74番 宝泉院
京都市左京区大原勝林院町187
山号 魚山
宗派 天台宗
開基 宗快
本尊 阿弥陀如来
京都のお寺が大好きだ。おすすめ一番はここだ。
遂に、京都大原にまで足を伸ばす。三千院など見どころの多いエリヤだが大寺院を紹介するのは本意ではない。すぐ隣の声明の寺、勝林院と宝泉院を訪ねる。
まず、宝泉院の見所は二つだ。「血天井」と「五葉松」である。いずれも京都検定的には必須の項目である。このシリーズでも紹介したが、関ケ原の戦いの前哨戦で京都伏見城を守った家康の筆頭の家臣、鳥居元忠が少人数で石田三成に対して籠城戦を戦い敗れたものの時間を稼いだことで、関ケ原の勝利をもたらす。その功績を称え、遺徳を偲び、自刃した武将たちの血痕の残る伏見城の床の板を、市内数か所の寺院の天井に使っている。養源院・興聖寺・正伝寺などいずれも100寺に入っている。
五葉松の方は、金閣寺の陸舟の松、善峯寺の遊龍の松と並び天然記念物であり「京の三名松」という。こちらの五葉の松は上層部が滋賀の「近江富士」の姿に似せている立派な枝ぶりで、方丈の庭園から眺める枝ぶりも見事なものだ。しかし近年の気候変動に昨年の台風被害で絶滅の危機にあっている。残念ながら養生の為白い布が巻かれていた。それでも「額縁の庭園」と呼ばれる本堂から柱越しに眺める眺望は格別だ。盤桓園・鶴亀庭園・宝楽園の3庭園を保有する。
寺の創建は鎌倉時代で勝林院の僧坊の一つとして発展した。狭い本堂・方丈内だが、ぼんやり庭を眺めるとしばし時間を忘れる。