素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

生物と絶滅について考える(6)

2023年04月28日 16時20分00秒 | 絶滅と進化

                                               

                                                          生物と絶滅について考える(6)

 

      4.生物の絶滅原因

     1)恐竜の絶滅原因

     以上、前回掲載分

 

     2)古代ゾウの絶滅原因

     恐竜の絶滅原因については前回も述べましたが、白亜紀末の6600万年前のメキシコのユカタン半島北部のチュチュラブ(チチュルブとも言う)に巨大な隕石が激突したことで、恐竜が絶滅したと言われています。それが恐竜の大絶滅とか大量絶滅の有力な原因と考えられています。

   地球生命史上最大の大量絶滅となりますと、5大大量絶滅の3回目にあたる約2億5000万年前のペルム紀末の大量絶滅で、90%以上の種が絶滅したといわれていますが、その絶滅の原因は「火災」ではないかと言う説がこのほど(2023年4月)山口大学大学院創成科学研究科の斉藤諒介氏らの研究グループによって国際的な科学誌「Nature  Communications」に発表(掲載)されて、注目を集めています。白亜紀末の恐竜絶滅にしましても、メキシコのユカタン半島に落ちた巨大隕石も、広大な地球上に莫大な隕石雨を降らせ火山の大噴火を起こし、地球上が火の海となって大量絶滅に至ったことも考えられるのです。

    恐竜の絶滅については、以下、このブログ(「生物と絶滅について考える(6)」)で取り上げている「古代ゾウの絶滅原因」を考える上でも大変参考になる内容なのです。

    新生代新第三紀中新世前期から第四紀更新世前期(2300万年前から100万年前)には、アジア大陸、欧州大陸、アフリカ大陸などに生息していたゾウ目で、絶滅したゾウの仲間「デイノテリュウム(Deinotherium)」について少し考えてみます。

    ゾウの仲間の祖先には、新生代古第三紀始新世後期(3700万年~3500万年前)のことですが、モエリテリウム(Moeritherium)という今日のバクやコビトカバに似た形態のゾウの祖先が生息していたといわれていますし、また前述のデイノテュュウムと同時代ですが、新生代新第三紀中新世前期~第四紀更新世前期(2300万年から100万年前)には長鼻目(ゾウ目)のゴンフォテリウム(Gomphotherium)が生息していました。

     これらに共通するのは、名前にテリウム(therium)が付いていることです。てりは、ギリシャ語起源のラテン語で「動物」に付けられることが多いようです。意味は動物の意味、獣の意味で使われています。

    ゾウの仲間のディノテリウムの目は、「長鼻目」または「ゾウ目」です。科はディノテリウム科、属はディノテリウム属です。特徴的な形態として、下顎にナイフのような2本の20cmくらいの長さの牙が前にではなく、後ろに向いて伸びています。草などの根っこや低木の小枝を手前に引っかけるように刈り取ることで、短い鼻でやっと口に運ぶことが出来たようです。

     ゾウ目の仲間は挙(こぞ)って臼歯(奥歯)で掏り潰すようにして大量の餌を日がな一日食べていますから、歯が生え替わらないと十分に餌を摂ることが出来ず滅びてしまいます。中でもディノテリウムの場合、歯が生え替わらず弱かったために絶滅に追いやられたのではないかと考えられるのです。 

    それでもディノテリウムは、更新世前期には絶滅しましたがゾウ目の仲間の祖先の一種としては新生代新第三紀中新世前期から第四紀更新世前期(2300万年前から100万年前)まで代々子孫を育んだ種だったと言えます。

     また、新生代新第三紀中新世後期にプラティベロドンと名付けられたゾウの仲間がおりました。このゾウの形態の特徴は、上唇と鼻が一つになったような形をした大きく発達した鼻と、下顎がシャベルと言うかスコップのような特徴的な形態で、長くしかも太く発達した特殊な顎を有しており、その下顎の先に大きな扁平(平べったい)の前歯が2本、シャベルを並べたように生えていました。水草などの餌をすくい上げるのに便利な牙を持っていました。中には上の顎にも左右2本の牙があり、上下4本を持つプラティベロドンもいたようです。しかし、顎が重すぎて餌を十分に摂ることも出来ず次第に滅びたと言う専門家(今泉忠明監修、丸山貴史著『わけあって絶滅しました』)もおります。

 

     3)生物の絶滅原因

   『絶滅動物図鑑』及び専門家の先生方の諸説によりますと、人類の歴史は地球の長い歴史と比べると非常に短いため、われわれ人類は大きな環境の変化は経験していません。しかしながら、数百万年~数千万年という長い年月を遡りますと、気候変動など自然環境の厳しい変化が起こっておりました。

   特に、6600万年以降も地球上の至る所で火山の大噴火があり、それによって闇夜のような毎日が連続し、それが地球上の気候変動をもたらし、生息していた哺乳動物や植物を絶やすことも多かったと考えられます。

     気候変動の中でも急激な気温の低下が寒冷化をもたらし、それによって植物が育つことができなくなることも多かったのです。そのため、ゾウ目などの大型の草食動物が死滅した時代があったと推測できます。一方、草食動物を餌にしていた多くの肉食動物もまた絶滅に至ったと考えられます。絶滅原因は、この他にもウイルスなど伝染病なども考えられますし、人類の登場により、種の絶滅は多様化したとも考えられます。過剰な狩猟、森や原野の破壊的な開発による急激な減少をもたらし、動植物の種を絶滅させて来ているのです。

 したがって、絶滅原因を一つに絞りこむことは難しいように思います。このシリーズの締め括りとして、山形大学医学部が発表した「野生生物種の絶滅」の中から、以下に数行を引用させてもらいます。

   《恐竜時代以降、1年間に絶滅した種の数を調べてみると、恐竜時代は1年間に0.001種、1万年前には0.01種、1000年前には0.1種、100年前からは1年間に1種の割合で生物が絶滅しています。絶滅のスピードはますます加速され、現在では1日に約100種となっています。1年間になんと約4万種がこの地球上から姿を消しているのです。驚くべきことに、たった100年で約4万倍以上のスピードになっています。そして現在もなおそのスピードは加速を続け、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまう計算になります。》

 終わり。