中野笑理子のブログ

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初物七十五日

2018年11月13日 | 日記
初物を食べると寿命が延びる、と聞いたことがあります。
その季節に初めて収穫されたものを食べると、寿命が75日延びるそうなんですね。
その時食べた初物は何だったのか思い出せませんが、子供の頃に大人がそう言うのを聞いて「なんで?」と思ったのでした。
どうして初物を食べると75日も寿命が延びるのか、素朴な疑問をぶつけたのですが、返ってきたのは「なんでもや」という全くもって答えになっていないものでした。
「昔から初物を食べると寿命が延びる言いますのんや」の一言で片付けられてしまい、以来不思議に思っていました。

どうやらこの言い伝えは、江戸時代に始まったようです。
江戸時代、死罪と決まった罪人には、最後の温情として好きなものを何でも食べさせるという決まりがあり、ある罪人がその季節にないものを食べたいと言い、それが収穫され食べられる時期までの75日を生き延びた、ということからきているらしいのです。

落語の千両みかん然り、一心太助の初鰹然り、その旬の時期でしか食べられなかったものも多かった江戸時代。
栽培や養殖の技術が発達した今は、野菜も魚も旬に関係なく年中出回るものも多くなりました。
夏でもハウスみかんが、真冬でも胡瓜やトマトが食べられるけれど、そんな現代でもやはり旬の時期でしか食べられないものはある。

先週末、初物の金文字も眩しいシールの貼られたセコガニが店頭に現れました。
今年もこの季節が来た!
初物とはいえサイズもお値段もお手頃なセコガニ。
蟹スプーンなんて使わなくても、両手でバリバリ食べられるセコガニ。
旬が来たと思ったら、ある日忽然と店頭から姿を消して、毎年別れは突然のセコガニ。

因みに初物を食べる時は、東の方角を向いて笑いながら食べるとよいらしいです。
江戸から東の地方は、西を向いて食べるのだそうです。
食べた後に知ったのですが、偶然にも東向きに座って笑いながら食べていました。
という訳で今年も75日、寿命が延びたのでありました。
めでたし、めでたし。
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