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古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

ターナーの映画

2017-01-10 15:07:00 | 映画
ターナーの映画DVDを借りてやっと見た。あまりに面白すぎて感想がまとまらないのだが、、。

伝え聞いているエピソードが上手く取り入れられているので伝記映画としても興味深いし、
当時19世紀前半の風俗が再現され、ローヤルアカデミーの様子(同時代の画家が勢ぞろい)
まだ珍しい写真館での撮影、産業革命による、蒸気機関車、蒸気船の登場、など新時代
を迎える生き生きした社会の中でひたすら絵に精進するターナー。私生活は謎に包まれていると
されている。2女までなしたダンビー夫人(作曲家J.Danby 未亡人)との間は冷ややかな
ものの、晩年、名前や職業を偽って亡くなるまで伴にいたというブース夫人との間には
温かい関係が築かれ、母親の愛情を知らないで育ったといわれるターナーの心の拠り所と
なったようだ。


約3年まえのターナー展にはスケッチブックも展示されていたが、実によくスケッチに
出かけている。風景画家といっても長閑な田園風景ではなく、変化し続ける一瞬を切り取った
ような絵はやはり当時の人にとっても革命的だったのだろう、評判はかなり悪かったようだ。
ターナーの絵を貶すヴィクトリア女王や茶化す芝居を観ているターナーの心の中は
いかばかりか、、、。評価などは気にせず自分の信念を貫いた幸せな人といえるだろう。

ターナー役俳優はメタボで最初は目が慣れなかったが、やがて迫真の演技で気にならなく
なった。脇役の女中や後に妻となるブース夫人や、父親役も素晴らしい演技だ。それにもまして
カメラワークが無駄なく息をのむ美しさだ。

英国では国民的画家は「ターナー」、国民的作曲家は「パーセル」と言われている。
映画の中でもパトロンのエグリモント伯爵邸(ペットワースハウス)でパーセルの有名な「ダイドーとエネアス」
の「私が大地に横たわるとき」が歌われる。伯爵の娘のピアノ伴奏で歌うのは何とターナー。
歌は態々たどたどしい感じを出していたがそれが返って切々と訴えるものがあった。

ところで近く20ポンド札がターナーの図柄になるということだ。
有名な若い時の自画像が元になっている。Wikiによれば実際のターナーはこの自画像
とはかけ離れていた容姿だったらしい。映画の俳優の容姿の方に近いのかも!
ターナーを日本に紹介したともいえる、漱石は1000円札になったし、お二人とも後にお札になるとは
思いもよらなかっただろう・・・。




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人生の終焉

2015-10-27 07:42:40 | 映画
ホトトギスが夏からずっと咲き続けている。子供の頃はこの花の
斑点が気持ち悪くて嫌いだったが、年を取るにつれ、花の好みも
変わってくる・・。

いつ頃からか「○活」という言葉が普通に使われるようになった。
「しゅうかつ」も「就活」だけだったのが「終活」という変な
言葉が加わリ、今やよく目にする言葉となった。

私の「終活」は ここまで生きてきて無駄と思えるものを排し、
残された日々を活き活きと過ごし、最後の時を平安な気持ちで迎え、
家族や周りの人が途方にくれないよう、たしなみよくしておく
のが理想なのだが、はたしてどうなることやら・・。

高齢者が主人公の、考えさせられた映画3作
「野いちご」「母の身終い」「愛・アムール」

「野いちご」はいわずと知れたベルイマン名作で、
昔映画館で観た時は若かったこともあって正直あまり理解出来なかった。
今40年ぶり位に観ると主人公の年齢に近づいてきた
せいもあるし、夢と現実、回想場面と現在場面の転換など、
映像ならではの心象風景の表現の魅力にあふれた映画で
あることがわかった。恵まれた環境や社会的地位のある主人公は
家庭生活には少し破綻があったもののかなりの知識人。
「母の身終い」の主人公とは境遇からして何もかも
かけ離れている。

「母の身終い」は2013年封切りの「安楽死」という
重いテーマのフランス映画。話題になったので内容を少しは
知っていて観て楽しくなる映画であるはずはないのだが、
こういう最後を選択するまでの心の葛藤や「安楽死」を
合法とするスイスの施設のことがあまりにもリアルに淡々と
描かれてフィクションのような気がしなかった。不治の病を得た
とはいえまだ日常生活を一人でできるような老女が早まって
死を選択してしまったように思えてならなかった。
息子との関係が悪いということも一因ではあるが。

自分で人生の終わり方を決める時期というのは衰えてからでは
出来なくなるので延命治療を行わない尊厳死はよいと思うが安楽死
(というが実際は自殺幇助を受ける)となるとやはり生を受けた
のだから命の期限をを自分で決めてよいのか悩む。後味の悪い
映画であった。

同じ頃製作されたフランス映画「愛・アムール」も考えさせられる
映画だった。老老介護の過酷さが最悪の結末を生んでしまうが
主人公の思いもよくわかり、やむを得ないという気にさせられる。
それを考えると将来を見据えて早めに自分の始末をつけてしまう
という安楽死を選ぶ人が増えていくのだろうか?


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映画と展覧会の2本立て

2015-10-16 08:41:40 | 映画
ルイ14世没後300年に映画「王は踊る」とはまた別の音楽映画を
期待していたのだが、「ヴェルサイユの宮廷庭師」という興味をそそられる
映画が先日封切られた。イギリス映画。

観る前にヴェルサイユに関する本でも読んで少し知識を得ておこうと
調べてみたら丁度よさそうな本があった。それも「庭師が語るヴェルサイユ」
ぴったりではないか・・。早速図書館から借りてきた。
この本は2006年に出版され、翻訳は2014年3月にでている。著者は
ヴェルサイユで30年以上働いてきたという現役庭師のアラン・バラトン。

「語る」のだからしょうがないが雑談風で面白いのだが、無駄もあって
ゆっくり付き合っていけないのでまだ読み終えられていない。
著者がヴェルサイユの庭師ル・ノートルが嫌いということはわかった。
そのル・ノートルが映画の主要人物の一人だ。

時は1682年。ルイ14世は44歳の中年でもはや踊るのは大変なお年。
ヴェルサイユの庭園内に「舞踏の間」を作るということになり今でいう
コンペが開かれ、審査員ル・ノートルは女性庭師バラの企画を採用する
ところからドラマが始まる。この女性庭師は架空の人物だそうだ。

原題の「A Little Caos」は小さな混沌 ル・ノートルの重んじる「秩序」を
「少し乱す」バラの姿であり、王妃を失って傷心の国王、夫婦関係に
大いに問題ありのル・ノートル、バラ自身も乗り越えられない苦しみを
抱えているという、其々の悩みが現代の我々にも通じるところがあり、
単なるコスチューム・ドラマに止まっていない。やたらお金を掛けて
作ったという映画でなく、イギリスの城やマナーハウスなどで撮影したと
いうことだ。ヴェルサイユ宮殿建設の際は水をセーヌ川からひくことが
一大難事業だったといわれるが、この映画でもある事件が起こり、
バラ演じるケイト・ウィンスレットは映画「タイタニック」の時と同じく
またまた水流にのまれたり、長いスカートをはいての、庭仕事というより、
土木工事で泥まみれ、誠にお疲れ様であった。

同じBunkamuraのミュジアムで開催中の「風景画の誕生」はウィーン美術史
美術館所蔵の風景画ばかりという特色ある展覧会。
先日、朝日新聞に高階秀爾氏が月暦画について書いていらして直ぐにでも
観たくなった。レアンドロ・バッサーノ(1560ー1617)の月暦画は9,10,12月
を除いてすべて展示され壮観だった。其々に画面一杯に人々の暮らしが
描かれており、見飽きなかった。
同時代には作曲家のジョバンニ・バッサーノ(1557-1622)もおり、この時代かと
思うと作品が身近に思える。主題も宗教的な絵から人々の暮らし、風景そのものへ
と16世紀初めから18世紀半ばまでの風景画の特徴がわかりやすく展示されていた。
ブリューゲルやパティニョール、カナレットなどの名画も観られた。
ミュジアムショップで月暦画の絵葉書が少なくて残念。
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映画『伴奏者』

2015-01-20 16:17:40 | 映画
仙台に今はないがシネアートという小さな映画館が駅の東口
にあってよく通ったものだった。映画館には一人で行くことが
多いが、結構知り合いに会ったりしたことも今は懐かしい思い出。

『伴奏者』は20年以上前のフランス映画。
もう一度観たいとずっと思っていたら先日TSUTAYAで見つけた。
観ているうちに以前観た時は音楽がよかった事と歌手の美しさに惹かれ、
時代背景や楽曲の選曲の妙など殆ど理解しないままだったのに気がついた。
映画の中で使われている曲はリヒヤルト・シュトラウス、モーッアルト、
ベルリオーズ、マスネ、シューベルト、などだが一部なので物足りない。
試しにサントラ盤を探したら中古があったので迷わず買うことに。
これで使われた曲がすべてわかってすっきりした。音楽担当のアラン・ジョミイ
作曲も数曲。なかではベルリオーズの「ヴィラネラ」シューベルトの「岩上の
牧人」(クラリネットのオブリガード付)モーツアルトのヴェスプレなど
がよかった。サントラ盤には入ってないが場面変化でよく使われたのが
ベートーベンの弦楽四重奏曲の1番の2楽章。これがフォーレの「夢のあとに」
の出だしとそっくりなのだった。偶然の一致?

物語は1942年ドイツ軍占領下のフランスから始まる。
ソプラノ歌手のイレーヌの伴奏者としてまだ若いソフィーが採用される。
ドイツ軍相手に商売をしているイレーヌの夫はマネージャー役でもあり、
妻のために次々仕事をとってきて戦時下にかかわらず贅沢な生活をしている。
一方母一人子一人の清貧の暮らしをしてきたソフィーにとってはイレーヌが
憧れの存在になっていく。
輝くばかりに美しいイレーヌはソフィーをよき伴奏者としてばかりでなく
小間使い役までさせるようになる。コンサートでイレーヌは称賛されても
伴奏者は殆ど無視され、ソフィーはやがてイレーヌに対し愛と憎しみの
両方の感情を持つようになるが、イレーヌにとってもソフィーは信頼のおける
友となっていく。イレーヌには夫とは政治的立場の違う愛人がいることが
わかるが若いソフィーは大人の生活をただ傍観するのみだ。
演奏旅行にも付き添い、はてはロンドンまで足をのばすが、そこで事件が
おき、それぞれ別の道へ行くことになる。


原作には楽曲まで指定されているかはわからないが選曲はストーリーの
展開にマッチしていて(時には笑いや皮肉もあるが)音楽映画というだけの
映画ではない。主な登場人物4人の演技や映像も素晴らしく(歌とピアノの吹き替えは
あまり上手くはないが)思わず引き込まれてしまう、かっこいいフランス映画。
これを機会に昔よくみたフランス映画を思い出そうとしている。
イレーヌ役の女優さんも雰囲気があり素敵だ。この映画とあと一本「黒い瞳」
しかないそうなので残念だが、こちらも借りてみようと思う。
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忙中映画

2012-03-23 21:38:00 | 映画
急に父の入院が決まり、8ケ月お世話になっていた介護施設から病院へ移った。
昨日は母のディサービスの間の私の貴重な自由時間が殆んどなくなり、入院の
為の買い物や手続きなどで終ってしまった。当然練習は中止。

幸い病院は歩いて25分のところにあり、自転車ではまだ行ってないが
多分10分もかからないだろう。自転車の使い道がこういうことになるとは
予期しなかった。介護施設に戻れるのかどうかは今のところわからないが、
病状も進んでおり、なかなか難しそうだ。父は入院をいやがったりすることも
なく大人しく従っていてかえって哀れを誘った。

さてそんな忙しく気の滅入るなかでも、というか気分を変えるため、話題の
マーガレット・サッチャーの映画「鉄の女の涙」を観た。考えてみたら吉祥寺で
映画を観るなんて何十年ぶりか・・昔一番行ったのは今もある「オデオン座」だ。
昔は「3本立て」なんていうのがあった。さすが若くても3本は多すぎ、
二本が限度だと思った。
母は女子が映画館に一人で入るのは「不良」と思っていたふしがあったので
黙っていたが、ばれることもあったっけ。さて上映映画館は平日の昼のこともあり、
60歳以上のシルバー料金年代で熱気を帯びていた。

先日メリル・ストリープがゲストの「徹子の部屋」の様子やテレビで流された
予告篇を観ているうちにどうしても観たくなってしまった。どれだけサッチャーに
似ているかという全く単純な興味だけであったが。話し方はもちろんのこと、しぐさや
歩き方などなるほどよく似ていたが、メリル・スリープの魅力も加わり、単なる
そっくりさんの映画ではなかった。イギリス関連の事件(フォークランド戦争、IRAテロなど)
も入っていて認知症でなくても忘れてしまっていた80年代の出来事など思い出していた。
2-30年も昔のこととは思えないのだがサッチャー後、4人も首相が替わったことを
考えればそんなに時が経ってしまったのかと思う。

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六ヶ所村ラプソディ

2011-08-25 11:31:35 | 映画
また少し暑くなり、残暑お見舞い申し上げます、の文字がピタリ。

先日観た、「ミツバチの羽音と地球の回転」と同じ監督の作品を
みたいと思っていたら「六ヶ所村ラプソデイ」が同じ映画館に来た。
明日まで。仙台フォーラム。

「六ヶ所村ラプソデイ」は「ミツバチ・・」の前2006年の作品。
東北の最果ての地だから選ばれてしまった、使用済み核燃料再処理工場
がそびえ立っている。原発もそうだが、美しい海岸沿いにある。
「ミツバチ・・」が原発反対の立場に偏っていたのに比べ、こちらは
六ヶ所村に住む反対賛成様々な立場の人が出てくる。もう出来てしまった
のだから(映画当時はまだ試験運転で2007年から本格稼働と言うが、まだ
全部は完成していないようだ。)反対運動をしても効果があるのかわからない。
「ラプソディ」という言葉に何か行き場のない、不安、あきらめ、むなしさ、
などを感じる。

原発ででる核のゴミはわざわざイギリス&フランスまで持っていくのだから
自国のごみは自国内で処理すべきという考えがでてくるのは当然ではあるが、
この地下深く頑丈に覆い隠しても、地震があればひとたまりもない。
日本中の原発から陸路海路運ばれる輸送の問題だって危険と隣り合わせだ。

人知が制御できない原発を作ってしまい、現にある以上、原発維持か
脱原発かを電力源の問題としてとらえるのではなく、無くならない廃棄物の
処理のことをもっと考えればすぐ答えはでるだろうに・・・。

イギリスで事故のあった再処理工場のある、セラフィールドはピーターラビット
でおなじみの湖水地方にあり、原発のあるウインズケールと同じ地域ということを
今回知った。アイルランドとの間のアイリッシュ海も汚染されているという。
知らないで過ごしてきたことが沢山あり過ぎ、もはや頭に入りきらない。




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「ミツバチの羽音と地球の回転」

2011-08-11 21:35:40 | 映画
7月半ばにあった猛暑よりこのところの数日はより酷い暑さ。
いろいろな用事も済み、ここ数日ようやく夏休み気分でいられる。
といっても普段と大して変らず。違うのは来客の予定なしで家の中が
散らかるくらい。
お盆には娘が帰省することになり、5月以来の再会。震災ボランティア
をすると張り切っている。

今日は夏休み映画鑑賞会として話題の映画を観に。
こんなに暑くなければ歩きでも行けるところなのだが、午後3時を過ぎても
相変らず暑いので、バスで。

映画館に着いて、上映予定のチラシをみていたら、珍しいポーランド映画の
面白そうなものがあった。「木洩れ日の家で」。行けたら観に行こう。

「ミツバチ・・」は鎌仲ひとみ監督の原発関連ドキュメンタリー映画。
昨年製作され、全国で上映されている。山口県上関町に作られる予定の
原発建設に30年近く反対を続けている対岸の島「祝島」の人々の恵まれた
自然の中での日々の暮らしが映し出される。自然の恵みに加え、希少生物
もいる昔のままの自然が残っているところのようだ。


ドキュメンタリーとはいえ、インタビューの相手は中国電力や経産省、
原発推進派へはなく、もっぱら反対派地元民のみ。
原発建設のために電力会社は雇用をうたい、見舞金をバラまき、手つかずの
自然とそこに住む人々の当たり前の暮らしを奪ったということがよくわかる。

映画の後半ではスエ―デンの北の村が紹介される。ここは村あげて
エネルギーを自給自足している。日本でこういうことができるところが
あるかのか疑問だけど、「波力」というのもエネルギーを生み出すという。
風力水力火力太陽光地熱などは日本でも開発しているだろうが「波力」というのは
初めてきいた。
映画の終りのほうでは六ヶ所村の風力エネルギーが紹介された。
再生可能エネルギーの開発に真面目に取り組めば原発に頼らない道は
開かれるのではないだろうかと少し明るい気持になった。

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「クレーヴの奥方」映画

2011-07-24 07:17:00 | 映画
7月31日のチェンバロコンサートには「クレーヴの奥方の朗読と
チェンバロ演奏」というスペシャルコーナーのせいか既にチケットは完売。
私もこのコーナーは楽しみだ。

「クレーヴの奥方」は今までに4つ映画が作られている。
①ジャン・ドラノワ(1961年)の16世紀のコスチュームプレイ。
②オリヴェイラ監督の現代(といっても1999年?)の設定
③女写真家ソフィー(2000年)
④美しいひと(2008年)

今回①と④の字幕なしをざっとみたが、④は翻案というか「クレ―ヴの奥方]原作と
かけ離れすぎていて、どこが・・?と疑問に思うところばかりだった。
原作に近いのは①しかないようだ。

①はクレ―ヴ大公をジャン・マレー
      奥方をマリナ・ヴラディ
      ヌムール公を ?
ジャン・マレーが威厳に満ち格好良すぎてちょっとミスキャストかも。
一方ヌムール公に扮する俳優はチンピラみたいで、気品のあるマリナ・ヴラディが
愛する人としては役不足。多少原作とは違い、道化が出てきたりしてちょっと演劇風。
脚本はジャン・コクトー。

さて面白い話がある。
フランスの歴代大統領は文化芸術に理解がある人が多いが今のサルコジ大統領
はどうもこの方面には無関心であるらしい。
2007年の大統領選挙で「高校で『クレーヴの奥方』を使って授業するなんて
ばかげている」と公言したのに対し、映画監督オノレ氏が作ったのが、この④
「美しいひと」舞台が高校というのはヒネリがきいているが、クレーヴの奥方
高校生(もちろん未婚!)クレーヴ大公は同級生、ヌムール公は高校教師ということ
なのだろうが、あまり違い過ぎるので別に原作がどうのこうの、ということは
意味がないように思える。まあこんな経緯がなかったら絶対観なかった映画。



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ハプニングの多い一日

2011-07-11 17:42:20 | 映画
今日はかねてから観たいと思っていた『ジュリエットからの手紙』を観に。
ヴァネッサ・レッドグレーヴは『ジュリア』以来、割と観ている方。
この映画で最初に登場した時はずいぶん老けてしまったな、と思ったが、
やはり目の演技が素晴らしかった。50年前の恋人を演じたフランコ・ネロとは
知りあって長い年月の後、再婚しているそうだ。ピッタリ過ぎる配役。

映画は非常にわかりやすくイタリアの風景も綺麗で、若い男女の恋も絡み、
娯楽映画としてはなかなか楽しめた。非日常の世界に入りたい方には
もってこいの映画。
映画が3分の2位終った時、突然緊急火災警報が鳴り、1階で火事が
発生したので避難せよ、とのアナウンス。現実に戻されて、10数名の
お客が席を立って出ようとしたら、火災報知機の誤作動でした、と係りが説明。
でもしばらくは確認のためとかで待たされ約20分後に再開。
この間、帰った人もいた。私は次の用事まで時間ぎりぎりだった。
出口で次回用の招待券をもらったので得した感じもするが、やはりちょっと
怖かった。昨日の地震に今日の火事。いやはや。

その後は友人と待ち合わせ、31日のコンサートの打ち合わせのため、
会場の長町の「びすたーり」へ。ついでにランチもする予定だったが・・。
「月曜定休日」との張り紙。通りから中を覗くと、お店の人がいる。
友人がオバサン根性で入ってみよう、というので、付いて行ったら、
運よく以前も会った、マネージャーらしき人がいて、打ち合わせOKと言われ、
助かった。進行やチェンバロ搬入を相談し、無事用事が済んだ。
あとは限定50席に近づけるための努力。

ランチを食べ損ねたので、また仙台方向へ戻り、三越近くのフレンチ食堂
に行ったら、また定休日。結局近くの玉澤の喫茶室で中高年女性向きの
量少なめ、デザートみつ豆、飲み物もついた、お弁当ランチに落ち着いた。
中を開けると枝豆ごはんにままごとみたいなオカズがついていた。
スプーンが2つあるのは小さなグラタンとみつ豆用。

白玉が懐かしい。ここは和菓子屋さんだった。


今日も暑い日だった。早くも梅雨明けしたらしい。
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フィンランド映画『ヤコブへの手紙』

2011-03-02 20:32:00 | 映画
大昔フィンランドに少し住んだことがあるので、フィンランド語を
聴いて懐かしさに浸りたい気もして[ヤコブへの手紙」を観て来た。

フィンランド語は全く物にはならなかったけど、母音で伸ばすので
日本人にとっては聴きやすいし、こちらのいう片言もわかってもらえた
ので嬉しかった。隣家にはとても親切な老婦人ミリヤムさんがいて
時々フィンランド語を教えてもらったり、別荘に呼ばれたり、帰国時
には私の肖像画まで描いてくださったり、娘が生まれてからは写真から
娘の肖像画まで描いて送ってくださった。

さてこの映画、美男美女が出るわけでもないし北欧風の建築やインテリア、
ファッションを楽しめるものでもなく、森と湖に囲まれた田舎の教会の
老牧師の物語という非常に地味なもの。

ストーリーは盲目の牧師ヤコブのところに来る悩みの相談の手紙を読み、
牧師の返事を口述筆記するという仕事を刑務所から恩赦で出て来たばかりの
中年女レイラがすることになる。家政婦でもなくただ手紙を読み返事を書くだけ
なのにやる気がなく時には手紙をゴミ箱に入れてしまったリとひどい態度を取る。

毎日自転車に乗った配達員から届けられる手紙がどういうわけか途絶えてから、
牧師は自分が必要とされていないと悩み、不可解な行動をとるようになる。
それまでこの仕事がいやで家を出ようとさえしたレイラはだんだん改心し、
最期は牧師を看取る。終身刑のはずのレイラが何故恩赦で出られてきたか
には感動のストーリーがあるが、ここでは伏せる。

映画館においてあった近日上映のチラシに『私を離さないで』があった。
カズオ・イシグロの問題作。これは内容がショックで読むのがつらかったが、
映像になるとどうだろうか・・。観たいような観たくないような。

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メディアテークへ

2011-02-05 18:35:00 | 映画
昨日は暖かかったので、道路脇に積み上げた固まった雪を崩して
道路にぶちまけておいたら、思いのほか融けず、又凍って危険な状態に
なってしまった。近所は60歳以上の高齢者が多いから、滑って
怪我でもされたら大変。暖かいといってもまだまだ。反省しきり。

朝一番に歯の定期健診予約があったのでいつもの大学病院近くの
歯科へ。終了後そのあしでメディアテークまで行って、一時半からの
「ポルトガル映画祭」まで時間がちょっとあり過ぎ。

2階の雑誌コーナーで「レコード芸術」を座り読みする。
昔に比べずいぶん一回り小さくなり薄くなったと思ったら今度は
値上げだそうだ。昔は情報源が少なかったから「レコード芸術」に
頼るほかなかったけれど、今はもうネット上に情報が溢れている。

「音楽史」と呼ばれるジャンル新盤で興味を惹かれたのは
①バロックダンスのDVD「時空の旅 バロックダンスファンタジー」
  フランスの舞踊団   解説:市瀬陽子


②「セヴィニエ侯爵夫人の為のコンサート」マルク・アンタイ、バルテル、ピエルロetc


さてポルトガル映画はなんの予備知識もなく観たのだったが、監督は
現役で現在世界最高齢の1908年生まれのマノエル・ド・オリヴェイラと
いう人だった。もっともみた映画『過去と現在、昔の恋、今の恋』は1972年
の映画だった。この頃はフランス映画をかなり観た頃だったのに多分ポルトガル
映画は観たことがないような気がする。

テーマは結婚。夫が亡くなり再婚した女性が現在の夫でなく亡くなった
夫しか愛せなくなるというお話。女性はこれを繰り返すところがブラック
ユーモアっぽい。つまり死者しか愛せない。この女性の周りに何組かの
訳あり夫婦が絡み、不倫あり、復縁あり。映画音楽はメンデルスゾーンの
「結婚行進曲」が何回も使われ、失笑してしまう。

登場人物の会話が中心だし、庭師兼門番や召使の女の子などの配置は
演劇を見ているような感じもした。

今日が初日で8日(火曜)まで一日3本ずつ上映される。
入場料は1000円、60歳以上は500円!
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こんなはずではなかったDVD

2011-01-26 19:50:00 | 映画
パーセルの映画「ENGLAND 、MY ENGLAND」のヴィデオを時々
みているのだが、画像が悪いのでDVDをずっと欲しいと
思っていた。アマゾン輸入版でかなり安かったのでようやく買って
みたら「びっくりしたな、もう、、」というか腹が立ってきた・・・。

パーセル没後350年に当たった1995年にNHK・BSで
放送されたものと同じと思っていたら、違っていたのだ。
正確に言うと、テレビで放送されたものに加えて、観たことのない
部分がかなりあったのだ。その観たことのないものは・・・

開始後5分を過ぎた頃、突如チャールズ2世に扮した俳優がタバコを
吸う場面になる。「何!?」と思ったら、劇場の楽屋の風景であることが
わかる。一瞬不良品を買ったのかと思った。
楽屋のテレビにはビートルズや当時のウイルソン首相が映り
1960年後半を設定していることをほのめかす。俳優が演じるのは
バーナードショーの芝居で又この俳優はパーセル映画と同じく、
チャールズ2世を演じているので非常に頭が混乱させられることになる。
この調子でこのDVDは元のパーセル映画になったり、60年代になったり、
舞台も楽屋だけでなくパーセルの墓のあるウェストミンスター寺院まで
行ったりして、17世紀後半と現代が交錯し、煩わしい演出で
観ている方はほとほと疲れてしまう。テレビ用には純粋パーセル部分だけを
流したということなのだろう。

録画していたものは120分テープで間に合っていたのだがこのDVDは152分
もあり、合計30分以上がテレビ用には無かった部分。なかには残酷シーンを
テレビ用にはカットした部分はあるがそれはほんの少し。
いらないものを除いたDVDが欲しい!




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終着駅:トルストイ最後の旅

2010-12-06 20:23:40 | 映画
昨夜ETVで「トルストイの家出」を放映したのにすっかり忘れ、
観られず残念だった。「終着駅・・」を仙台ではチネ・ラヴィータで
上映中なので今日行って来た。駅近くの騒がしいビルに移ってからは
あまり行きたくない映画館になってしまった。

放映効果で観客は多いかと思ったら10名ばかり。いつもこんな
感じ。昼間から映画をみられる層は限られるでしょうが・・。
以前前に座ったら目も耳も疲れたので今日は最後列で。これでも
スクリーンが近すぎるほど。

映画もトルストイの家出にいたる顛末をテーマにしている。トルストイ
主義者と妻との確執、秘書の青年の初々しいロマンスも進行するが、
溝の深まるばかりの老夫婦の喧嘩が凄くこれでは家出する気になって
しまうだろうなと思わせる。
80過ぎて家出を敢行せざるを得なくなるまで追いつめられ、
挙句の果てすぐ亡くなってしまうのにはちょっと気の毒な感じもするが。
当時この有名な文豪の家出と死は大きく報道されたようだ。こういう
報道陣テントをみると昔といってもたかが100年前の話なのだった。
エンドロールにはトルストイの実写も出てきて印象的だった。

妻役ヘレン・ミレンは迫真の演技。
トルストイ役は懐かしのクリストファー・プラマー。なんだか加藤剛に
似ていた。この原作は米のジェイ・パリ―ニの 「The Last Station」
でトルストイと周りの人々の日記を元にしたそうだ。

昨夜の番組ではあらたに発見された妻の日記があるとのことだから
原作者にとってはこれがあればまた別の作品になったかもしれない。
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映画「モリエール 恋こそ喜劇」

2010-08-16 16:54:17 | 映画
16-18世紀のヨーロッパ時代劇映画はそれが音楽に直接
関わらないものだとしても見たくなる。「モリエール恋こそ喜劇」
を観て来た。チラシに音楽はフィルハーモニア管弦楽団/ロンドン
と書いてあったので古楽器系音楽ではない。

映画「王は踊る」や「女優マルキーズ」でモリエールが登場
したが、両作品共に功成り名を遂げてからの中年モリエールだったが、
この映画は若き日々(22歳)の物語。伝記に空白のある数ヶ月を
その後の作品群の素になるようなモチーフを盛り込みながら喜劇仕立て
にしている。
まだ若い頃、モリエールは主宰する劇団が破産し、富裕な商人ジョルダンに
助けられ、彼の屋敷で身分を偽り、彼の娘の教育係として住み込む。
ジョルダンは貴族に憧れており、ダンス(バロックダンス)や絵画のレッスンを
受けたりするがどれもどうしようもなく下手。またある若い伯爵未亡人に
思いを寄せ、彼女のサロンに呼ばれて芝居をするという望みを持っているが
冷たくあしらわれてしまう。貴族へのあこがれは並大抵ではなく、許婚者のいる
自分の娘を不誠実な貧乏伯爵の息子の元へ嫁がせようとまでする。
このジョルダンの美しく聡明な妻にモリエールが絡んでお話はさらに喜劇へ。

音楽は娘が歌のレッスンを受けていたとの証拠を迫られてたどたどしく
歌う場面にチェンバロが出て大写しになったのだが、1632年制作
とまでしか分からなかった。DVDにでもなったらゆっくり拝見することに。
サントラでチェンバロはオーケストラと一緒に沢山使われていたが、
既成のバロック音楽ではなく新しく作られた曲だった。エンドロールで
Clavecin: David Gordon とかろうじて読めたが古楽器畑の演奏家か
どうか不明・・。
音楽はともかくバロック時代劇としては分かりやすく十分楽しめた。
仙台では8月27日まで駅東口の「チネ・ラヴィータ」で。
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シロタ家の20世紀

2010-07-16 21:22:50 | 映画
『ベアテの贈り物』は見逃してしまったが、同じ監督の
同じシロタ家をテーマにした作品を観に行った。映画館でなく
メディアテークの7階のホール。ここは自主上映をやることが
あってたまに観に行く。    

レオ・シロタと言えば母の世代に日本でピアニストを育てたことで
名前だけは知っていたが、どういう経路で日本に来たのか、
何年くらいたのか、など全く知らなかった。母に訊くと「ユダヤ人で
亡命したんじゃないの?」という答え。

今日の映画でいろいろ謎が判明。
1885年ユダヤ人一家の二男としてキエフで生まれ、早くから
ピアノの才能を見いだされ、ウイーンに移住し、かのブゾーニに師事。
ヨーロッパ各地で絶賛され、1928年初来日、29年一家で再来日。
以降44年まで東京音楽学校(現東京芸術大学)で教え、演奏活動。
日比谷公会堂が満員になるほどの人気の高さだったという。
弟子には園田高広、藤田晴子、など。
46年にアメリカの音楽院に招へいされ、移住。1965年没。
日本国憲法の男女平等の項目を書いたベアテ・シロタ・ゴードンは一人娘。

この映画ができた経緯というのが非常にドラマチックなのだ。
前作『ベアテの贈り物』のパリでの上映後、レオ・シロタの弟
ピエール(アウシュビッツで没)の孫の女性が名乗り出たこと
から続編の構想が練られ、レオ・シロタ一家だけでなく、その父親
世代からのユダヤ人一家の戦争や迫害による数奇な運命がさらに
大きな視点からとらえられている。

園田高広氏のコンサートでのブゾーニ編曲のバッハのトッカータ
演奏も入っており、シャコンヌ同様、バッハも驚く編曲だった。
ブゾーニ→シロタ→園田というつながりを強調したかったのだろう
けど、、。、園田高広氏の少年時代の写真が出たので「絶対音感」
の持ち主ということなど思い出した。
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