【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「重力ピエロ」:新宿三丁目バス停付近の会話

2009-05-23 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

ティファニーって、新宿三越に入っているのか・・・。
仙台にもあるわよね。
たしか、仙台でも三越の中にあったはずだ。
仙台にあって、壁に落書きはされていないの?
そんな、仙台中が落書きされているようなこと、言うなよ。
ごめん、ごめん。さっき、「重力ピエロ」を観ちゃったもんだから。
伊坂幸太郎の小説を「Laundry」の森淳一監督が映画化した作品か。
仙台のあちこちで落書きと放火があり、その謎を若い兄弟が解き明かしていくというミステリー映画。
ちょ、ちょっと待て。たしかにミステリー仕立てのストーリーではあるけれど、謎を解くのが主眼じゃなくて、謎を追ううちに浮かび上がってくるひとつの家族の在り方がテーマの映画だからな。誤解するなよ。
そんなこと、観ていればわかるわよ。最強の家族の物語でしょ。
そう。最強の家族の物語。って言ったって、ウルトラマン一家の話じゃないぞ。
だから、わかってるって。伊坂幸太郎がそんな小説を書くわけないじゃない。
そして、森淳一がそんな映画をつくるわけがない。
重力ピエロのエピソードをはじめ、物語に散りばめられた、琴線に触れるエピソードの積み重ねが、家族の絆、家族の姿とは何かを知らず知らずに教えてくれる。
いつもどおり、伊坂幸太郎の原作は、ギミックを利かせながらも、共感を覚える人物造型とウイットを利かせた会話に富んで、人が生きていくことに対する、いとおしいほどの思いが浮かび上がってくる。
そのエッセンスを丁寧に映像化して、後味のさわやかな家族映画ができあがった。
「Laundry」に通じる、森淳一監督独特のほわっとした空気感が原作と相性が良かったのかもしれないな。
中心にあるのは血のつながりとは何かという、結構ドロドロしたテーマなんだけど、出演者たちがまた、みな、軽やかに演じていて、みごとに好感の持てる映画に仕上がった。
血のつながる絶対悪との対決っていうギリシャ悲劇のようなディープで重たいシーンもあるのに、ふわっと明るい感覚で見終わることができるのは、原作者、監督を中心とするスタッフ、出演者のアンサンブルがいいからとしか言いようがない。
重たいものを軽々しく、ではなく、軽やかに表現して違和感がない。
そうそう。それはこの物語が言いたいことそのものだ。軽々しく生きるな、軽やかに生きろ!
最強の家族を演じるのは、父が小日向文世、母が鈴木京香、兄が加瀬亮、弟が岡田将生。
なかでも、「最強の家族だ」と笑顔で言い続けなければならない小日向文世の胸の内を想像すると、こちらまで息苦しくなってくる。
カツラ姿までがいとおしい。
そして、岡田将生。父、母、兄を演じる俳優陣がそれぞれいい仕事をしているのはあたりまえとして、弟を演じる岡田将生がこんなにいいとは思わなかった。
大胆さと繊細さを兼ね備えていて、いちばん輝いていたころの窪塚洋介をほうふつとさせる。彼が登場するだけで、画面にさわやかな風が吹いてくるから不思議ね。
「春が二階から落ちてきた」という、原作の有名な書き出しに呼応するようにスローモーションで登場する印象的な場面から、映画の空気感を一発で決めてしまった。
私のようなおばさんとしては、無節操にテレビドラマに出てつぶれてしまわないことを願うのみだな。
俺のようなおじさんとしては、お前みたいな無節操なおばさんファンがキャーキャー騒いで、逸材をつぶしてしまわないことを祈るのみだな。
大丈夫。この胸に輝くティファニーのアクセサリーのように大事にするわよ。
ちょ、ちょっと待て。買ってやるとは言ってないぞ、そのティファニー。



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12 コメント

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天然 (miyu)
2009-05-23 20:38:39
コケッコーで目をつけたものの、
ドラマはあまり見ないのでその後ちょっとごぶさたしていた
岡田くんがおっしゃるようにこんなにいいとは思わなかったですよね。
最近やけに映画出演も多いみたいなので、
本当無節操に出てつぶされないことには気をつけてもらいたいですね。
三越って。。。 (rose_chocolat)
2009-05-23 20:39:42
そう絡むんですか(笑)
ちょっと面白過ぎですw
■miyuさんへ (ジョー)
2009-05-23 22:03:49
あ、コケッコーの男の子でしたか。まあ、大きくなって・・・て、
その、近所のおばさんみたいな見方がよろしくないんですよね。
もっと真剣に応援しなければ。
■rose_chocolatさんへ (ジョー)
2009-05-23 22:09:38
そういえば、仙台が舞台のわりに
仙台三越も伊達正宗像もケヤキ並木も出てこなかったですね。
「ゴールデンスランバー」の映画化では
どうなっているのか楽しみです。
こんにちは (まりっぺ)
2009-05-24 11:31:50
役者陣がみないい味を出してましたね。
こんにちは~♪ (由香)
2009-05-24 17:30:42
お邪魔します♪
実は無節操なおばさんファンになりそうです(汗)
未見だった『天然コケコッコー』のDVDを借りてきました・爆

>ディープで重たいシーンもあるのに、ふわっと明るい感覚で見終わることができる
そうでしたね~原作の雰囲気を損なわず、映画の良さも出ていたいい作品でしたね♪
■まりっぺさんへ (ジョー)
2009-05-26 20:35:52
大スターはいないけれど、
理想に近い配役かもしれませんね。
よかったです。
■由香さんへ (ジョー)
2009-05-26 21:34:13
「天然コケッコー」、この映画とは全然違いますが
ほわっとした気分になれる映画でしたね。
岡田君、結構いい映画に出ているのかな。
いつも楽しく拝読しております (真紅)
2009-05-28 13:36:40
ジョーさん、こんにちは!
私も、この映画から「生きろ!」というメッセージを感じました。
岡田くん、いいですよね? 逸材をつぶすおばさんにならないように気を付けます(笑)。
いい映画でした。
■真紅さんへ (ジョー)
2009-05-31 09:57:40
岡田君が大きく伸びるよう、吉高由里子のようにこっそり応援してあげましょう、と相方も申しております。

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