古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

フレスコバルディ&フローベルガ―

2016-07-31 16:10:00 | ルネッサンス・バロック音楽
フレスコバルデイの「パッサカリアによる100のパルティータ]
は「トッカータ」と共によくコンサートでも聴かれる曲だ。
チェンバロで弾かれるのが一般的で、先日の「古楽の楽しみ」では
オルガン版で初めて聴いた。大分長閑な雰囲気だった。

楽譜をみると11変奏まで番号が振ってあるがそのあとはない。
本当に100もあるのか疑うわけではないが、ちなみに数えてみたら
ちゃんとあった(笑)。2、4小節の短い変奏の連なりから
成っており刻々と変わる響きに取り残されてしまいそうな勢いがある。
この曲を初めてチェンバロ実演で聴いたのは今は亡き芝崎久美子さんだった。
確かリコーダー演奏会の通低をされた時のソロ曲だった。

ずっと昔に仙台でバロック舞踏のイベントがあった時に、舞踏家の
市瀬陽子さんと一緒に我が家でリハーサルをされた。お二人の優雅な
舞踏と演奏を間近に見られたのもよい思い出だ。
10月には追悼コンサートもある。9月末には中野&本間追悼コンサート
もあり、古楽ファンには在りし日の演奏に思いを馳せる機会となるだろう。

フローベルガ―は今年来年が記念年で(生誕400年没後350年)
今年はこの夏までにも興味深いコンサートやレクチャーがあった
来年もまた面白そうなコンサートを期待している。
フローベルガ―は21歳の時ローマにわたり4年滞在しており、
フレスコバルディの「門下」「弟子」といわれている。
1583年生まれと1616年生まれだから、年の差33歳。
バチカンのサンピエトロ大聖堂を一杯にしたという当世人気絶大の
フレスコバルディのオルガン演奏を青年フローベルガ―は聴いたのだろう・・。

今年のチェンバロ発表会には間に合わなかったが来年はフレスコバルデイ
とフローベルガ―の門下コンビにしょうか、、と只今選曲中だ。
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歴史的建造物

2016-07-23 17:55:00 | その他
出かける用事が続いたのも一段落、本格的に暑くなるまでに
怠りがちだった掃除や片付けもしなくては・・。

昨日はアンサンブル・ステラのコンサートを聴きに近江楽堂へ。
このところ自分の出番もあったので、近江楽堂行きがぐんと増えて来た。
リコーダーの演奏会ということで客席はリコーダー好きのような
中高年女性が多かった。

リコーダー3本(お一人はトラヴェルソも)にガンバという
編成でAスカルラッティのソナタなどの定番から若きヘンデルの
「ロドリゴ」より、CPEバッハトリオの編曲ものなど初めて
聴く曲もあり楽しかった。
なかでもドルネル四重奏曲はこれから挑戦したい曲だったので
聴けてよかった。ソフトな音色のリコーダーが一際きれいに
響いて聴こえたのはパーセルの「シャコンヌ」でバスラインの
ガンバとしっくり合っていた。

アンコールを聴いて急いで今度は早稲田大学へ。
東京都都市整備局主催の「歴史的建造物についての講演とコンサート
(フルートとピアノ)」というイベントに友人を誘って行った。
早稲田大学構内に入るのは受験以来なのでもうはるか昔で記憶はなし。
会場の大隈講堂は創立125年の2007年に改修工事をしたという。
1925年設計では建築はゴシック風、演劇もできるようにという
だったが実際はゴシックとチューダー、ロマネスク様式もみられる
独自の建物になったということだ。改修工事は①物理的な再生
②機能的向上、③過去の価値継承 を柱とした、多機能型の使える
建築を目指したという。空調が各座席についているのには驚いた。
照明も星空のようで優しい光が印象的だった。耐震性や音響も
十分で色々な催しに対応できる施設のようであった。

後半はフルートとピアノの演奏。モダンフルートは熱演で技巧的な
曲が多く、古楽好きの耳には少し負担だったので休憩で失礼した。
外に出たら控えめにライトアップした大隈講堂が美しかった。

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途中下車

2016-07-22 10:55:33 | 展覧会
先日の「日曜美術館」で吉田博の版画を特集していて興味を
持った。ちょうど仙台日帰り予定があり、途中下車して郡山市立美術館
に行くという計画をおもいつき、決行。雨まじりであったが暑くなくて
よかった。郡山駅から美術館を経由するバスが出ていて10分ほど。

バス停を降りてから、すぐ緑あふれる広大な敷地に入った。
周りの豊かな自然に調和した、低層の横に伸びた建物が印象的だ。
以前仙台に居た時に一度訪れたが、その後機会がなかった。

福島の美術館というと、原田マハのMoMAつながりの連作短編の一つ
を思い出す。東北大震災でキャンセルせざるをえなくなった、
ふくしま近代美術館の企画展の話。実際はふくしま近代美術館と
いうものはなく、フィクションなのに現実にあり得る話だろうと
思ってしまうほどだ。バスの窓から阿武隈川河川の「除染中」
の看板がみえたが、未だに終わらない除染作業を思い、心が痛んだ。

さてテレビ効果か美術館はかなりの込みようだった。郊外にあるので、
車で訪れる人も多かった。65歳以上無料ということもあってか
高年齢層が多く、絵を嗜むような人もいて、二人連れのあたり構わぬ
おしゃべりが煩かった。同じ世代として気を付けたいものだ。

デッサンから水彩画、油絵、版画、と多岐にわたりエネルギッシュな
仕事をした吉田博は反骨の画家でもあった。当時の閉鎖的な画壇の重鎮ー
黒田清輝に対するライバル意識もまた開拓精神を鼓舞させたのだろう、
世界を股にかけての活躍ぶりだ。
若いときのデッサンから基礎がしっかりしているということ、山の絵は
困難が伴う野外で描くという徹底した現場主義、新しい版画にかける
情熱など、、、見事な画家人生というしかない。

カフェでのランチに予想外に時間がかかり、常設展やミュジアムショップを
見る時間がなくなって心残りだった。
この展覧会は新宿の「損保ジャパン興亜美術館」で来年7月8日~8月27日まで
観られる。
郡山市立美術館の次回企画展は「西洋更紗トワル・ド・ジュイ」展。
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西洋更紗展

2016-07-20 16:58:24 | 展覧会
昨日はクープラン講座を聴いた後、Bunkamura で開催中の
西洋更紗展に行った。(7月31日まで)
西洋更紗とは18世紀後半ヴェルサイユ近郊の村ジュイで
ドイツ出身の技師オーベルカンフが始めた工場で作られた
木綿生地の総称ということだ。
銅版や木版のプリントでできており、柄は草木や動物モチーフ
や田園風景、人々の暮らし、歴史絵巻のようなもの布の制作工程
などまでスト―リー性のあるものまで多種の色彩豊かな布が
並べられており、布好きにはたまらない展覧会。

花模様も可愛らしいけど幼稚ではなく、色もこくがあり、
洗練され過ぎてない鄙びたよさがある布地だった。時々目には
していたが今回の展覧会で「トワルド・ド・ジュイ」という
ものだったということがわかった。
当時のヨーロッパでは木綿が知られてなかったところ17世紀
アジアとの通商が盛んになるにつれ木綿に捺染した鮮やかな
インド更紗に人々が熱狂し、イギリスではチンツ、ポルトガルでは
サラサと呼ばれたそうだ。フランスではやがて国産の木綿捺染布が
流行したため、ウールや絹の製造業者たちが打撃を受け、
1686年ルイ14世は製造禁止令を出すまでになってしまった
そうだ。ジュイの工場は禁止令も解かれたあとに設立され、
マリー・アントワネットの庇護もあり、1843年まで続いたようだ。
アントワネットのドレスの断片も展示されていた。

展覧会では田園モチーフのタペストリー(羊毛、絹)を出発点として、
インド更紗からメインのジュイの布、さらにウイリアムモリス、画家の
ラウル・デュフイのデザインによるプリント布(石見美術館蔵)もあり、
プリント布の壮大なドラマを見る思いだった。
専属デザイナーとして一大期を築いたという、ジャン・バティスト・ユエの
油絵に工場の庭一面に布が拡げられている構図があり、面白いと思った。
素敵な布を沢山みていたら手仕事をしたくなってしまった。
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新入り

2016-07-20 16:57:59 | ルネッサンス・バロック音楽
新しい合奏用ソプラノリコーダー440が届いた。
これでソプラノが415と440と2本揃い、注文中の
ファン・エイクフルートが出来てくれば曲や編成により笛を
選べるという贅沢ができると思うと嬉しい。

出来上がったばかりのソプラノは415と比べると大分小さい。
長さにして1.5cmの違い。
まだ木の匂いがしている。1ケ月かけてすこしずつ馴らしていく。
415は竹山、440は平尾工房だが見かけはよく似て兄弟のよう。

後期バロックにはアルト曲に比べるとソプラノ曲は極端に
少ないが、初期バロックはソプラノレパートリーの宝庫だし
後期に比べて知らない曲も多いのでこれから楽しみだ。
最低音をうまく塞げるかどうかのリスクがなくなるのもいい。
ただ高音が耳障りにならないよう薄っぺらな音にならないよう
にするにはどうしたらいいかが課題。

先日サンマルティ―ニのトリオソナタの全曲演奏会の前半が
終わった。私は4番のセカンドを吹いたのだが当初はそれほど
難しくないと思っていた曲が練習&レッスンを重ねるうちにだんだん
小さなところも気になって来て、やはり1曲を仕上げるには細心の
注意を払わなければならないとつくづく思った。
なお後半7~12番までのコンサートは10月16日開催。
ご興味のある方はどうぞ。


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草木の生命力

2016-07-12 11:52:30 | 庭の植物
九州地方は大雨が心配だが東京は梅雨に入っても水不足と言われて
いる。庭の水やりは最小限にするようにしているが、プランターの土は
あっという間にカラカラになってしまう。

昨年鉢で買い、地植えしたメドウセージが生い茂り、花をいっぱい
につけた枝が垂れ下がり、通路に張りだしてうるさく感じるくらいに
なってしまった。一鉢が一年でここまで成長してしまうのは嬉しいような
恐ろしいような。
時々枝を切っては花瓶に挿す。鮮やかな濃い青紫の花と緑の葉は
しばらく目を楽しませてくれるが、やがて花が微かな音を立てて落ちていく。


花は美しいが匂いが嫌な、牡丹臭木もセージに劣らず、生命力が強く、
今年初めての花が満開。こちらは濃い緑の大きな葉と淡い赤紫の花の
対比が美しい。でもこの臭い・・なんのためなのか、花が美しいのに
嫌われ者になってしまう。
メドウセージと同じく地下茎で増えていき、他の草木を駆逐せんばかり。



鉢植えのレモンの樹には小さな実がたくさんつき、喜んで友人たちに
収穫したらあげるからと、言っていたのに大きくならずに落ちてしまい、
今はたった一つのみ。がっくりしていたら新芽が伸びて花がまた
咲いてきた。調べてみたら花は一年に3回咲く時期があるそうで
よかった。でもまだ喜ぶのははやい。

前からある、柚子にも実がついているが、葉と同じ濃い
緑色なので見つけにくい。
昨年思い切って剪定したのだが、もう葉がわんさと茂って来てまた
剪定した方がよくなりそうだが、立派な棘があるので注意する必要が
ある。月桂樹も実家にあったままの場所にあり、この樹のひこばえを
仙台の家に持って行き、移植して4mほどの大木になったことなど思い出す。
リフォームして一年経ち、家も庭も少しだけ昔の面影を残せて私の
精神衛生上よかったと思うこの頃。

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ヴィヴァルディとリコーダー

2016-07-07 09:43:00 | 本・雑誌
数年前の小説「ピエタ」(大島真寿美)はよくできた小説だった。
またヴィヴァルディとピエタそして今度はリコーダーも
絡む小説が出たことを友人のツィッターで知り、図書館から
借りて来た。字数は少ないのであっという間に読了。

おおまかなあらすじは、ピエタ養育院の赤ちゃんポストに入れられた
女の子が8歳まで里親のもとで育てられたのち、養育院に戻り、
司祭ヴィヴァルディに音楽の才能を見出され、リコーダーを習う。
女の子・ラウラは話すことができないが、ヴィヴァルデイは特別目をかけ
やがて9歳でオーケストラに最年少で入ることができた。
あるときラウラが吹いたリコーダーのメロディをヴァヴァルデイは
書き留める。そのメロデイーはラウラの母が歌い聞かせていたものだった、
そしてやがて母子再会の時が来る・・。


日本語版の表紙に非常に違和感があったのでもとの本を探してもみたら
やはり表紙は違っていた。日本語版デザインナーの名前も載っていた。
中身の挿絵なども原本とは違うのではないかと確かめてみたくなる。




内容にはいくつか変だなと思うところもあり、例えばヴィヴァルデイ時代に
まだ指揮棒を使うことはなかったはずだ(リュリなどは指揮杖を使った)し、Flute abec
(リコーダーのフランス語)を「くちばしリコーダー」と訳してあることや
コレッリはカンタータを作曲した??
などなど気になるところがあった。

画家がピエタ養育院の入所者名簿にあった「ラウラ」の名前から
想像力を掻き立てられ、絵を描き、作家もまた画家に触発されて、実際こういう話が
いくつもあったかもしれないと読者にもまた想像させるような楽しい本ではあった。




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ポンピドゥ―センター傑作展

2016-07-04 14:24:00 | 展覧会
リコーダーレッスンのついでに上野へ出た。
駅前では参院選の候補が熱く演説していて、もう入れたい候補は
決めていたのだけれどちょっとぐらついてしまった。同じ野党
ではあるが政党は違う。なかなか判断が難しいので、もうしばらく
考えることにした。

都美術館で「ポンピドゥ―センター傑作展」を観て来た。
どんな作品が来るかあまり知らないままに行ったのでとても新鮮だった。
おまけに会場の構成や作品の配置にも特徴があって驚いた。
1906年から1977年まで一年一作品が選ばれている。
作家の言葉も展示され、書き留めたいものもあった。
作家の写真がその作品の制作年だともっと良かったと思ったが・・。


印象に残ったのは
1912年クプカ「垂直の面1」
1916年アルベール=ビロ「戦争」
1922年ル・コルビジェ「静物」油絵
1929年セラフィーヌ「楽園の樹」
1932年ブレッソン「サン=ラザール駅裏」
1935年ピカソ「ミューズ」
1937年カンディンスキー「30」
1945年作品はなくピアフの歌「バラ色の人生」が流れる
1951年アルプ「ユールー」

映像作品もあり、「オルリーの飛行船格納庫」は1921~3年の実際の
建築現場を撮ったもの、建築設計の歴史的な記録としての意義もあるのだ
ろうが、人力での作業員の過酷な労働につい目が行ってしまった。  
もう一つの難解な「ラ・ジュテ」という映画は60年代の実験的な
フランス映画を思い起こさせた。
20世紀初頭から70年間のフランスの近代美術の様々な作品が一堂に会した
感じであった。
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