古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

「笛ふき」の絵

2010-09-02 07:20:18 | 絵画
先日宮城県美術館で久しぶりに常設の洲之内コレクションを
観ていたら、「気まぐれ美術館」を読みなおしたくなった。
昭和53年刊行で、洲之内氏が亡くなったのが昭和62年、
147点ものコレクションが宮城県美術館に収められたのが、
平成元年(1989年)ということだ。

読んでいたら、もうすっかり忘れていたのだが、{吉岡憲「笛吹き」
顛末}という章があった。仙台ホテル(今は無い)のロビーに
飾ってあった、この絵を吉岡憲遺作展を催すにあたり、画商であった
洲之内氏が借りようとしたのだが貸してくれなかったという話。
仙台ホテルオーナーもどうかと思うが、この絵だけでなく、仙台では
一枚も貸してくれなかった、というところではあきれた。
その思い出がもとで氏は仙台が好きじゃない、とはっきり書いて
おられるのだ。そういわれるとちょっと悲しい。

この画家は戦時中ジャワに行き、そこで描いた2点の絵の内の
一つがこれということだ。40X100という例外的なサイズ。
巻いて筒にし、なるべく小さくして飛行機で日本へ送られた
いうことだ。ジャワで知り合った仙台のお菓子屋さん&画商を経て
仙台ホテルに渡ったらしい。

仙台ホテル存命中にみておけばよかったのだが、ホテル閉鎖に伴い、
その絵がどこに行ったのかと思ったら、[信州デッサン館]へ
行ったそうだ。

好きでない仙台に自分のコレクションが並べられることになるとは
皮肉な話。県美術館がこの「笛吹き」を買ってもよかったのに・・
この絵を観るためにははるばる信州上田まで行かねばならなくなった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする