仮 62番 正法寺
連休に、大原野の古刹3寺ほど行って来たので、仮に62番~とし、後ほど地域別で整理する。
京都市西京区大原野南春日町1102
山号 宝寿山
宗派 真言宗東寺派
本尊 三面千手観音
開基 智威大徳 中興 空海
別称 石の寺
京都西山大原野地域に歴史ある寺が4つある。淳和天皇陵のある小塩山山麓にそれら古刹は洛中の都市化・近代化に背を向けて残っている。正法寺は阪急東向日駅から車で20分ほど、桜の季節にはソメイヨシノ・枝垂れ・八重桜と順繰りに楽しめる。伺った時は、八重桜の散り初めの時で春の名残を味わった。駐車場に出店を出している男性が、駐車場に侵入した時から眼差しを向けている。よほど珍しい訪問者なのか。確かに連休中にも関わらず帰るまで、檀家さん以外訪ねる人はなかった。出店の男性は何か珍客に話しかけるように聞いて来たが省略する。でも、こんなお寺が大好きだ。
正法寺の創建は奈良時代だが、「西山の弘法さん」と言われるのは平安初期に空海が中興したものだからだ。本尊の千手観音はお顔の左右に化仏を従え三面となっている珍しい形状だ。まずは本堂内でたった一人でしばし過ごす。愛染明王や薬師如来もありがたい。また方丈の方には、大黒天が嬉しそうに走り出している。「走り大黒天」と言いいち早く我々に幸福をもたらしたいのだと言う。
そして見どころは、方丈縁側から見る庭園が絶景だ。はるか京都市内を借景にした壮大な白砂庭園だ。寺のパンフレットには「白砂に浮かぶ鳥獣 春夏秋冬の 名園」と、紹介されている。誰もいない中で景色を独占する。
惜しむらくは近年建て替えた本堂・方丈は明るく襖絵は現代作家によるものだったので、何か普通の金持ちの邸宅にお伺いしたような印象だった。