72番 圓通寺
京都府京都市左京区 岩倉幡枝町389
山号 大悲山
宗派 臨済宗妙心寺派
本尊 聖観音
開基 文英尼公
別称 幡枝御所
京都のお寺が大好きだ。おすすめ一番はここだ。
圓通寺も庭園が必見の寺だ。実相院からは車で5分ほどで、近くには宝ヶ池など散策場所も多く昔から富裕層の居住地域でもある。
瀟洒なたたずまいの地域に広大な敷地を誇る圓通寺だが、見どころは比叡山を借景にした方丈前庭園だ。借景庭園の王者と言っても過言ではない。本尊の聖観音像のある本堂から比叡山の方向に平面の庭園が視野に広がる。高縁の柱やまっすぐ伸びた杉の大木を通して見ると、あたかもそれぞれ額縁に収まったような絶景である。真東の比叡山の頂上を正面に眺めると、あたかもこの庭園に取り込んだのようなこの景色を見る為だけに来たようなものだ。
借景庭園
寺は、後水尾上皇が営んだ「幡枝御所」のあとで、近くの修学院に離宮を完成させた後、門跡寺院として正式に禅寺とした。上皇からは大悲山圓通寺の勅願を賜り、その後霊元天皇の勅願寺として発展した。本尊の左右には江戸時代後半の天皇の位牌が並ぶ。
受付に座る住職としばし歓談する。やはり皇族とは関係が深く、上皇(平成天皇)・上皇后陛下の退位式典にも招かれたらしく、その時、陛下には「退位後は京都にお戻りいただくよう申し上げた。」との事だった。もとより筆者も賛成だ。空気の悪い千代田の地ではなく現在も「王城の地」である京都に「還幸」してもらいたいものだ。皇室関係の話題で大いに盛り上がり、5月始まりの新天皇の「令和カレンダー」を購入して気分よく本日の訪問を終えた。
因みに京都では、東京遷都は正式には発表されていず、今でも天皇は一時東京に行幸しているに過ぎないと解釈している。1200年以上の平安京の歴史からすれば、明治以降120年など大したことではない。なにせ「先の大戦」とは、「応仁の乱」なのだから。