アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

582 アチャコの京都日誌 新シリーズ京都100寺巡礼 36番 三鈷寺

2019-03-28 11:09:21 | 日記

二つの大仏と、7つの城を眺める絶景のお寺!

36番 三鈷寺

 

京都市西京区大原野石作町1323

山号  華台山

宗旨  四宗兼学

創建  源算

本尊  仏眼曼荼羅

別称  往生院

  

十輪寺から善峯寺を目指すと最初の駐車場に、その寺への登山口がある。他方、善峯寺の境内から直結しているので、そこからの方が楽に行けるが、今日はあえて厳しい山道を登るとする。途中、あと三鈷寺まで 〇〇mという木札が立っているが急な登り道は、普段の鍛錬の足らない筆者にはきつい行程だ。

「2大仏7城俯瞰の寺」と呼ばれる絶景の眺めを期待し頑張る。2大仏とは言うまでもなく、京都方広寺の大仏、そして東大寺の大仏だ。7城とは、淀城、伏見城、二条城、大阪城、勝竜寺城、・・・・・。あと二つ?

さて、寺は平安時代に源算が往生院という草庵を結んだのが始まり、その後鎌倉時代に、慈円を経て証空になって浄土宗西山派の道場として現在の寺号になった。背後の山が仏具の三鈷に似ていたからという。

希望すれば住職の解説を聞けて本堂にも入場できるが、今日は一汗かいた後の京都い市内の眺めが一番の御褒美とする。無人の境内でいっとき過ごして善峯寺を経由して帰る事にした。ただし、善峯寺のような大きな寺院を紹介するのは本稿の主旨ではない。

 

 

この眺めが見たくて来た。

極寒の季節だったが心地よい汗が流れた。


581 アチャコの京都日誌 新シリーズ京都100寺巡礼  35番 十輪寺

2019-03-28 11:00:59 | 日記

35番 十輪寺

京都市西京区大原野小塩町

山号  小塩山

宗派  天台宗

開基  不詳 藤原明子(文徳皇后)安産祈願

本尊  延命地蔵菩薩

別称  業平寺

 

阪急向日市駅が最寄りの駅だが、西山の寺院を巡るには自家用車が便利だ。京都駅からは30分ほどで、山陰街道や丹波街道・物集街道が複雑に交差する辺りから善峯寺を目指す府道向日善峯線を西に行くと、突然右手に見えて来る。十輪寺(なりひら寺)という石碑を見逃さないように注意して石段の参道を登る。目当ては塩釜跡である。現在日経新聞夕刊で連載の「伊勢物語」の主人公とされる在原業平の隠棲の寺である。薬子の変で敗れた平城天皇の直系であった為、皇位はおろか出世の望みの薄い業平は、その美貌と歌の才能を武器に数々の女性遍歴を重ねる。あろうことか、将来のお后候補と浮名を流すのである。すなわち藤原高子(たかいこ)後の二条后(清和天皇女御)との恋である。お后となり合えなくなった高子が近くの大原野神社に参詣の時、業平が十輪寺で「塩焼き」を行いその煙で自分の存在を示したという話だ。しかし難波の海から大量の海水を運び込み、それを窯で繰り返し焼いて塩を生成したのである。大阪湾から人力で海水を運ぶ下僕の苦労を思うと、筆者はロマンチックな気分にはなれない。その塩釜跡が本堂の裏手にある。

本尊は、延命地蔵菩薩である。また花山天皇が西国巡礼の時に背負ったという十一面の禅衣観音(おいずるかんのん)も有名だ。なお、庭園は寝て見る、座って見る、そして寝転んで見る「三方普感の庭」と呼ばれている。

創建は、文徳天皇妃である藤原明子(あきらけいこ)の安産祈願に地蔵菩薩を安置したことに始まる。染殿とも呼ばれる明子は四条寺町にも「染殿地蔵」という安産祈願寺院を作るなど熱心な信者であったようだ。その結果、後世に大きな功績を残す清和天皇を無事出産している。

 

狭い境内だが、庭と本堂横の展示物や住職との会話、そして癒し系の猫が何故か嬉しい密かに人気のあるお寺である。


580 アチャコの京都日誌 新シリーズ京都100寺巡礼 34番 楊谷寺

2019-03-27 10:09:35 | 日記

34番 楊谷寺

京都府長岡京市浄土谷2

山号  立願山

宗旨  西山浄土宗

開基  延鎮

本尊  十一面千手千眼観音(秘仏)

別称  柳谷観音

 Yokokuji01n3200.jpg

 

大山崎からタクシーで、15分くらいかかる。縁日の日には送迎バスが運行されるが、普段は乗用車がお勧めだ。大阪府との府境近くの峠にある。開基は、延鎮上人であの清水寺の開基でもある高僧だ。有名になるのはその後空海が度々修行に訪れた事による。伝承によると、眼の見えない子ザルに親猿が堂内の湧水で一生懸命に目を洗っている。それを見た空海が14日間祈祷を行うと目が開いたという。その湧水を独鈷水(おこうずい)と命名し眼病に良いとされた。その後江戸時代初期、霊元天皇の目が悪く、この水で洗うと眼が良くなったという事で、評判が一気に広まったという事だ。その子、東山天皇のお后がここで祈祷し、後の中御門天皇が誕生した事など、親子三代に亘る関係から、中御門天皇勅刻(自ら彫った)観音様が奥院の御本尊となっている。近世の天皇家とはかなり深い関係性がうかがえる。なお、独鈷水は今でも滔々と水が湧き出ていて飲料にも可能なので近所の方が自由に汲みに来ている。確かにまろやかな美味しい水であった。

浄土苑

また、本堂から奥の院に通じる途中の中庭庭園(特別名勝の浄土苑)は斜面に見事に作られたもので、アジサイ寺とも言われるので、6月ごろが一番の見所となる。因みに、毎月17日の観音様の縁日だけ入る事の出来る上書院は、中庭を見下ろせる絶景であり、映画「日本の一番長い日」で役所広司役の阿南陸軍大将が切腹するシーンに使われたところである。

縁日の中でも、2月17日には、吉野大峰山から山伏たちが来て「大護摩法要」が行われ一層多くの人で賑わう。護摩を焚く煙が遠くからでも見えるほどだ。参道石段から、本堂・書院・庭園を見物し上書院から渡り廊下で奥の院までじっくり見て、境内の西隅にある独鈷水までゆっくり回ると1時間ほどはすぐに過ぎる。大きな水筒やペットボトルをもっていけば湧水を持ち帰れる。


579 アチャコの京都日誌 新シリーズ京都100寺巡礼 33番 宝積寺(宝寺)

2019-03-26 13:03:14 | 日記

33番 宝積寺

 

乙訓郡大山崎町大字大山崎字銭原1

山号  天王山

宗派  真言宗智山派

開基  行基・聖武天皇

本尊  十一面観音

別称  宝寺

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ここから大山崎方面から西山地域を目指す。京都駅から15分ほどでJR大山崎駅に着く。駅前には、国宝の茶室がある「妙喜庵」の脇をすり抜けて、東海道線の踏切を渡る。阪神間の基幹鉄道だけに、複々線に貨物専用線路もあり50メーター近い長い踏切だ。足の弱いご老人は急いで渡る。踏切を渡ると、宝積寺の参道がすぐに始まる。山崎の合戦で有名な天王山の登山道にほぼ重なるので、ずっと登りが続く。一汗かいたころで、山門にたどり着く。

 奈良時代の創建で、開基は行基である。この辺りの土木工事に大きく貢献した高僧である。時の天皇である聖武天皇が、夢のお告げにより「打出」と「小槌」を賜り皇位についたと伝わる事から、「宝寺」と呼ばれる。重要文化財の「五重塔」通称「秀吉一夜造りの塔」が見たくて来た。また御本尊の十一面観音像など、寺宝が多い。

 

これが三重塔だが、逓減率の少ない美しい姿だ。逓減率とは、多重塔の屋根の幅が、構造上上になるほど小さくなるのが普通だが、その小さくなる度合いを、逓減率という。ほぼ同じ大きさで上層に至るので、存在感が大きく感じる。東寺の五重塔や、仁和寺の五重塔が美しいのは、下から上まで屋根の幅が余り変わらず、この逓減率が小さいからだ。秀吉は、この塔から天王山の戦いの状況を見ていたのだろうか。しかし、塔の創建は、1603年となっている。関ケ原の戦いが、1600年だから、それ以前に秀吉は亡くなっている。宝積寺の「秀吉一夜造りの塔」は、秀吉死後の創建だった。建てたのはどこの秀吉か。日本史上、秀吉と言えば豊臣秀吉以外に誰がいるのか。天王山のふもとにあるこの宝積寺の塔が、秀吉の功績に因み、そう呼んだ。それはそれでいい事か。京都や大阪の各地での、太閤伝説が嘘も真も含めて、色々根付いていることに思いをはせながら次に向かう。因みに、本堂の裏から、天王山山頂まではあとわずか、余裕のある方は山頂を目指すのも良い。また、周辺にはサントリー工場やごま油搾油発祥の地「離宮八幡」など見どころが多い。


578 アチャコの京都日誌 新シリーズ京都100寺巡礼 32番 善法律寺

2019-03-23 09:57:52 | 日記

32番 善法律寺

 

八幡市八幡馬場88-1

宗旨  律宗

開基  実相上人

本尊  宝冠阿弥陀如来

別称  紅葉寺

 

 

京都の西南地区、八幡市に向かう。京阪電車の八幡市駅から歩いて15分ほど、また石山八幡宮からも行ける。京都には足利家ゆかりの寺院が、等持院など多くあるが、明治から昭和にかけての皇国史観の中で一時期、逆賊足利尊氏というイメージが作られた。その為尊氏の功績は必要以上におとしめられた。ところが、最近の「室町ブーム」で、尊氏・直義兄弟始め足利家に注目が集まっている。

善法律寺は、三代将軍義満の母、良子の所縁の寺である。鎌倉時代に奈良唐招提寺の末寺として石清水八幡宮の域内寺院として成立した。その折、検校の善法寺宮清が自分の邸宅を寄進したのだ。その3代後の良子が2代将軍義詮に嫁ぎ、義満を産んだ。

見所は、紅葉だ。良子が事あるごとに立派な紅葉を移植した事による。別名「紅葉寺」と言われるのもうなずける。後醍醐天皇も訪れて派手に酒宴を催したと伝わる。足利家と決別する以前の話だろう。当然秋には観光客で賑わう。石清水八幡宮とセットでお参りしたい。

 

※ 尚、今回から京都検定1級の経験を生かして「観光案内」「京都散策プログラム」など、ご希望あれば受け付けます。基本メールで質問してください。勿論無料です。

今度、京都に行くんだけど何処か穴場ない?  こんな質問がありがたいです。

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