古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

オランダ黄金時代の巨匠たち

2016-01-29 12:09:30 | 展覧会
冬晴れの日、展覧会でもなければ足を踏み入れない六本木へ。
フェルメールやレンブラントなどのオランダ絵画を何で地上52階で
見なくてはならないのだろう、とエレベーターで運ばれながら思った。

古楽に興味が出来てから楽器がよく描かれているということもあって、
17世紀のオランダの風俗画を良く見るようになった。

フェルメールの絵が実によく日本に来るようになったのは2000年
前後であろうか・・。2000年に「真珠の耳飾」など5点来た時は
本当に信じられなかったが、それ以降は何度も美術展の目玉にされる
ようになった。

レンブラントやハルスは子供の時から画集では見ていたが、ステーン
マース、ホッホ、ライスダール、ダウ、ファブリティウス、の風俗画、
風景画、肖像画もみられてよかった。リーフェンスという画家はたぶん
初めて。「読書する老女」をみて老女が女性とは思えなかったが。

今回のダウの「窓際でランプを持つ少女」が観られたのは良かった。
ダウには「クラヴィコードを弾く婦人」という絵があり、いつか
観たいものだ。

フェルメールは一点「水差しを持つ女」。背景や小道具のバランスがよく
窓辺からの光が金色の水差しやその下の水盤にはテーブルクロスの模様が
映っている。召使にしては洋服が良すぎるの女性は何か「心ここにあらず」
の表情であるが観る者は両手の動きと水差しに集中するので女性の表情は
さして気にはならない。スカートの青色と白い被り物と肩掛けのコントラストが
とても綺麗だった。

今回の展覧会では楽器の描かれた絵画は1点のみだった。
ヨングの「ヴァージナルを弾く女性」はフェルメール初め、同じ題名の
いくつかの絵に比べるとちょっと見劣りし肖像画といった感じだった。
モデルは若い女性ではなく質素な服装の既婚夫人あった。それはいいとして
表情がちょっと冴えないのは無理やりモデルになったのか?ピンクのバラは
何を意味するのだろうか?
サイズは136cmX105cm と結構大きい。
所蔵するロッテルダム美術館のサイトへ行って画像を見つけた。



今回のもう一つのレンブラント初来日の「ベローナ」はベローナの頭と体との
バランスが悪くてこれが名画なの??と思ってしまった。
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音楽一家

2016-01-27 09:07:30 | ルネッサンス・バロック音楽
今週の「古楽の楽しみ」は音楽一家といわれる作曲家達、
一日一家族限定でも時間が少ないので選曲も大変だろう。
今回もれてしまった一家もたくさんいるので、続きを期待
したい。
今日はスカルラッティ親子水入らず。

D・スカルラッティの555の鍵盤楽曲のうち低音に数字が
ついている曲があるということを今日まで全く知らなかった。
今日放送されたのはK91。おまけに4楽章もある!旋律を
ヴァイオリンやフルートで小編成室内楽風に演奏されるようだ。
さっそく調べてみたら他に4曲、K81,88,89,90の
計5曲もあるそうだ。

imslp には K90 のソナタのファクシミリが載っていた。
ヴェニス版14巻55番 
ちょっと見づらいがわずかに数字がついている。

父アレクサンドロにはリコーダー用ソロソナタや小コンチェルトがあるが、
ドメニ子にはないものと思っていたのでリコーダーのレパートリーにも
なりえそうで嬉しい。
ざっと楽譜をみると K88には重音があるので無理としても、
他はソプラノリコーダーで吹けそうである。チェックしてみようと思う。

明日は最終日、パーセル兄弟にバッハの息子兄弟の兄弟シリーズ
。バッハの息子達のうちクリストフ・フリードリッヒは未知の
作曲家なので楽しみだ。
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タンブラン

2016-01-25 14:00:00 | ルネッサンス・バロック音楽
F.クープランクラヴサン曲集全曲のレクチャーコンサートも今年から
いよいよ第4巻に入った。会場の御茶ノ水にある、こじんまりした
チェンバロスタジオ通いもすっかり慣れ、往復する道路際の植物にも
馴染みができて季節の変化を楽しむことができる。

講師の桑形亜樹子先生は演奏活動でもお忙しい方なのに
この講座のために興味深い資料を集め、演奏も披露してくださり、
私などはただただ面白がっているばかりで楽で申し訳ない気がする。
これからF.クープランの組曲を練習する際に必ず必要になる
資料があるのはとても心強い。生かせるかはわたし次第だが。

昨日は4巻の20オルドルの8曲。弾いた事がなく、事前に
練習する余裕がなくCD演奏だけ聴いて、よし、としてしまった。
20オルドルはルイ15世のポーランド人の妃マリーの肖像から始まり、
タンブランで終わる。オルドルの曲は一見相互に関係がないように
みえる時もあり、抜粋で弾かれる事も多いが、この講座で曲の
特徴や背景を知るようになるとやはり全部通して弾くべきだと思うようになる。

「タンブラン」というとラモー作が有名だ。コンセールの中にもあるが、
ピアノでも弾かれるフレンチバロック曲のナンバーワン、だろう。
20オルドルの「タンブラン」は珍しく3拍子のタンブランだった。
普通2拍子だ。試しに調べてみたがバロックのダカン、ロワイエ、ドルネル、
オーベールの「タンブラン」はいずれも2拍子だった。ロマン派になるが
イタリア生まれでアメリカに渡ったAlfredo Barili(1854~1935)に
3拍子のピアノ曲の「タンブラン」があった。

写真はタンブランを敲き、共に吹くという縦笛 ガルベを持った
タンブラン演奏のスタイル。
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命の輝き

2016-01-19 10:32:30 | ルネッサンス・バロック音楽
今朝は早朝の「クラシック倶楽部」で舘野泉さんのピアノ、その後は
いつもの「古楽の楽しみ」でジョスカン・デ・プレの合唱曲を聴いて
充実した2時間だった。

舘野泉さんのCDについては以前のブログでも触れているが、
http://blog.goo.ne.jp/euterpeparnassus/e/c291dfc18b8735ff04f3d0ee805f3be2
今日放送のあったのは吉松隆の「タピオラ幻景」「アイノラ叙情曲」
コバの「記憶樹」などで初めて聴く曲ばかりだった。ちょうどタイミングよく
自叙伝のような「命の響き」を読んでいる最中ということもあり、本に
書かれた言葉と演奏が重なって心を動かされた。多分左手用の曲を
作曲する側も一段と気合が入っているように感じる。ピアノは両手で
弾くもので片手だけでは十分な演奏ができないと思いこんでる人に
是非聴き、読んで欲しいと思った。

今週の「古楽の楽しみ」はジョスカン・デ・プレ特集。昨日から
たくさん聴けて嬉しいことこの上なし。特集になると知らない曲も
多くてあらためて今谷先生とジョスカンに感謝したくなる。
宗教曲に劣らず世俗曲も素敵な曲が多い。
久しぶりにヒリヤードアンサンブルの「オケゲム晩歌(森のニンフ)」を聴き、
グループによりこうも違うのかと思った。木曜日は「ジャヌカンアンサンブル」による
世俗曲の数々も楽しみ。こういう「命の輝き」ともいえる豊かな音楽が15世紀
ヨーロッパにどうして生まれたのか・・・とジョスカンを聴くといつも思う。
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コンサート花盛り

2016-01-12 12:10:40 | ルネッサンス・バロック音楽
この一週間に3回のコンサート行きという贅沢な日々・・・

①まず新年初は6日の「イタリアの香り」
  リコーダー:向江昭雅、チェンバロ:平井み帆
リコーダーのレパートリーでバロック初期から後期までぎっしり
と曲があるのはイタリアだ。その中でもヴェネチアとナポリで
活躍した作曲家達のリコーダー曲はヴィルティオーゾ的な
華やかさと一度聴いたら忘れらないような甘いメロディが満載。
会場の近江楽堂には古楽のコンサートに良く行くがやはり笛類にはいい。 
リコーダー演奏の間にはチェンバロソロも入り、リラックスできる
お話も挟まれて聴く側のことも考えられたいいコンサートだった。

②9日は「対位法~宇宙の原理~第4回」
  チェンバロ:桑形亜樹子
今回はフローベルガーとバッハ
今年はフローベルガー生誕400年来年は没後350年と何と2年続けての記念年。
記念年だとコンサートも良く開かれ、普段あまり弾かれない曲を聴けるという楽しみが
ある。今回も比較的弾かれる組曲やトッカータのほかにリチェルカーレやファンタジア
もあった。中でも嬰へ調、嬰ハ調のリチェルカーレがあること自体驚きだった。
フローベルガーの魅力が今まで以上にわかってきて私もこの2年のうちに新曲に
いくつか挑戦しようという気力が湧いてきた。

③11日はヴォーカル・アンサンブル カペラの定期公演。
ヴィクトリアのミサ曲「私は美しいものを見た」の間にグレゴリオ聖歌を間に入れ
最後に同名のモテットで締めくくるという壮大なるプログラムだった。
開演前の解説でモテットの原曲がミサ曲のどの部分で使われているかという
ことを実演と共に聴かせていただいたのでわかりやすかったし、昨年末に
属する合唱団のコンサートでモテットのみ歌い、まだ隅々まで記憶していた
ので思わず一緒に口ずさみそうなのを堪えた。
会場の目黒の聖アンセルモ教会で聴くのは2回目だった。前回と同様
精緻かつ柔和なハーモニーに身を置けて ああ、幸せ~と思った。
暖房が効きすぎてあちこちで睡魔に勝てない人がいたが鼾は聴こえなかった
のでよかった。

リコーダー、チェンバロ、合唱とどれもレベルアップするにはどうしたら
よいか・・と新年にあたり考えるチャンスを否が応おうにももらってしまった

これからも行きたいコンサートがぞくぞくと。
3月16日~4月17日の東京・春・音楽祭 のミュージアムコンサート
に展覧会タイアップのコンサートが5つある。美術館内の会場なので
音響には期待できないが・・・いずれもマチネ。

★ボッティチェリ展  3・19 ヴォーカル・アンサンブル カペラ
 東京都美術館    3.27 長澤真澄(ハープ)
           3.31 平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ほか

★カラヴァッジョ展  3.28 坂本龍右(リュート)
 国立西洋美術館   3.29 アントネッロ
 


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初展覧会行き

2016-01-06 11:15:15 | 展覧会
今年最初の展覧会行きは昨年10月から開催中のプラド美術館展。
1月31日までなので今のうちに。混むかと思ったが思いのほか空いていた。
三菱一号館美術館は展示品を選ぶが、今回は比較的小さめな絵画が多く、
会場の雰囲気にも合っていた。

目当てはボスやブリューゲルにエル・グレコ、ムリーリョ、ゴヤなどの
スペイン画家やフランドルの画家であったが、初めて知る画家も多くて
興味深かった。

時代別に
①中世後期と初期ルネッサンスにおける宗教と日常生活
②マニエリズムの世紀 イタリアとスペイン
③バロック 初期と最盛期
④17世紀の主題 現実の生活と詩情
⑤18世紀ヨーロッパの雅
⑥ゴヤ
⑦19世紀 親密なまなざし、私的な領域
と展示してあり、展示方法もわかりやすかった。作品は100以上もあり、
ゴヤ以降は疲れが出てきて興味もあまりないのでほぼ素通り。

最初の部屋でもうボスの「愚者の石の除去」と
メムリンクの「聖母子と二人の天使」に対面。


私の持っている1975年発行の新潮美術文庫「ボス」ではこの絵は
「阿呆の治療」という題名になっている。17世紀までネーデルランドでは
頭の中の小石=愚か を表し、この石を取り除く必要がありと信じられ、
医者がまさに頭から何かを取り出しているがそれは「石」でなく
「花」(チューリップ?)という手品のような訳がわからぬ絵だ。医者はイカサマを
表すという漏斗を被り、見ている僧は水差しを持ち、尼僧はどういうわけか
本を頭に載せているのは何を意味するのだろうか?3人は共謀しているようだ。
背景にはよくみえないが拡大してみると絞首台が描かれてある。
絵の周りの文字は後から付け加えれた説あり。「先生、石を早く取り出してください、
私の名前はルッベルト・ダスです」と書かれてあるという。ボスがこの絵をみて
頭をかしげる人々を想像し、してやったり!とほくそ笑んでいるようだ。
1500年~1510年の作とは信じられないほどの鮮明な色が残っていた。



聖母のお顔は「奏楽天使」のリュートを弾く天使によく似ており、天使の一人は
ヴィエールの様な弦楽器を持っている。

音楽関連では楽器の絵は殆どなかったが、アルカーサルの「画家の妻」には鳥に
歌を教えるセリネットが描かれていた。



セリネットは数年まえシャルダン展でも見た。



今回「愚者の石の除去」初め多くの絵画のキャプションに「キャビネット・ペインティング」と
書かれていたが、いまいちその定義がよくわからなかった。宗教画や肖像画、あるいはスケッチ、
下絵などはその範疇にはいらないようだが、、、。
帰宅して、「西洋美術のことば案内」(高橋裕子著)をみてみると

『個人の家庭のキャビネット(小部屋、収集室)にふさわしいイーゼル画。(額縁に入り
移動可能なサイズと材料の絵画)収集熱の高まりに応じて16-17世紀に栄えた。
風俗画を初めとする世俗的なジャンルに属するものが多く、丁寧に仕上げられた
工芸品的美しさが特徴』というわけで ガッテン。

その他、印象に残った作品は
 
 20マラッティ   眠る幼子を藁の上に横たえる聖母
     
 26レーニ     花をもつ若い女
 
 42ムリーリョ   ロザリオの聖母

 52フリス     冥府のオルフェウスとエウリディ-チエ

 57テニールス2世 猿の彫刻家
               
 58ケッセル    アジア
         
 61ヴァトー    庭園での宴

 


 
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初詣と弾き初め

2016-01-02 16:52:20 | その他
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

今年の初詣は徒歩とバスに少し乗り、井草八幡宮へ。
初詣の場所は毎年決めてないのでここに初詣に来たのは
2回目。幼い時には多分来たのだろうけど聞く両親も今は
なく、どうかはわからない。娘の七五三の3歳の時に
行ったのももう30年以上前になってしまった。
初詣客で列は出来ていたが20分くらい待つだけで済んだ。
いい天気で帰りは歩いても良かったが、娘に予定があり
また行きと同じルートで帰宅。2泊3日の短い間だった
がいろいろ手伝ってもらったり相談に乗ってもらったり
出来てよかった。普段、人に頼らない生活を余儀なくされて
いるのでたまに手伝ってもらうことがあると感謝の気持ちを
思い出す。

今日は少しだけ弾き初め。先日のチェンバロ調整で「爪」の
バラつきを直してもらい、音量が増し、切れも良くなった。
この夏の発表会で弾く曲の候補を数曲練習してみたが、
決定は先送り。昨年のバッハとF.クープランの2大作曲家
は避け、幾分マイナー作曲家の曲になりそうだ・・・。

自分以外の方に弾いてもらったほうが楽器の個性がわかるので
また近くアンサンブルの会が出来たら、、と思っている。
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