またカニ？

自宅に帰って来てエレベーターに乗ろうとした時、エレベーターホールの隅っこに何かがいました。
眼鏡をかけてよく見ると、虫にしては大きいなと思ったそれはカニでありました。
ええ～ッ、以前も夜道でカニと出会うことはありましたが、海が近いとはいえ建物の中でカニに出会ったのは初めてなのでビックリしました。
なんとか建物の外へ逃がしてあげたいと思い、夕刊と一緒に取ったチラシに乗せようとしますがカニも必死で逃げ、そのすばしっこいこと。

カニと格闘している所へ上の階からエレベーターで降りてきたおばちゃんに「何してるの？」と声をかけられ、かくかくしかじかと話すと「ちょっとそれ貸しッ！」と言うが早いか、おばちゃんは私の手からチラシをひったくりカニを追いかけ始めました。
それッ、これッ、と気合いも迫力も満点のおばちゃんでしたが、カニは蓋つきの溝の中に逃げ込んでしまいました。

「アカンかったわ！」とクシャクシャになったチラシを私に返しておばちゃんはスタコラ行ってしまい、この溝は果たして外へ繋がっているのか、それとも排水タンクのようなものになっていたらどうしようかと暫く見ていると、またカニがひょっこり出てきました。

再びカニを外へ出すべくクシャクシャのチラシで誘導し、やっと外に続く枠まで来ましたが溝から数センチの高さのある枠を越えないと外へは出られません。
カニもここを登れば出られるとわかったのか枠を登ろうとしますが、横に長い体は途中でコテンとひっくり返って登れません。
ハサミが大きく怖かったけどチラシを捨てて素手でホレッと甲羅の下を持ち上げて、ようやっとカニは土の上に出ることが出来ました。
ああ良かった、ちゃんと海まで帰るんだよ～と汗びっしょりになってカニを見送り、クシャクシャのチラシを持って帰ったのでありました。
めでたし、めでたし。

アカテガニという平家がにの仲間のようでした。