上海万博開催記念と銘打って、「中国映画の全貌2010」が開催されます。開催期間は7月24日(土)~8月27日(金)。開催場所は東京の新宿K’ s cinema。1980年代から今日までの中国・香港映画60本を連続上映。改革開放以来の映像新時代を通して、中国社会の変貌をうかがうことができる。作品は、「中国少数民族の魂」(「雲南の少女/ルオマの初恋」「白い馬の季節」など)、「古典となった傑作たち」(「芙蓉鎮」「青い凧」など)、「伝統芸能に生きる」(「さらば、わが愛/覇王別姫」など)といったジャンルにわけられている。中でも、「ジャ・ジャンクーの映画世界」(「一瞬の夢」から「四川のうた」まで)、「永遠のレスリー・チャン」(「ぼくらはいつも恋してる!金枝玉葉2」「追憶の上海」など)が見どころだ。
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更に、開催記念として2本の日本初公開作をオープニング上映(7月24日~30日)。その1本、ワン・シャオシュアイ監督・脚本の「北京の自転車」(00年)は、経済成長にともなう都市部と農村の格差と、都市の矛盾を描いた傑作だ。オリンピック開催決定直前の北京。農村から出稼ぎにやって来た17歳の少年が、自転車宅配便の配達人の職につく。だが、支給された新式の自転車を盗まれて、血眼になって探す羽目になる。かつてのイタリア映画の名作で、ビットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」を思わせる内容だ。自転車の行方を求めて、昼となく夜となく、街中を放浪する少年。そして、同い年の北京の高校生たちとの軋轢。01年ベルリン国際映画祭では、銀熊賞・審査員グランプリを受賞した。
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もう1本は、台湾の女性監督ティン・ナイチョンのデビュー作「シャングリラ」(08年)。主人公は、幼い息子を交通事故で喪い、悲しみにくれる台北の母親。あるとき彼女は、息子が生前に描いた梅里雪山の絵を発見、中国・雲南省チベット族自治州に旅立つ。壮大な景観、素朴な人々との触れあい、息子の再来とも思われるチベットの少年との出会い。映画は、心の癒しを求めてさすらう母親の道程を見つめる。ティン監督は、台湾の舞台を中心に活躍する演出家で、本作は中国と台湾の合作。シャングリラは架空の理想郷のことだが、01年に雲南省チベット族自治州中甸県が香格里拉(シャングリラ)と改称。中国一といわれる大渓谷地帯でのロケ撮影が圧巻です。映画祭の詳細はwww.ks-cinema.com/ まで。
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