絶滅した日本列島のゾウのはなし (Ⅱ)
—消えたゾウたち、その謎を追う―(2)
2.マストドンってほんとにゾウの仲間?
センダイゾウ(その2)
マストドンの臼歯化石は、瘤状歯と言って丁度「瘤(こぶ)」のような歯が3列ないし4列並んでおり、われわれが知るゾウやステゴドン、あるいはマンモスの臼歯とは似て非なる歯型をしているのが大きな特徴です。少し丸みがかった、しかも非常に丈夫そうな歯冠を持つ歯が並んでいます。
仙台科学館等に展示されているセンダイゾウ(Sinomastodon Sendaicus)の臼歯を見ましても分かりますが、相当大きな樹木でも、また硬く太い枝葉であっても、容易にかみ砕いてしまうことが可能であると考えられます。既述のように、マストドンは日本などアジア大陸から欧米の大陸、そしてアフリカ大陸等まで世界的に広く生息していたことが明らかになっています。
また、古生物学者の研究に依拠しますと。ゾウ類の生息していた時代は、4000万年前にも遡ります。日本列島の場合は定かではないのですが、ナウマンゾウは歴史は浅いのですが30~40万年前から、アメリカ大陸のアメリカマストドンと同じく約1.1万年前まで生息していたと考えられています。
ところで、前回(Ⅱ)の(1)で触れたわが国における「センダイゾウ」ですが、第四紀以前の日本列島に生息していた長鼻類の仲間で、専門家によりますと、鮮新世のZygolophodonあるいはSinomastodonのことで、日本では「センダイゾウ」として扱っています。
中新世後期から前期更新世のアジア、中でも中国、日本、インドネシア等に生息していたと考えられている、絶滅してしまったゴンフォセア属(ゾウの遠い親戚のような関係にある大型哺乳類で、シャベルのような顎を持っていた、と言う古生物学者もいます。ゴンフォセアは米国テキサスにいたと言う説があるくらいで確かなことは分かっていません)に入るゾウ目の一つで、一般に「マストドン」と呼ばれています。それが、たとえ近縁種であれ日本列島に生息していたというのですから驚きです。
そのマストドンですが、英語でMastodonまたはMammut(マムート)とも言いますが、一般には「ゾウ目マムート科マムート属」に属し、大型の哺乳類の総称として使われて来ました。いずれにしても原始的なゾウ類と言うか、長鼻類であることからゾウの仲間として、またマンモスや現生のゾウに似ていることから、専門家の間でもゾウの仲間と見られてきたようです。
いろいろ進化をしているのですが、既述のように、約4000万年前から11000年前まで生息していたという説もあります。これは余談ですが、いまは子どもでもマストドンに馴染んでいると聞いてびっくりしたことがあります。
よく聞いてみますと、マストドン(Mastodon)とはミニブログを提供するフリーソフトウエアで、そのソフトを提供するSNSのことだ、ということが分かりました。古いことばかり扱っていますと、時流に乗り遅れてしまうようです。
本筋に話を戻しましょう。マストドンと言う絶滅した動物のことですが、大きさは背丈が3.6から5.3mぐらいあったそうです。現在動物園で飼育されているアジアゾウによく似ていたと推測されています。
アジアでは、中国でいくつかの種が発見されているようです。知られているのは中国山西省の中新世後期と鮮新世初期に生息していたゾウ目に入る長鼻類のようです。
資料(「文献」等は、これまで通り後でまとめて掲載します)によりますと、シノマストドン・ハンジャンゲンシス(S.hanjiangensis)で、〈中国産〉シノマストドン(”Chinese ”Sinomastodon)種だそうです。上顎、下顎、歯、牙、その他の化石が鮮新世(533万年前~258万年前)の堆積物から発見されています。
日本では1924年に「記述」されており「センダイゾウ」(学名:Sinomastodon sendaicus)のことで、鮮新世前期の種で、シノマストドン・ビュミアジュエンシス(S. bumiajuensis)と同様の「属」に帰されるようです。この一連の事情は大変複雑で難しいです。さらに調べる必要があるように考えています。
しかし、日本では近年、松本彦七郎が1924に名付けたのと同様に、別属を立ててテトラロフォドン・センダイゾウ(Trilophodon sendaicus )とする説が有力です。サイズはそれ程大きくはなかったようです。後のアケボノゾウよりが背丈は高く2.5mくらいあったと言われています。
亀井節夫(1925ー2014)は、論文「日本の長鼻属類化石とそれ以降」(2009)の222頁に「付記」を設け、「センダイゾウ ”Trilophodon”sendaicus Matsumoto 1924 について」、詳述しています。前シリーズ「絶滅した日本列島のゾウのはなし(Ⅰ)の(26)でも扱いましたので、本稿では少しだけ触れておきます。
—消えたゾウたち、その謎を追う―(2)
2.マストドンってほんとにゾウの仲間?
センダイゾウ(その2)
マストドンの臼歯化石は、瘤状歯と言って丁度「瘤(こぶ)」のような歯が3列ないし4列並んでおり、われわれが知るゾウやステゴドン、あるいはマンモスの臼歯とは似て非なる歯型をしているのが大きな特徴です。少し丸みがかった、しかも非常に丈夫そうな歯冠を持つ歯が並んでいます。
仙台科学館等に展示されているセンダイゾウ(Sinomastodon Sendaicus)の臼歯を見ましても分かりますが、相当大きな樹木でも、また硬く太い枝葉であっても、容易にかみ砕いてしまうことが可能であると考えられます。既述のように、マストドンは日本などアジア大陸から欧米の大陸、そしてアフリカ大陸等まで世界的に広く生息していたことが明らかになっています。
また、古生物学者の研究に依拠しますと。ゾウ類の生息していた時代は、4000万年前にも遡ります。日本列島の場合は定かではないのですが、ナウマンゾウは歴史は浅いのですが30~40万年前から、アメリカ大陸のアメリカマストドンと同じく約1.1万年前まで生息していたと考えられています。
ところで、前回(Ⅱ)の(1)で触れたわが国における「センダイゾウ」ですが、第四紀以前の日本列島に生息していた長鼻類の仲間で、専門家によりますと、鮮新世のZygolophodonあるいはSinomastodonのことで、日本では「センダイゾウ」として扱っています。
中新世後期から前期更新世のアジア、中でも中国、日本、インドネシア等に生息していたと考えられている、絶滅してしまったゴンフォセア属(ゾウの遠い親戚のような関係にある大型哺乳類で、シャベルのような顎を持っていた、と言う古生物学者もいます。ゴンフォセアは米国テキサスにいたと言う説があるくらいで確かなことは分かっていません)に入るゾウ目の一つで、一般に「マストドン」と呼ばれています。それが、たとえ近縁種であれ日本列島に生息していたというのですから驚きです。
そのマストドンですが、英語でMastodonまたはMammut(マムート)とも言いますが、一般には「ゾウ目マムート科マムート属」に属し、大型の哺乳類の総称として使われて来ました。いずれにしても原始的なゾウ類と言うか、長鼻類であることからゾウの仲間として、またマンモスや現生のゾウに似ていることから、専門家の間でもゾウの仲間と見られてきたようです。
いろいろ進化をしているのですが、既述のように、約4000万年前から11000年前まで生息していたという説もあります。これは余談ですが、いまは子どもでもマストドンに馴染んでいると聞いてびっくりしたことがあります。
よく聞いてみますと、マストドン(Mastodon)とはミニブログを提供するフリーソフトウエアで、そのソフトを提供するSNSのことだ、ということが分かりました。古いことばかり扱っていますと、時流に乗り遅れてしまうようです。
本筋に話を戻しましょう。マストドンと言う絶滅した動物のことですが、大きさは背丈が3.6から5.3mぐらいあったそうです。現在動物園で飼育されているアジアゾウによく似ていたと推測されています。
アジアでは、中国でいくつかの種が発見されているようです。知られているのは中国山西省の中新世後期と鮮新世初期に生息していたゾウ目に入る長鼻類のようです。
資料(「文献」等は、これまで通り後でまとめて掲載します)によりますと、シノマストドン・ハンジャンゲンシス(S.hanjiangensis)で、〈中国産〉シノマストドン(”Chinese ”Sinomastodon)種だそうです。上顎、下顎、歯、牙、その他の化石が鮮新世(533万年前~258万年前)の堆積物から発見されています。
日本では1924年に「記述」されており「センダイゾウ」(学名:Sinomastodon sendaicus)のことで、鮮新世前期の種で、シノマストドン・ビュミアジュエンシス(S. bumiajuensis)と同様の「属」に帰されるようです。この一連の事情は大変複雑で難しいです。さらに調べる必要があるように考えています。
しかし、日本では近年、松本彦七郎が1924に名付けたのと同様に、別属を立ててテトラロフォドン・センダイゾウ(Trilophodon sendaicus )とする説が有力です。サイズはそれ程大きくはなかったようです。後のアケボノゾウよりが背丈は高く2.5mくらいあったと言われています。
亀井節夫(1925ー2014)は、論文「日本の長鼻属類化石とそれ以降」(2009)の222頁に「付記」を設け、「センダイゾウ ”Trilophodon”sendaicus Matsumoto 1924 について」、詳述しています。前シリーズ「絶滅した日本列島のゾウのはなし(Ⅰ)の(26)でも扱いましたので、本稿では少しだけ触れておきます。