山崎豊子さん

山崎豊子さんが亡くなられた。
つい最近、ある人から山崎さんの話を聞いたばかりだったので少し驚いた。
ある人というのはある会社の社長で、その人から聞いた話である。
社長が懇意にしているＮ氏がこの夏、体調を崩して入院されていた。Ｎ氏はかつて関西の大企業の副社長をされていた方で、今はお年も召されており、引退されている。その入院しているＮ氏のもとに山崎さんから週刊新潮が届いた。
「この年でまた連載を始めました。最後の連載になると思います」という言葉が添えられていたという。

Ｎ氏と山崎さんの関係は40年程前に遡る。当時、副社長だったＮ氏に山崎さんが面会を求めてきた。会ってみると「今度、御社のことを小説に書きます」という事だった。Ｎ氏曰く「山崎豊子は仁義をきりに来たんだよ」
しかしそれは企業として困る、とＮ氏は答えた。すると山崎さんは、じゃあ書かない代わりに何かネタを下さいと言った。そこでＮ氏は、Ｉ商事の話を提供したそうだ。そうして山崎さんは不毛地帯を書いたらしい。
物書きとしてこれから書く相手、それも泣く子も黙る関西の大企業を向こうにまわして、仁義をきりにいくなんてカッコ良すぎる！
「白い巨塔」も「大地の子」も「沈まぬ太陽」もまさに壮絶なんだけど、何より豊子さんご本人が壮絶だったんですね。
ご冥福をお祈りします。黙祷。

山崎豊子さんに捧げるBGM♪タンホイザー序曲 by ワーグナー♪