古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

まとめ買いCDその一

2012-12-30 11:00:00 | ルネッサンス・バロック音楽
今年もあと一日。
自分用クリスマスプレゼントにしようと思っていた楽譜、CDのうち
楽譜6冊は今頃、「出荷しました」というメールが来て、愕然。
やっと届いたCDの方は3枚のうち2枚。残りの1枚はさらに入荷待ちに。
さて聴こうとしたら・・・・驚いたことに1枚は中身が
入ってなかった!早速HMVに返品したが、時期が時期だけに
中身が届くのは年を越して大分経ってからだろう。よく友人とCDを
貸し借りして中身が入ってなかった、ということはままあり、
笑って済ませるのだが、売り物がこれでは冗談じゃない。

中身が無事入っていたCDは最近発売のロンドンバロックの
「18世紀フランスのトリオソナタ」ロンドンバロックは古樂界では
古参の部類になってしまった。私がよく聴いたのは90年代だった。
結成時からチェンバリスト以外はメンバーが変っていない。
最近トリオソナタCDを立て続けに出している。

F.クープラン、ルクレール、ボアモルティエ、ギニヨン・・
F.クープランは『神聖ローマ帝国人』で今更、という感じもしたし、
これだけなら買わなかったのだが、シャルル・ドレのトリオソナタ
ト短調が入っていたし、ヴァイオリン2本とBC のトリオソナタ曲は
実はあまり知らないので聴いてみようかと思った。

さて『神聖ローマ帝国人』は慣れ親しんだトラヴェルソ盤とは大分
印象が違って面白かった。

お目当てのシャルル・ドレ。最初の楽章アダージョはペルゴレージの
「スターバトマーテル」にそっくりで2・3・4楽章はとくによくも
悪くもなく、期待が大き過ぎたかも。

次のルクレールのソナタ3番、ト短調Op.13-6 はじめて聴く曲
だったがさすがヴァイオリンの名手の作曲だけあってヴァィオリンの
魅力満載の華の有る曲。3楽章のアリアは通奏低音なしで2つの
ヴァイオリンだけで奏でられるがこれが素晴らしい。

ボアモルティエはOp.37-2のヴァイオリンとバス・ガンバのトリオソナタ。
旋律をトラヴェルソ、低音楽器をファゴットでも聴いたことがあり、
通低を弾いたこともあった。どんな編成でも楽しめる名曲。

最後のジャン・ピエール・ギニヨン(1702~74)はイタリア生まれで
フランスで活躍したヴァイオリニスト作曲家。同じくらいの年の
L-G Guillemain とつい混同してしまう私だが両者とも聴く人を明るくして
くれるような軽めの快適音楽。

・・となると期待以上にいい選曲のCDという気がしてきた。
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スカルラッティソナタK208

2012-12-27 11:35:00 | ルネッサンス・バロック音楽
今朝の「古楽の楽しみ」ではスカルラッティのソナタ2曲
K・119 & K・208 が放送された。

K・119はいかにもスカルラッティらしいチャキチャキした
躍動感があり、不協和音の連打も土俗的な感じさえしてなかなか
弾きごたえ聴きごたえのする曲。
2曲目のK・208はスカルラッティには珍しいゆったり静かな曲。
アンダンテ・カンタービレ。同調のK・209とセットにしてよく
演奏される。
左手が拍を刻み、右手がアリアのごとく歌うという形、バッハの
イタリアコンチェルトの2楽章アンダンテやパルティータ2番の
シンホニアの中間部アンダンテを思い出した。

この曲を初めて聴いた時、スカルラッティにこんな曲もあるんだ、
と新鮮に感じた。
同じくK87もスカルラッティ先入観を裏切ってくれる名曲で
これは曲想&速度記号が書かれていないという特徴がある。

今日の演奏者はニコラウ・デ・フィゲイレド。
かの「プライヴェート・レッスン」DVDで生徒としてスコット・ロスの
レッスンを受けている。ロスの死の少し前でそう思ってみると辛いもの
もあるが、このような記録が残っているのは実に貴重だ。フィゲイレド
が若いので20年以上の年月を感じてしまうが。

先日のブログで紹介した、「おいしい音楽案内」によれば
スコット・ロスがスカルラッティのソナタの中で一番好きな曲は
このK・208だという。
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そっけない女⇒つれない娘

2012-12-25 20:12:15 | クラシック音楽
今週の「古楽の楽しみ」ではクリスマス時期の宗教曲の名曲に
チェンバロ曲の組み合わせ。今朝のフローベルガーの二長調組曲は
放送されたCDを良く聴いているが朝のまだ疲れていない耳で
聴くとまた感動は新た。たった一度しか聴けなかったレオンハルト
のコンサートも思いだした。

続くはセリーヌ・フリッシュ。こちらはまだ若手のようだ。
ラモーの新クラヴサン曲集から「そっけない女」が放送された。
「そっけない女」・・そんな曲あったっけ、、と思ったら
べーレンライター版の訳では「無関心」という題名になっている曲だった。
「L'Indifferente 」
無関心、そっけない、つれない・・と連想していったら、
ヴォルフの「つれない娘」を思い出した。「心とけた娘」と
対にして歌われる。歌詞はかのゲーテだが、マドリガルの歌詞の
ような他愛のない恋の歌だ。

大分昔歌の伴奏をしたことがあって、ドイツリートも少し
弾いた。そんな中で、ヴォルフに出会い、魅了された。その時
買ったCDがシュワルツコップとフルトヴェングラ-の共演という
珍しい一枚。
ヴォルフ・リートリサイタル。1953年のザルツブルグモーツアルテウム
での実況録音。一曲終ることに待ちかねたように割れんばかりの拍手。

指揮者サヴァリッシュやブリテンの歌の伴奏もとても良かった
記憶があるけれど、フルトヴェングラ―のピアノは武骨だが心深く
届くような魔力がある。

昨年の引っ越しの時、LPは大分処分して後悔した。CDの処分は最小に
しておいてよかった。一枚のCDから今まで忘れていたことが芋づる式に
蘇ってきた。
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ラ・フォル・ジュルネ とタイアップ本

2012-12-24 10:07:10 | 本・雑誌
こがくの今年も残り少なくなった。昨年の今頃は28日まで母の通院付き添い
でよく外出していたが、最近は通院がなくなった代わりにお医者さん
や理学療法士、マッサージ師、ケアマネージャーなどが訪ねて来るよう
になり時間と家にしばられている。そのためか時間ができると一人で出掛け、
たくなり、行く着くところは本屋。幸い吉祥寺には本屋が多いので
あちこちへ行く楽しみもある。

新書コーナーで目に入った本。スペインとフランスの作曲家に限った
簡便な音楽案内。帯にはラ・フォルネ・オ・ジャパンのPRがあり、
何かと思ったらその音楽祭のタイアップ本のようであった。
ラ・フォルネ音楽祭には数年前にバッハの時に一度行ったきりで、
あの時は時間も限られてコンサート選びも誤り、あまり良い印象がない。

2013年の音楽祭のテーマは「パリ、至福の時」。
フレンチバロック曲も当然有るだろうと思ったのだが、『19世紀後半から
現代までパリを彩ったフランス、スペインの作曲家の音楽』という
ことなので残念ながら望めない。

本には一部のスペイン篇でスカルラッティやスコットロスの話、
二部のフランス篇でクープランの話なども載っている。チェンバロの
記述の中でチェンバロの楽器装飾としてヴァン・ダイクが描いた
ものがあるという話は初耳だった。ルーベンスの弟子でもあり、
リュッカースとは同じ芸術家のギルド:聖ルカ組合員だからそういう
こともあり得るのだ。楽器は現存しているのだろうか?

名著「チェンバロ・フォルテピアノ」にも載っているリュッカース
のグラン・ラヴァルマンはルーベンスと親しかったヤン・ブリューゲルらが
装飾したという。パリの音楽博物館にはいつか行ってみたいものだ。

フェルメールの絵にしばしば見られるチェンバロの装飾をした画家は
どんな画家達なのだろう、とふと思った。
 
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私の必見美術展2013

2012-12-17 10:05:45 | 展覧会
来年の美術展の詳細がわかる雑誌をまた昨年と同じく買って、行きたい
展覧会をチェック。付録にハンドブックも昨年と同じく付いていて便利。
今年は当たり年だったが来年も今年に劣らず豪華。コンサートと
違って日時が限られないので多分行けるだろうとの期待を持って・・。

①白隠展  12月22日~2月24日 Bunkamura
②エル・グレコ展  1月19日~4月7日 都美術館 
③若冲が来てくれました 3月1日~5月6日 仙台市博物館
     東日本大震災復興支援特別展でこの後、岩手、福島へ巡回
④ラファエロ 3月2日~6月2日 西洋美術館
⑤ダ・ヴィンチ展 4月23日~6月30日 都美術館
⑥貴婦人と一角獣展 4月24日~7月15日 国立新美術館
⑦ゴッホ展 5月26日~7月15日 宮城県美術館
⑧プーシキン美術館展 7月6日~9月16日 横浜美術館
⑨興福寺仏頭展 9月7日~11月24日 東京芸大美術館
⑩ターナー展 10月8日~12月18日 都美術館

「貴婦人と一角獣」は、まさか東京で観られるとは思って
なかったので楽しみだ。五感を表す5面と「我が唯一の望み」
の計6面がすべてみられるとのこと。パリのクリュニー中世美術館に
行かねば観られないものと思っていたのに・・。

「ダ・ヴィンチ展」は稀少な油彩画の「音楽家の肖像」がくる。
伝・ダ・ヴィンチとなっている解説もあり、顔はダ・ヴィンチで
他は弟子によるとか。いろいろ訳ありのようだ。モデルについても
楽譜を持っているので友人で音楽家のアタランテ.ミリオロッテイと
いうのが有力だそうだが、付録のハンドブックにはジョスカン・
デ・プレ(カレと誤植!)やフランキーノ・ガッフリオとなって
おり統一がとれていない。

「若冲が来てくれました」は若冲のほか、円山応挙、曽我蕭白、
長沢芦雪、酒井抱一、鈴木基一などの作品も。オーナーのプライス夫妻の
「江戸絵画の楽しさを東日本大震災被災3県の子供たちに伝えたい」
との思いで実現したそうだ。

ゴッホ展は京都、宮城、広島の3ヶ所。日本初公開作品が多いこと
や自画像が8点もくるというので観たいが、これも東京での展示は
ない。
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ルーマンのトリオソナタCD

2012-12-14 10:15:45 | ルネッサンス・バロック音楽
数年前、山形天童のミュジアムコンサートで知ったスウェーデンの作曲家
J・H・ルーマンのオーボエトリオソナタ ト短調。コンサートでは
バロックオーボエとヴァイオリンとBCの編成だった。

当時楽譜を探したら、WIMAに原曲のト短調とリコーダー2本の編曲版ハ短調まで
揃っていた。それ以来ルーマンのトリオソナタは大切なレパートリーに
なったのだが・・・。
ところがトラヴェルソのトリオソナタの楽譜を探していてクヴァンツを
チェックしていたら、Baroquemusic.it にルーマンと全く同じ曲が
クヴァンツ作トリオソナタとして載っていてびっくり。但し調と楽章名
は悉く違う。
確かにこの曲、クヴァンツに似ている部分もあるが、クヴァンツの作と
されている曲が実は違う作曲家のものだった、という例があるだけに
やはりルーマン作と思いたい。

クヴァンツ作           ルーマン作
イ短調 フルート2本+BC     原曲 ト短調 
1楽章=Affetoso         Adagio 
2楽章=Presto          Allegro
3楽章=Larghetto         Andante
4楽章=Vivace          Presto assai

ルーマンの作品はスウェーデン音楽図書館でBeRI という番号で
分類されており楽譜をみることができる。このトリオソナタは
BeRI 101にあたる。

最近ルーマンのリコーダー・トリオ集というCDが発売されたので予約して
楽しみに待っていたのがやっと届いた。原曲はヴァイオリン2本。

演奏はイタリアのDVLCIS IN FVNDOというグループ。初めて聴く。
「甘いものは最後に」とflauto dolce をかけているのだろうか、
グループ名は素敵なのだが・・。

6曲入っており、まずはざっと聴いてみたら曲は良さそうなのだが、
演奏が全体に少々粗雑な感じで期待を裏切られてしまった。

同じルーマンのトラヴェルソCDを聴いて耳直し。こちらはソナタ全12曲
全曲聴ける。

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ツィメルマンコンサート

2012-12-09 17:20:00 | クラシック音楽
昨日は所沢ミューズの「ウイークエンド ピアノシリーズ」の第2弾。
クリスチャン・ツィメルマンのコンサートだった。日本でもファンが多く、
数年前、仙台でもコンサートがあったのだが入場料が高くて諦めた
ことがあった。

最初はオール・ドビュッシー・プロということだったが、10月末に
発表されたプログラムは前半ドビュッシーで後半がシマノフスキ
の前奏曲にブラームスソナタ作品2の2番に替わった。
ドビュッシーばかりよりは良かったと思った。ブラームスのピアノ
ソナタの作品5の3番ならよく知っているのだが、2番ってどの曲だ
ったけ?。幸いツィメルマンの演奏がYoutube にあったが(これは違法に
載せられたそうで訴訟中とか。開演前もシツコイほど録音録画は固く
お断りします、と放送や係り員が座席を回ってアナウンスしていた)

コンサート開演が17時というあまりみかけない時間。自分の夕食
はともかく母の夕食を用意しては所沢へ。
会場はほぼ満員。ドビュッシーの版画の3曲、前奏曲集第1巻から
6曲のいずれもよく知られている曲。一音一音に神経が行き届き
くっきりと設計図がみられるような端正な演奏。面白み、ということに
なると私にはエマールのドビュッシーのほうがピンと来る気がした。

休憩後のシマノフスキの前奏曲3曲は初めて聴いた。いずれも
小品だったのであっという間に終ってしまった。若書きの作品でいろいろな
作曲家の要素がみられ、以降の作品も聴いてみないと論じられない気がする。
ロビーに楽譜が張り出されてあったので、携帯で撮ったら imslp で
同じものが公開されていた。

さて最後を飾るのがブラームスソナタ。こちらも20歳頃の作品で、
若いエネルギーには満ちていたが、なんだか混沌としていて理解に
苦しむところもあり、ブラームス自身ももっと推敲したかったのでは
ないかと思った。ソナタ3番やスケルツォ(作品4)にも洗練されない
部分があり、それが魅力にもなっているがこの2番はちょっと・・・。
晩年の作品に見られる比類のない深い境地に至るには若い時このくらいの
豪放磊落ぶりが必要なのかもしれない。そう思って聴くと若気の至り
が何か愛しいものに見えてきた。
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平均律クラヴィール曲集リレー

2012-12-05 08:53:04 | ルネッサンス・バロック音楽
今週の「古楽の楽しみ」はバッハの平均律を様々な鍵盤楽器と
様々な奏者で聴こうという試み。チェンバロ、ピアノは普通としても
クラヴィコード、オルガン、フォルテピアノで弾くどうなるか、興味
のあるところ。

月、火曜日で第1巻の16番まで聴いて、今朝は17番の~終曲まで。
この辺は曲もいいし、クラヴィコードや演奏者の魅力などもあって
4日間の中でも一番楽しみにしていた。

まずクラヴィコード演奏での17ー18番があった。
演奏はカークパトリック。お名前はスカルラッティのソナタの 「K番号」で
お馴染みだが演奏は聴いたことがあったか記憶にない。クラヴィコードの
音量を多分大きくした?と思われたが、、、速く減衰してしまう音の儚さが
やはりこの楽器の特徴。パイプオルガンとは両極端にある楽器。

19ー20番は若手のバッハ弾き、マルティン・シュタットフェルト。
ゴルトベルク変奏曲の解釈も独特だったが、今日もスタッカートの
多い、面白い演奏だった。特に19番の「フーガ」はテーマのアーティキュレーション
に苦労するのだが、すべてスタッカートで均等に弾かれ、聴いたことのない
曲のようだった。

アファナシェフ、ポリーニという今や巨匠のピアニストで21~24番まで。
最後の24番の「プレリュード」は昔ラジオのクラシック番組のテーマ音楽に
なっていてとても好きな曲だった。弦楽版編曲だったのでピアノで平均律を
さらっていて初めてこの曲に接したときには驚いたものだった。
24番の対の「フーガ」は非常に難解なのだが、テーマの間の間奏部分に
この上なく美しいところがあって救われる。
バッハは演奏者がよければ楽器はどうでもいいと、思うのだった。

明日は第2巻に入り、オルガン、フォルテピアノでの演奏も入る。
第2巻は残念ながら抜粋になる。
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