古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

17世紀イタリア、フランス歌曲などのCD

2013-11-19 21:26:00 | ルネッサンス・バロック音楽
街中は少しずつ年末の様相になってき、近くの八幡様の酉の市も始まった。

今年はコレッリ・イヤーだった。来年はこれも大物ラモー没後250年で
既にいろいろ企画されているようだ。他にはルクレール、ロカテッリも同じく
1764年没なのでヴァイオリニスト達は落ち着かないかもしれない。

さて最近手に入れた二枚のCDを聴いて晩秋の候、しみじみ音楽に浸っている。
先月末の「古楽の楽しみ」で放送された、<サヴァーディ>というグループの
トレヴィーゾの『沸き上がれ、もろびとよ』がとてもよかったのでこのグループ
をもっと知りたくなりCDを注文していた。放送時は通低の楽器が何かわからずに
いたがトリプル・ハープというバロックハープの一種だった。

タイトル≪ファベッラ・サクラ(宗教的寓話)
17世紀のイタリアの歌と器楽曲(ハープ独奏)が18曲
歌詞訳はもとより日本語の解説文が入っていたのでよかった。でも読んでみても
難解で専門知識がないとよくわからないが、解説に「・・・歌詞の内容
を気に留めなくても、アンサンブル・サヴァーデイの二人の歌い手は、その美しく
しなやかな声で私たちを魅了してやみません・・」とあるがまったくその通りなのだ。


もう一枚は先日のバロックコンサートで手に入れた、リコーダー二本の
「対話」こちらは17世紀のフランスの宮廷歌曲と器楽曲(編曲)に広瀬量平の
オードⅠ&Ⅱという組み合わせ。リコーダーといってもほとんどテナー、ヴォイスと
バスの組み合わせで、テナーやバスがこんなに語れる楽器だったのかと驚いた。
お二人の吹き方はかなり違うのだが、お互い尊重しあっているようだ。
プログラム最後のマレのヴィオール曲「トンボー」はリコーダーでは無理という
感じがしないこともないがリコーダーで吹いてみたかった!という執念が
伝わってくる。

両方ともに音そのものの魅力に加え、親密なアンサンブルの良さをつくづく
感じさせてくれるCDだ。


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リコーダーレクチャーやコンサート

2013-11-16 18:08:00 | ルネッサンス・バロック音楽
仙台の第1回杜の都リコーダーフェステイバルは無事盛況にて終わり、
感慨にふけっている間もなく今週は水曜日には工学院大オープンカレッジのセミナー2回目。
そして昨日はリコーダーコンサートに行った。
一週間のうちにプロ中のプロの本村睦幸、太田光子、花岡和生の皆さん
の演奏を聴けたという、これまでにないリコーダー強化週間であった。

オープンカレッジ先月の一回目はバロック、今回はルネッサンス&初期バロック
だった。最終回の三回目は総集編だそうだ。(12月18日 19時~)
リコーダー演奏も(ソロや複数)の間に制作者の平尾さんのリコーダーに関する
興味深い話が入り、絵画、写真もたくさん用意され、あっというまに90分
過ぎてしまう。リコーダーも時代、曲によって使い分けられ、その音色の違いを
間近で感じることができた。プロを目指す学生さん達の一生懸命な演奏も好感が持てた。

昨日の「リコーダー、バロックギター&ヴィオラ・ダ・ガンバによるバロック音楽の夕べ」は
フレンチ・バロックのトラヴェルソ用の曲をヴォイスフルートで、通低はチェンバロ
ナシでという変わった編成のマニア向きプログラムでこちらもとても楽しめた。

通低がチェンバロ抜きだと曲の趣ががらりと変わる。最初のボアモルティエは
リコーダーが控えめ過ぎる様な気がして落ち着かなかったがAdagio楽章くらいから
ようやく耳が慣れてきたら、まろやかなリコーダーの音色とゆったり寄り添う
ガンバ&ギターがまじりあってとても心地よかった。リコーダーの一音一音が
磨かれ、音程の確かさは驚異的。大好きなドルネル、フィリドールあたりは
あまりの完成度の高さにただただ圧倒され雑念の入る余地もなかった。

アンコールの前に先月亡くなられた柴田雄康さんとのデュオCDの発売の話があったので
即買い。エール・ド・クールや広瀬量平のオードなどが入っており、低音域の多い
いぶし銀のような大人のデュオを聴ける。
柴田さんのリコーダーを生で聴く機会はなかったが名作といわれるチェンバロとともに
世に残されていくことで古楽ファンにはいつまでも忘れられない存在であり続けるだろう。
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リコーダー三昧の3日

2013-11-12 10:25:00 | ルネッサンス・バロック音楽
「杜の都リコーダーフェステイバル」に参加のため、仙台2泊3日してきた。
3ヶ月前にはとても考えられなかったことなので、夢のようだった。
前日に仙台入りし、チェンバリストと十分合わせ、本番、打ち上げ、そして3日目は
友人とリコーダーデュオの新曲を合わせて楽しんだ。

フェスティバルは第一部がアマチュアのリコーダーグループが10組出演。
プログラムは古楽器としてのリコーダー曲だけではなく多岐にわたっていて、
普段ルネッサンス&バロック以外の曲は自分からは聴いたり吹いたりしないので
楽しみ方もいろいろなんだな・・・といまさら思った。
司会進行を仙台のNHKカルチャーセンターのバロック講座でお世話になった
イタリア語翻訳家の鈴木昭裕先生がされ、手際良くさすがだった。

3人以上のグループ参加が多い中、ソロで出るのは緊張するものだ。でも
自分がミスしても他に迷惑がかからないと考えることにして臨んだ。
リコーダーを始めた頃、身の程知らずに吹いていたデュパールの組曲のうちから
3番を吹いた。チェンバロやリコーダーでバロック時代のフランスの組曲を
練習することが多いので、この頃ようやく組曲を構成するさまざまな舞曲の
特徴などもわかりかけてきてますます楽しくなった。本番ではやはり息が
続かなくなったり、テンポがふらついたりしたことはあったが、会場の温かい
雰囲気に助けられ、どうにか終えることができた。

第二部はリコーダーレッスンやコンサートで仙台でもおなじみの本村睦幸先生
のコンサート。「ナポリの新発見ソナタからバッハまで」
よく知っている曲とまったく知らない曲(ピアー二、ハッセ)だったので
とても楽しめた。一部がナポリがらみのイタリア人作曲家、二部はドイツ人
だがナポリでも活躍というハッセ。そして「しめ」がどういうわけかバッハ・・・。
バッハが異質じゃないの!と思って、実際こういうプログラムの流れの中で
聴くとどうかな・・と先入観なしに聴こうとしたが、やはりバッハになると
演奏者というより「バッハである」という作曲家の特徴が前に出てくると思った。
ハッセの外向きな呼びかける音楽からバッハになると内向きで緻密、ハッセに比べたら
演奏の自由度も狭まれる。バッハの無伴奏パルティータもそうだけどやはり
リコーダーよりバロックフルート用の曲かなと思ってしまう。

アンコールが何かな?と期待していたらソプラノリコーダーでファルコ二エリの
小品が吹かれた。とても素敵な曲だった。こちらは時代は遡るがナポリつながりで
腑に落ちた。

当日はチェンバロ制作の木村雅雄さんはじめ地元の古楽器愛好家の皆さんとも
お会いでき充実したフェステイバルだった。実行委員の方々のご苦労も報われた
ことだろう。お世話になりました。感謝です。また次回の企画を楽しみに
しております。
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ターナー展

2013-11-08 20:12:00 | 展覧会
秋晴れの一日、W.ターナーの回顧展を観に上野へ行った。

ちょうど島田雅彦の「ニッチを探して」を読んだばかりだったので、上野公園
を歩いていたらこの本のことばかり思い出して、ついホームレスの姿を
探してしまった。旧奏楽堂の前での炊き出しがあるのは毎週何曜日だっけ?などと
気になったりして困った。ひところよりはホームレスの姿が減ったようだ。

展覧会はテート美術館の100点以上が一気にやってきたというスケールの
大きさ。十代から天才ぶりを見せ、76年の生涯で膨大な量の作品を残したターナー。
水彩、油彩、スケッチ合わせてなんと二万点もあるという、人間業とは思われない。
イギリス内はもちろん、イタリア、フランスはじめヨーロッパも旅して
命の危険も顧みず、吹雪の中で、あるいは荒れ狂った海の絵のためにはマストに
自らをロープでくくりつけてスケッチしたという。何がターナーをそこまでさせたのか・・
若くしてアカデミー会員に推された自負もあるだろう、自分がしなくて誰がするのか
という選ばれし者の使命感のようなものを感じるが、たえず研鑽をつみ、風景画を
究めたいという姿に圧倒された。

同じ風景画といってもほぼ同じ時代を生きた、田園画家コンスタブルとは
ずいぶん異なる。こちらは美しい長閑な英国を描いた画家として今でも人気を
誇っているが面白味という点ではターナーに軍配があがる。

よく話題となるターナーの松、「幹が真直ぐで、上が傘のように開いた松」は先日、
芸大美術館での「夏目漱石の美術世界展」の「金枝」でも見られたので私は漱石が
みたのはこちらかな・・と思っていたが、今回展示された「チャイルド・ハロルドの巡礼」
の松もまた特徴あるターナーの松だった。
バイロンの詩に触発されて描かれたというが、ベルリオーズもまた「イタリアのハロルド」
を作曲したのだった。

展覧会カタログというのは美術本よりずっと割安だが結局はあまり読まないで
本棚深くしまわれそうなので、「美術手帖」のターナー特集を買った。
ターナーは作品をみな国に寄贈したのだと思っていたが、日本の美術館で
所蔵しているターナー作品が意外とあった。どういう経緯で日本に来たのだろうか・・・。

山形県 山寺後藤美術館 ウスターシャーの眺め <水彩>他数点
福島県 郡山市立美術館 カンバーランド州のコールダーブリッジ <油彩>
栃木県 栃木県立美術館 風景・タンバリンを持つ女 <油彩>
東京都 国立西洋美術館 アーレ渓谷 <スケッチ>
東京都 東京富士美術館 嵐の近づく風景 <油彩> 他1点
山梨県 山梨県立美術館 インヴェラレイ城の見えるファイン湾 <水彩> 
静岡県 静岡県立美術館 パッランツアマジョーレ湖 <水彩>

まず行ってみたいのが東京富士美術館かしら。 
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洋館でバロック

2013-11-02 16:50:45 | ルネッサンス・バロック音楽
先週に引き続き今週もバロックトリオのコンサートに。
出演者、プログラム、会場の3拍子揃った興味深いコンサートは
特に前から楽しみだった。

 ファンタスティクス
  Vn.木村理恵 Vg.ロバートスミス Cem. ギジェルモ・ブラケッタ

 場所:旧古河庭園洋館
 プログラムはステイル・ファンタスティクス(幻想様式)と呼ばれる
 ブクステフーデやビーバー、ジェンキンス など


午前中母の住むホームを訪ねた。その日によって状態が違う母がなかなか
私を放してくれなかったので時間を気にしつつ、昼ごはんの時間まで
付き添ったので遅刻しそうだったが5分前には到着。建物や庭園はあとで
ゆっくり見るとして、さっそく靴を脱いで応接間のようなところに通される。
チェンバロは御馴染みのギタルラ社のジャーマンがあり、もう席はかなり
埋まっていた。

さてチェンバリストを除く御二人はアンサンブル・レ・ナシオン一員として
数年まえ仙台で聴いていたがソロ曲でじっくり聴くのは初めてだ。
プログラムを開け チラシに書かれてない曲をチェック。
チェンバロソロ曲としてムファットのパッサカリアあり、未知の作曲家2曲も
あり、いいプログラムだな・・と期待がますます膨れあがる。

プログラムはジェンキンスのファンタジアで始まった。2つの弦楽器の音質がよく
融け合っており、チェンバロは控えめだがしっかり支えていていた。
ブクステフーデのトリオソナタは以前から実演を聴いてみたかった曲。
宗教曲やオルガン曲の堅いイメージがどうしても強いブクステフーデだが
トリオソナタを聴くと本当に自由奔放で聴かせどころたっぷりで驚いてしまう。
ビーバーの「描写ソナタ」はいつ聴いてもついにんまりしてしまうが
今回演奏者の表現力も群を抜いて素晴らしいものだった。未知のベルターリ
ソナタは失われた部分を補ったという。まだ発見されてない曲を見出す喜び
も古楽の世界にはまだたくさんありそうだ。
ブクステフーデを2曲も聴き、すっかり満たされた気持になって会場をあとに。

バラ園は予想していたより小規模だったがその奥に日本庭園が広がっていたので、
昼ごはん抜きの空腹に耐えながら足早に敷地内を散策。日が短くなったので
やはり昼間のコンサートの方が高齢者には行きやすいなあ、、と思うのだった。
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