素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

ナウマンゾウの絶滅原因を探る(15)中本博皓

2020年05月06日 21時14分26秒 | ナウマン象と日本列島

      ナウマンゾウの絶滅原因を探る(15)

 

 絶滅したナウマンゾウのはなし(第三話)

 ナウマンゾウの過剰狩猟はあったか(その1)

 前節でも述べましたが、素人考えで、突飛なことかも知れませんが、発掘されたナウマンゾウの化石を一つ一つ調べることで、もし化石骨に刻まれた石器による傷跡から石器の種類が特定出来れば、狩りされた時代、年代の違いが判るのではないかとも思うのです。

 それによって専門家の先生方なら、どのくらいの頻度でナウマンゾウの狩りが行われていたかを推察することも可能なのではないか、などと考えています。

 確かに、野尻湖の立が鼻遺跡や周辺の杉久保遺跡からは、野尻湖人(旧石器人)が大型動物の狩猟に用いたと推定されるナイフ形石器や先端が鋭利に尖った槍用の尖頭器、弓矢の矢じりなどの石器が多数発見されています。

 狩猟用のナイフ形石器は野尻湖周辺の遺跡からだけではなく、広く中部地方や関東地方など、東日本の遺跡から多くが出土していることも分っています。

 前回も佐野勝宏氏の「複合的狩猟技術の出現」を参照させて頂き、とくに「新人のイノベーション」について触れましたが、旧人の段階においても使われていたナイフ形石器は、一時代を形成する文化(ナイフ形石器文化)となっていたようです。

 人類が大型獣を狩猟するための用具において大きな進化を示したのは遠隔狩猟を可能とする狩猟具の発明と言いますか、革新に成功したことだろうと考えられます。新人の段階における狩猟具のイノベーションだったし、人類が大型獣を狩りするコストパフォーマンスを高めるようになったのも遠隔狩猟を可能にしかことにあるのは確かだと思います。

 日本における先史時代末の狩人が、ナウマンゾウなど大型動物の狩猟用として用いたナイフ形石器や投槍などの発達は、後期旧石器時代(3万5000年前に始まり、縄文時代に移行する約1万5000年前)の後半期(2万9000年前~1万5000年前)だったと考えられます。

 中でも2万9000年前頃から1万7000年前頃に非常に多く作られ、使われていたことが、多くの遺跡から出土していますので、考古学の分野ではよく知られているように思います。