古楽の小路

30余年住んだ杜の都から東京へ。両親の介護も終了、気が付けば高齢者に。介護される身になるまで音楽生活を楽しみたいものです

イギリスバロック

2015-12-30 11:02:44 | ルネッサンス・バロック音楽
今週の「古楽の楽しみ」は伊・仏・英・独のバロック様式の違い。
今日は英バロックだった。

ルネッサンス時代のイギリスは音楽の黄金時代ともいわれるよう
タリス、バードにモーリー、ブル、ギボンズ、ダウランドその他
綺羅星のごとく。バロック時代になると自国の音楽家より
ヨーロッパ中から音楽家がイギリス目指して押し寄せ活躍し
一大音楽市場として栄えるがそれは現在においても同じようだ。

今日の放送はバロックといってもフィンガー(出身は今のチェコ)
パーセルだけで他はルネッサンス後期と古典派まで含まれており、
特徴はわかりにくかった。

数少ない英バロックの作曲家の中でパーセルの存在は大きい。
イギリス人のパーセルに対する敬愛ぶりにも想像以上のものがある。
チェンバロを始めた頃、ヴァ-ジナル用の曲を好んで弾いていて
その延長でパーセルの「音楽の侍女」集にも惹かれた。同時に
物足りなさも感じ、他の器楽曲や声楽曲と興味が広がっていった。

丁度その頃パーセル没後300年で「ディドーとエネアス」が
上演されるというので母と2人で浜離宮朝日ホールに聴きにいった。
楽団はパーセルカルテットで小規模ではあったが、バロック舞踏も
観ることができた。あの有名なディドーの最後のアリアは今も
忘れられない。様々な録音があるが、やはりこの曲はオペラの場面
の中で聴きたいと思う。

今年もよい出会いやコンサート、展覧会に恵まれたと思う。
本だけはあまり読まなかった。図書館で借り、期限までに
読みきれなかった本が多いこと・・。今年は2度の引越しもあり
落ち着かない時期もあったが、これから先は好きな事にじっくり
取り組める気がしてきた。数年となるか10数年となるかは
わからないが、そのためには少しでも脳の退化を遅らせるように
頭を鍛え、身体も鍛えなくてならない。といっても運動は嫌い
なので体操程度で、ともう逃げ腰。

音楽ではアンサンブルに力を入れたいと思っているのでパート
練習はもとより、全体の中での自分の役割を知り、それが
ちゃんと演奏に反映するような「アンサンブル力」を増したいと思う。
小さい家に移ってから家事も短縮できて、正月準備も大体終わり。
あとは娘が来たら家族の会話が楽しみだ。





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古楽

2015-12-27 21:20:00 | ルネッサンス・バロック音楽
来年25歳になる我が家のチェンバロはここ5~6年はなんのトラブルもなかった
のがついに弦に異常がでた。先日、製作家に調整をお願いしたとき「タマのび」が
数箇所があるので直しておきましたといわれ、恥かしながら「たまのび」って何?
という私であった。
弦の一方はループ(タマ、とめ輪)にし、ねじって小さな釘にひっかけてあるのだが
それが経年変化で伸びてしまい調律が不可能になってしまうというものだ。

古楽器愛好家の集いの前日調律していたら違う箇所でまた「タマのび」発生。
チューニングピンをいくら動かしても音が変わらず調律不能。恐ろしくなり、
数日おかずまた専門家に依頼、アンサンブルの集いの当日ぎりぎりで
間に合った。大分前に楽器のピッチを415⇔392にしてから全く弦が切れなく
なったので弦の張り方もすっかり忘れてしまっている。響板にヒビが入ったり
することもあるそうなので、何かあったらまたすぐ専門家に頼んだほうが
よさそうだ。

さてアンサンブル会ではリコーダー愛好家が集まって新進気鋭のチェンバリストと
合わせてもらい、ソロチェンバロ曲もお願いしてミニコンサートも出来た。
チェンバリストは初見で見事に通低を弾かれ、つい聴き惚れてリコーダーに
専心できないほどだった。後の食事会で「『古楽』という言葉が日本で使われる
ようになったのはいつごろでしょうね?」と言われた方がいて、そういえば
いつごろからだろうと気になってしまった。

80年代の「季刊リコーダー」の頃からかな・・と漠然思ったが、思いつくままに
調べてみると
カテリーナ古楽合奏団が1973年創立、中世、ルネッサンスの古い楽器を
使って演奏する合奏団だがバロックまでは含まれていない。
1967年訳、A.ドルメッチの「17・18世紀の演奏解釈」の訳文に「古い音楽」
というのはあるが「古楽」という言葉はない。
1967年発行の柴田南雄氏「西洋音楽の歴史 上」には中世~バロック音楽まで
含まれる意味での古楽器、古楽という言葉が既に見られるのでここあたりが
初めなのかもしれないが、確証はない。

オランダから帰った有田正弘氏の「東京バッハモーツアルトオーケストラ」が1989年、
鈴木雅明氏の「バッハコレギウム」が1990年にいずれも古楽器による演奏
団体を創設。
名著「古楽の復活」が出版されたのは1992年。1990年代から急速に
古楽、古楽器という言葉が普及していったのではないかと思う。

古楽愛好家のための早朝のラジオ番組「古楽の楽しみ」もようやく「古楽」に落ち着いた。
以前は バロック=古楽のようで変であった。ちなみに2011年以前は
「バロックの森」→「あさのバロック」→「バロック音楽の楽しみ」であった。 
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連日チェンバロコンサート

2015-12-20 20:50:00 | ルネッサンス・バロック音楽
今年最後の仙台行き。仙台はやはり東京より少し寒かった。
ニュースで知っていたが地下鉄東西線が既に開通していた。
仙台に居た頃は計画された地域のケヤキ並木の撤去や青葉山周辺
の生態系が変わってしまうという危惧から建設反対の気持ちが
強かったが、仙台を離れ、交通渋滞が緩和するのならしょうが
ないのかもしれないと思うようになった。
これからは採算がとれるか黒字でやっていけるかが問題のようだ。

今回の仙台行きの目的は仙台でお世話になった(今も引き続きだが)
チェンバロ先生のリサイタルを聴くため。コンサートの前には
友人とちょっと豪華なランチや懐かしい道の散策も出来てよかった。
夕方からのコンサート会場は純喫茶「シンガポールナイト」。
限定席40席は満席であった。

満を持して開かれたコンサート(石巻、山形に引き続き)のプログラムは
ルイ・クープランに始まり、デュフリに終わるフランスのクラヴサン音楽の
間にフレスコバルデイにフローベルガー、バッハそしてF.クープランも、
という様々な曲を聴けた。楽器はフレンチフレミッシュ、柴田雄康作
バッハは平均律2曲演奏されたがフローベルガーのあとでバッハを
きくとなんと自由度の少ない音楽か・・と思ってしまった。
後半のF.クープラン、デュフリでは真骨頂を発揮、アンコールの
ルイ・クープランの「トンボー」は心に染み入る演奏で思わず涙してしまった。

そして今日はまたチェンバロコンサートに吉祥寺の成蹊学園へ。
ここの講堂は大正時代に作られたということで主催の武蔵野文化事業団が
ここを会場にコンサートをできないかと頼み、このたび実現したそうだ。
天井が高いのはよいがチェンバロにはやはり大きすぎた。500人
収容。楽器はジャーマン、ミートケモデル、J.カールベック作

チェンバロ奏者は私にはリコーダーのE.ボスグラーフとのCDでおなじみの
フランチェスコ・コルティ。プログラムはドイツバロック(ベーム、
ラインケン、バッハ、ヘンデル、テレマン)ばかりでどうかなと思ったが、
バッハが登場する前の音楽の状況がわかり、結局バッハの偉大さを
最認識することになった。非常に作曲数の多いテレマンにはめぼしい鍵盤楽曲が
ないのだが今日「ブルレスケ序曲」という鍵盤曲の存在を知った。

バッハの「カプリッツオ最愛の兄の旅立ちにあたって」と「フランス風序曲」が
圧巻だった。
「フランス風序曲」は様々な演奏を聴いているがこんなに活き活きし洒落た
演奏は初めてだった。「パスピエ」や2台鍵盤を駆使した最後の曲「エコー
の軽やかな超速にはぶったまげた。アンコールには「神秘のバリケード」
とフレスコバルディの「トッカータ」も聴けた。大曲の後なのに全く
疲れ知らずのようだった。

もう今年も残すところ10日となった。リコーダーの小さい本番が一つ
あり、これが済んだら、掃除片付けを始めようかと思ったが今年は引越し
があり、まだあまり汚れてないはずだが・・・。



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バッハヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ

2015-12-16 08:52:10 | ルネッサンス・バロック音楽
今週の「古楽の楽しみ」はバッハのヴァイオリンソナタ一色。
頭の中でヴァイオリンソナタと先日歌った「エレミアの哀歌」が
鳴り続けていてどうしようもない。

今週のラインアップはとても考えられていて面白い。中でも今日は
演奏者の顔ぶれといい、曲といい圧巻、笑いも感動もあり最高潮。

バロックヴァイオリンとチェンバロの組み合わせに馴染んでいると
モダンヴァイオリンとピアノの演奏がとても奇異に感じる。
今日は昨日少しだけ放送されたラレードとグレン・グールドで超有名曲BWV1017。
グールドはニューインとの共演より更に自分のパートに集中して
われ関せずと、アンサンブルとしての曲が成り立っていないようだった。

その後のストコフスキー版は大昔のバッハ演奏にはこういう大掛かりな
ものがあった、、と戦前の映画を観るような懐かしい気持ちになり、
次のオルガン演奏は編曲としてはアリ?かもと思った。

しかしその後のクイケン+レオンハルトでBWV1018のがっちり歯車が
かみ合いお互いに信頼しきった演奏を聴き、やっと「待ってました!」
と演奏を楽しむことが出来た。

BWV1014~1019の6曲のヴァイオリンソナタの陰にかくれてしまうような
通低付きヴァイオリンソナタ5曲が真正かどうか諸説あるようだ。
手持ちのポッジャーのCDにはBWV1021,1023のみ入っている。
BWV1021はリコーダー用に移調したものがimslpにあり、美しい低音
の動きを頭に鳴らしながらリコーダーを吹いてみることがある。

明日はBWV1019,1019a に加え、エマニュエルバッハ作かもと疑われる
BWV1020。フルートでしか聴いたことがないので楽しみだが今日ほどの
ワクワク感はもはやなくなった。



















  






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2016年私の必見美術展

2015-12-09 10:58:20 | 展覧会
今年もこの雑誌が出る頃となった。来年企画されている美術展が何か
ワクワクしながらページをめくる。付録はカレンダー、ハンドブックに
A5ファイルもついている。

来年は若冲の生誕300年(1715~1800)とかで「動植綵絵」30幅
初め、全国から作品が集められる。プライスコレクションもまた来日。

とりあえず私が観たい展覧会を月順にピックアップ。

①フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展
 1月14日~3月31日  森アーツセンター
 4月6日~5月8日    福島県立美術館 
    すでに京都では開催中、フェルメールの「水差しを持つ女」初お目見え

②ジョルジュ・モランディ
2月20日~4月10日  東京ステーションギャラリー
 4月16日~6月5日   岩手県立美術館
    すでに兵庫で開催中  須賀敦子さんの本の装丁でお馴染み

③ピカソ、天才の秘密
1月3日~3月21日   愛知県美術館
 4月9日~7月3日    あべのハルカス美術館

④国芳イズム 歌川国芳とその系派
 2月19日~4月10日  練馬区立美術館

⑤カラヴァッジョ展 カラヴァッジョ作品は約10点
3月1日~6月12日   国立西洋美術館

⑥樹をめぐる物語  コローからモネ、ピサロ、マティスまで
 4月16日~6月26日  損保ジャパン日本興亜美術館

⑦若冲展
 4月22日~5月24日  東京都美術館
   期間が短いので要注意だ

⑧ポンピドゥーセンター傑作展 ピカソ、マティス、デュシャン、クリスト
 6月11日~9月22日  東京都美術館

⑨ヴェネツィア・ルネッサンスの巨匠たち(仮称)
 7月13日~10月10日 国立新美術館

⑩鈴木基一展(仮称)
 9月10日~10月30日 サントリー美術館


 

 
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アマチュアとプロの違い

2015-12-07 07:56:40 | その他
音楽の演奏という面からプロとアマチュアの違いとは何だろうか・・と
しばし考えることがある。
バロック曲にはアマチュア(愛好家)のために書かれたといわれる曲が多い。
当時は作曲家がしばしば演奏家も兼ねたから今でいう再現するだけの
演奏家という存在はもっと後の時代、コンサート形式が普及し人々が、
巨匠的演奏を求めるようになってからだ。

アマチュアの定義は 職業としていない、愛好家 ということだろう。
上手とはいえないというイメージもあるので、セミプロ、ハイ・アマチュア
と呼ばれるアマチュアのレベルを越えている愛好家の方もおられ、アマチュアの
なかでは一目おかれる存在となる。
 
コンサートをする場合プロは出演料をいただける、アマチュアは反対に
出演料を出すというおおまかな定義もできる。この辺はデリケートな問題
なのだが知り合いのアマチュアのコンサートで入場料がある場合、出る側も
行く場合もちょっと悩むことが多い。出る側は入場券を売らないで差し上げて
しまうと返って気を使わせてしまうかな・・と思うし、行く側の場合は
コンサートにはいろいろ出費がかさむことがわかっているのでそれほどの
額でもないし払いたいと思うのだ。もっともちょっと高めの場合は割引
してくださる場合が殆ど。

古楽器の発表会はまさにアマチュアの祭典。習いたての初心者からそれこそ
セミプロ級までいらして興味深い。プロ奏者の助けも借りてどうにか形に
なる。誰でも最初は初心者だった・・と当たりまえのことを実感する。その後
どうなるかはその人次第だが。本人の素質努力もあるが先生や同好の士に
恵まれるか、という「運」のようなものにも左右される。

当時の演奏がいかなるものであったかは想像がつかないがアマチュア向けと
いいながら難易度が高い曲も多く、本当にちゃんと演奏されていたのかなと
思う曲も多い。いつも思うのは例えばクープランの「8つのプレリュード」は
初心者向けに書かれているが決して易しい曲とはいえない。テクニック
向上ののための練習曲という中身の薄い、無味乾燥な曲がない。

バロックの曲はその後のクラシック曲に比べ、一般に極端に易しい曲は少なく
極端に難しい曲がないが、曲の多さ、多彩さはひけを取らない。
そういう特色があるのでアマチュアも手を出したくなるということになるが
やはりプロ中のプロとの差は限りなく大きい。

アマチュアは実力不足でも演奏したい曲をする、プロは満足な演奏が出来ぬ曲は
公開では演奏しない。というのが私の思いついたアマ・プロの違い。

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ムファット親子

2015-12-01 10:04:14 | ルネッサンス・バロック音楽
今週の「古楽の楽しみ」テーマはフランス趣味、イタリア趣味。
バロック音楽の様式で音楽論争さえ引き起こした様式の違い。
昨日はF.クープランの「リュリ讃、コレッリ讃」も放送された。
この曲は2台のチェンバロの演奏もあるが昨日はトリオソナタの形で
朗唱も入り、雰囲気がリラックスした感じになった。

今日はベームやムファットが楽しみだった。
ベームはブクステフーデと同じくオルガンのイメージが強い。
国際人G.ムファットにはフランス趣味の「フロリギウム組曲」、
イタリア趣味の「アルモニコ・トリブート」があり、今日はそれぞれ
一曲ずつ放送され、興味深かった。
「調和の捧げもの」の方はまるでコレッリだった。

チェンバロを始めた頃買った。「チェンバロ名曲集」にはベームのヘ短調の
小規模ながら美しい組曲が入っている。ムファットの方は息子の方の
Gottlieb (同じG.ムファットで紛らわしい)の組曲が入っている。
この組曲はイタリア趣味フランス趣味の混合( 融合?)が見てとれる。
もっと他に曲はないかと無料サイトを探したら、「カプリッチョ・デスペラート」
という題名に惹かれる小品が出てきた。
先日超人ベルダーの弾いた、ソレールの「ファンダンゴ」が数日耳を離れず、
自分で弾いてもみたが到底力及ばず、リコーダー発表会でもまだまだ出来て
いないことがありすぎ、絶望して(オーバー?)いたのでこの「失意の狂奏曲」
でも弾いてわが身を慰めることにする。難易度は低く短いのが幸い。
さらなる絶望はもうしたくない・・・・。










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