【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「宇宙人ポール」

2011-12-24 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)


ツボにハマった。
どこが?
わからん。このユルい感じの宇宙人にしてやられたとしか、言いようがない。
頭でっかちの、つるっぱげ。「未知との遭遇」の宇宙人がそのままじっちゃんになったような容貌。
古今東西SF映画に出てくる宇宙人の典型。
こいつが、品は悪いわ、スラングは吐くわ、ぎょっとするような残酷なところはあるわ。なのに、やたら人懐こくて憎めない。
で、アメリカに来たSFオタクの二人のイギリス人青年が、「ポール」と名乗るこの宇宙人を故郷に帰す旅に出ることになる。
さて、行先は?
もちろん、行先はあそこしかない。
このお茶目な宇宙人同様、映画自体も安っぽいつくりの中にどうにも憎めないギミックがあちこち詰まっている。
そう、そう。そこがツボにハマったのかもしれない。
珍道中の果てに待ち受けていたのが、SF映画史を代表する、まさかの大女優。
ああ、あんな形で最期を迎えるなんて、情けないやら、可笑しいやら。
よくこんな仕事を引き受けた。
あんたは、エラい!
「ショーン・オブ・ザ・デッド」のサイモン・ペッグとニック・フロストが主演・脚本を務めたSFコメディと言われても、映画で観る限り彼らはダサいオタクにしか見えないし。
監督のグレッグ・モットーラもよく知らない。
一流の映画とは口が裂けても言えない。
でも、ツボにハマった。
別れの間際に言うひとことがとにかく可笑しい。
感動的なシーンでそんなこと言うなよと思いながら、でも、ある、ある、と妙に納得してしまう。
なんとも人間味あふれる宇宙人。
なんとも好感度あふれるSF映画。
第9地区」をひたすらユルくしたような映画だったわね。
肩の力が一気に抜ける。
そこがツボ。