の過剰狩猟ではないというのです。となりますと、絶滅原因を探る作業は大変至難なことになります。

 小生は、ゾウ類のような大型草食獣の人類による過剰狩猟仮説には疑問を持っています。ただ、遺跡を振り返ったとき、旧石器時代にさまざまな狩猟具が考案されていたことを思いますと、狩猟の難しさを考えさせられますし、過剰狩猟が容易いことではないことが分かるのです。

 考古学のレベルが非常に高水準になっており、しかも狩猟具のイノベーションとその効果を研究する「実験考古学」の分野が進んでいるのにはとても驚いています。

 佐野勝宏(東北大学東北アジア研究センターの教授)氏の論稿の一つに、「先史時代の狩猟具研究」(『東京大学総合研究博物館ニュースVol.20 /No.2』)がありますが、最近、「考古学における先史時代の狩猟具研究が盛んだ」として、これまでは、「狩猟具先端部に利用される石製の尖頭器は、その時々のスタイルを強く反映するため、考古文化の編年・分布論研究の素材として、旧石器考古学研究の分析対象の中心」だったが、現在は、「先史時代狩猟採集民の生業復元へと関心が移行し、更に研究の多様化が進むと、狩猟具研究は旧石器考古学における多様な分析対象の1つに過ぎなくなる。ところが、この数年程で狩猟具研究は再び注目を集め始め、国際誌でも頻繁に議論される」ようにもなったと指摘しています。

 とくに、投槍器や弓を用いた投射技術を複合的投射技術の進歩、狩猟具のイノベーションが日本列島においては別としても、北米に進出した人類が遠隔射撃を可能にした投槍器や弓矢など複合技術で大型獣を射止める技術を磨いたことは、過剰狩猟説の一端を担う面があったのではないか、先史時代の狩猟技術の今後の研究が重要になるように思います。