近所に『モリちゃん』と呼ばれているおじいさんがいる。
年の頃は七十過ぎ、眼光鋭く、いつもスーパーのベンチか喫煙所にいて、大きな塩辛声で周りの人と話をしている。
奥さんに先立たれ、悠々自適の年金生活。
家に一人でいると気が滅入ってイヤなので、毎日外へ出て人に会って話をするのが好きなのだ。
知り合いでも何でもないが、モリちゃんは知っている人にもそうでない人にも同じように大声で話しかけるので、モリちゃんの身の上やマイブームなど、スーパーに買い物へ行くと知りたくなくても聞こえてくる。
そんな買い物の帰り、モリちゃんの塩辛声がやけに大きい。
「ネエちゃん!ネエちゃん!!」
誰を呼んでいるのだろうか、と顔だけモリちゃんの方へ向けると、ベンチに腰かけたモリちゃんのステッキはまっすぐに大きくこちらを指し示している。
え?!私?
思わず自分の顔を自分で指差し確認すると、その通りどうも私を呼んでいるらしい。
「ネエちゃんこの前、長いパン買うてたやろ?美味しそうやったからワシも買うたんやけど、あら硬ぁて硬ぁて食べられんわ」
周りに聞こえるいつもの大きな声で、モリちゃんは言った。
数日前、具沢山のスープを作って、次の日寒くなったのでシチューにした際にバケットを買って帰った。
きっとその時の事だろう。
「アンタの持ってたパンが美味しそうで、見に行ったら一本だけ残っていたからワシも買ったけど、あんな硬いパンどないして食べるねん」
というモリちゃんを素早くカップスープの売り場へ連れて行き、スープに浸して食べる事を提案すると、モリちゃんは納得してくれたので、楽しそうにカップスープを選ぶモリちゃんを残して私はスーパーをあとにした。
こんな日のBGM♪パンとスープとネコ日和 by 大貫妙子♪
年の頃は七十過ぎ、眼光鋭く、いつもスーパーのベンチか喫煙所にいて、大きな塩辛声で周りの人と話をしている。
奥さんに先立たれ、悠々自適の年金生活。
家に一人でいると気が滅入ってイヤなので、毎日外へ出て人に会って話をするのが好きなのだ。
知り合いでも何でもないが、モリちゃんは知っている人にもそうでない人にも同じように大声で話しかけるので、モリちゃんの身の上やマイブームなど、スーパーに買い物へ行くと知りたくなくても聞こえてくる。
そんな買い物の帰り、モリちゃんの塩辛声がやけに大きい。
「ネエちゃん!ネエちゃん!!」
誰を呼んでいるのだろうか、と顔だけモリちゃんの方へ向けると、ベンチに腰かけたモリちゃんのステッキはまっすぐに大きくこちらを指し示している。
え?!私?
思わず自分の顔を自分で指差し確認すると、その通りどうも私を呼んでいるらしい。
「ネエちゃんこの前、長いパン買うてたやろ?美味しそうやったからワシも買うたんやけど、あら硬ぁて硬ぁて食べられんわ」
周りに聞こえるいつもの大きな声で、モリちゃんは言った。
数日前、具沢山のスープを作って、次の日寒くなったのでシチューにした際にバケットを買って帰った。
きっとその時の事だろう。
「アンタの持ってたパンが美味しそうで、見に行ったら一本だけ残っていたからワシも買ったけど、あんな硬いパンどないして食べるねん」
というモリちゃんを素早くカップスープの売り場へ連れて行き、スープに浸して食べる事を提案すると、モリちゃんは納得してくれたので、楽しそうにカップスープを選ぶモリちゃんを残して私はスーパーをあとにした。
こんな日のBGM♪パンとスープとネコ日和 by 大貫妙子♪