素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

人種とは・日本人の昔を探る(16):中本博皓

2020年07月31日 10時11分29秒 | 人種とは・日本人の昔を探る

    人種とは・日本人の昔を探る(15)

 

 日本人の昔を探る(その2)

 (1) わたしが「日本人」であるのは

 「日本人の昔を探る」と題して、素人による「旧石器時代考」を漫然と綴ってきて、ふと気づいたのですが、「日本人の昔」とは、どんな意味なのか、とくに「日本人」については、ただ漫然とではなく、少し踏み込んでおいた方がいいのではないか、そんなことを思うようになりました。

 歴史学者の先生方の考えられるような深い議論はできないのですが、ここでは簡単に「日本人」について考えておくことにしましょう。

 わたしも日本人ですが、何を以て自分を日本人である、と決めているのだろうか、ひと言触れておかなくてはならないように思うのです。

 先ずは、生まれてこのかた日本と呼ばれているこの国に住み着いていることを挙げることが出来ます。そして次に、この国の決りを定めた憲法は、「日本国憲法」であり、その憲法第10条「日本国民たる要件は、法律でこれを定める、とあります。

 ここに言う法律とは、国籍法を言います。国籍法によって日本国の国籍を有し、憲法に従って権利・義務を遂行し、行動をしている自分の存在を認識していることです。

 わたしの先人たち、つまり、いまわたしが住んでいるこの日本列島(もちろん祖先が住み着いた頃の列島は、現在と全く同じであったとは言えないと思いますが)に住み着くようになった祖先集団と彼らが生み出した文化や遺伝学でいうところのメンデル集団における個体群全体がもつ遺伝子集団(gene pool)の基層を共有していることがここでは「日本人」であると、大変大雑把ですが、そう考えておきたいと思っています。

 ところで、「日本人とは」と言うことに関しては。これまでにいろいろな分野の専門家の先生方がそれぞれの角度から言及されています。いろいろな文献に目を通しますと、分野によって、「日本人とは」という概念が違います。歴史学の先生は、日本人と言う呼び方をする場合、ヤマト王権によって統一国家ができた7世紀以降の人々についてと時代を限定して使っているようです。

 法律の分野の先生方ですと、日本人というのは、「日本国民」であることを指すことが多いようです。

 人類学分野の先生方は、余り限定的ではないようですが、人類学上の学問的な立場から、日本人とは日本列島に住んでいる人を総じて意味していることが多いようです。広く考古学や民族学分野の先生方は「日本民族」と言う意味で日本人と称していることが多いようです。

 このような見方の背景には、形質人類学者の埴原和郎(1927-2004)の「二重構造論」で明らかにされていますように混合民族国家であります。

 そして単に国籍にこだわることなく、「特定の言語や風俗・習慣などをもち、同族意識により結ばれている人々の集団」(尾本恵市(1933-)『分子人類学と日本人の起源』・1996、128頁)であり、さらには「人口の上で大多数を占めている『大和民族』のほかに、もともと日本列島に長く住んでいたアイヌ民族や琉球の民族の人々がいる」(尾本、1996)混合民族から形成されていますから、日本人とは特定の文化を有する日本民族集団と認識できると思います。