番外 古地谷阿弥陀寺
三門
所在地 京都府京都市左京区大原古知平町83
山号 光明山
宗派 浄土宗
本尊 阿弥陀如来
創建年 慶長14年(1609年)
開基 弾誓
別称 古知谷阿弥陀寺
文化財 木造阿弥陀如来坐像(重要文化財)
京都の名のある寺院はほぼ訪ねた。行かない寺行けない寺は、辺境にあり厳しい登山道の先にある場合、地図でも場所が確認できず行けていない場合、拝観日が限定されていてその日に行けていない場合など理由はいくつかある。しかし、明確な理由もなく行かないお寺もいくつかある。実は、人に言えない理由なのだが「怖い」という寺がある。今回、天気が良いので行って見た。天気が良ければ訪れる人が多く「怖さ」が紛れると思って意を決して行くことにした。
参道
古知谷阿弥陀寺は京都北部大原の里のさらに北端にある。平安の昔、弾誓(たんぞう)上人が生きながら成仏したミイラのあるお寺である。修行の果てに木の実だけを食し体を樹脂化させ腐敗を防ぐ。その為、このような修行をした僧を特に木食上人と言われる。最後は石棺の中に身を置き鐘を打ち、念仏を唱えながら即身仏を目指す。音も声も聞こえなくなったら石棺の空気口を閉ざす。その石棺が阿弥陀寺の奥の石窟にある。従って、一人で行けるものではない。普通のお寺の本堂に一人いても霊気を感じやすい筆者ならなおさらだ。
市内から車で30分。すぐに駐車場が見えてきたが、横着してそのままさらに奥へ。
「禁薫辛酒肉」(精のつく食べ物や酒・肉は禁じる。)の石碑を見て、車を止める。さてここからは覚悟を決めて石段を登って行く。
参籠する施設
見上げると風雪に劣化した建物が見えて来た。受付で拝観料を払い境内へ進む。一人の妙齢の女性が庭の花々にレンズを向けている。目的の石棺を見る前に気を和ませたい筆者は、華やかなミニスカートの女性に怪しまれるのを覚悟で、「なんという花?」と言うと、「絶滅危惧種の珍しい花です。」と明るく答えてくれた。残念ながら名前は失念したが、色々お聞きするとこのあたりの珍しい草花を写真に撮ってインスタにアップすることを趣味にしているのだそうだ。何気ない草花でも実は極めて珍しい種類の場合が多いと教わった。さて、石棺。すぐ右奥手に入口が見える。その女性は、聞くとそこには興味はなく、霊感が強いためそのようなスポットには近寄らないとの事。筆者のような単なる「怖がり」ではないようだ。石棺は入口すぐ奥に見える。段々と目が暗闇に慣れてくると弾誓上人の石棺は洞窟の中央に安置され周囲を巡るようになっている。正面入り口前の経台にて深く頭を垂れて合掌した。無論石棺に近づく気は起きなかった。なお、即身仏は明治初期に現在の石棺に安置されたと聞くが、その当時の状態、現在の状態は何も伝えらていない。石棺の周辺では湿気を感じる事から成仏当時のお姿が保たれているとは考えずらい。
奥に石棺
本堂は、洞窟のすぐ右手。本尊は阿弥陀如来像、そして横の弾誓上人像、上人が自らの遺髪を植え込んだものも本尊として安置されている。しばし本堂高縁から庭園を眺める。山肌に接するように建てられた建造物なので、崖造り(清水の舞台と同様)や切り込んだ崖に建てられた奥行きの無いものなど工夫されている。壁や柱などの塗は山奥なので風雪によって剥げ落ちむしろ歴史を感じる。
絶滅危惧
なお、先ほどの女性から「300メーターほど奥にはもう一人のお上人の即身仏が安置されたお堂がありますよ。」と、誘われた。女性と二人ずれはありがたいが、「怖い」ので早々に逃げて帰った。
庭園