ナウマンゾウの絶滅原因を探る(21)
絶滅したナウマンゾウのはなし(第三話)
絶滅原因論しめくくり(その1)
たまたまなのですが、数年前の American Association for the Advancement of Scienceを見る機会がありました。その中に、大型獣の絶滅に関する新しい研究の話が載っていましたので、拾い読みをして見ました。
それによりますと、人類との出会いが絶滅原因と言うよりも、後期更新世における大型獣の絶滅原因は、気候の変動が大きかった、とする説が有力であることが記されていました。
もちろん研究者の中には、人類の狩猟や土地改良を絶滅要因と見る科学者も多いことも確かだが、気候変動を指摘する研究者も多いと言うのです。あまり詳しいことは不勉強で解らないのですが、Alan Cooper(1966-)と言う分子進化論分野の学者がおります。
彼は、ニュージーランドの「進化分子生物学者」であり、 彼は古代DNAの分野で重要な研究者として知られた存在だそうです。彼は、この分野における初期の発見、研究の多くに関与している科学者の一人です。
Alan Cooperらによりますと、古代の大型獣のDNAを5万年ほど遡って調べた結果から、間氷期の初期の急速な温暖化が、大型獣の絶滅に密接に関係している、と言うのです。大型獣の絶滅要因としては、人類の狩猟の影響はむしろ付随的な原因で、広い意味で天変地異と言いますか、気候変動が関係していたと見なしていると言うのです。
わたしは、これまで素人なりに考えて来たのですが、ナウマンゾウが人類と出会い、不幸な過剰殺戮的な狩猟に遭い、絶滅したと言う説はどうも納得できないのです。気候変動と言いますか、気候変動を広い意味に解釈して、巨大噴火などの影響をも含めて考えることの方が絶滅原因としては、わたしには納得できる余地があるのです。
また、物理的ストレスとともにウイルスなどの生物的ストレスが大型獣の絶滅原因を探る上では重要なのではないか。そんな見方をしています。以下、わたしの見方を述べて本稿のしめくくりにします。