【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「スーパー・チューズデー 正義を売った日」

2012-04-26 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)


久しぶりに硬派な政治ドラマ。
大統領候補の椅子をめぐって争う二つの陣営。その虚々実々の駆け引き。
民主党の大統領候補をめざすのはジョージ・クルーニー。そのキャンペーン・マネージャーがフィリップ・シーモア・ホフマン。彼の下で働く広報官がライアン・ゴズリング。
男っぽさプンプンの世界ね。
監督も兼ねるのがジョージ・クルーニーだからな。
権力の座をめざして男たちがあれやこれやの駆け引きを繰り広げる。政治信条も何もない、足の引っ張り合い。
そういう意味では、さもありなんで、決して新鮮な話ではないんだけど、お互いの関係がくるくるひっくり返っていく展開のおもしろさには思わず引き込まれる。
若き広報官がどんどん汚辱にまみれて清潔さを失って行く、っていうのも、王道の展開だけど、それだけに安心して観ていられる。
ライアン・ゴズリングがジョージ・クルーニーの脇の甘さを指摘するけど、本人だって脇が甘いんだよな。
それが原因でパワー・バランスがあっちに行ったりこっちに行ったり。
こういう次元の低い争いがアメリカの大統領選を決めているのかと思うと暗然とするけど、リアルではある。
「民主党」なんて実在する政党の名前を使ってこんな映画撮っちゃっていいのかしら。
アメリカの愚かさと懐の広さを同時に見せつけるような映画だな。
ライアン・ゴズリングなんて、最後は「ゴッドファーザーPART1」のアル・パチーノみたいになっちゃうもんね。
「イヴの総て」のラストシーンみたいなところもある。
安心している暇はない。次の世代がすぐ後ろに迫っているってことね。
生き馬の目を抜く世界だな。
同じような愚かなドラマが始まるってことよ。