ジョスカン・デ・プレの「千々の悲しみ」はルネッサンス合唱曲
としてはよく歌われるのではないかと思う。その昔天正遣欧使節が
聚楽第で秀吉の前で演奏したらしいことも定説となっているので
その種のテーマのコンサートでは必ず聴かれる。
先日、「よこはま古楽まつり」に行き、CDコーナーを覗いていたら
「Cosmography of Polyphony」という興味を惹くタイトルと寓意画が
目に入り思わず衝動買いしてしまったCD。
リコーダーアンサンブルThe Royal Wind Music によるルネッサンスの
作曲家がずらり。バッハ1曲バロックも。このCDでゴンベールによる
「千度も悔いる思いで」という曲があり、これはMille regretz つまり「千々の悲しみ」を
元にした6声の曲だった。「千々の悲しみ」という題はもう定着しているが
悲しみより悔いのほうがあっている気がした。
CD解説書には14人の演奏者が19曲をソプラノからセミコントラバスまでの
11本の楽器でどのように担当しているかを表にしてあるので、曲に使われた楽器が
わかってよい。
このCDで唯一はじめてきく作曲家がいた。
パースリー、オスバート (1511~1585)の「Spes nostra」は
テナー1、バス1、グレートバス2、コントラバス1の低音ばかりの5声で
あるが、他の曲も低音が非常に充実していて今まで聴いたことのないような
アンサンブルの妙技を堪能できた。コントラバスリコーダーよりさらに大きい
サブ・コントラバスリコーダーはYoutube で実際の演奏を見ることができる。
最後のアルフォンソ・ロポの「わが竪琴、悲しみの調べに合わせ」という曲
がよさそうだ。楽譜無料サイトには S1、S2、A1、T1、T2、B1 の6声の
楽譜が載っていた。だいぶ音域が高いが、いつか合せる機会を作りたい・・。