わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

名作映画をいろどる花のたたずまい

2009-05-06 16:09:06 | 映画の話 あれこれ

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春日部市・内牧の花菖蒲

 各種の花や観葉植物を栽培したり、観賞するのが好きです。桜が散り始めた頃から、わが家の庭(といっても、マンション1階の庭ですが)には、サツキ、コデマリ、デイジー、スズラン、エビネ、各種ハーブの花などが咲き始め、バラは目下つぼみの状態、鉢には丹精した芍薬(シャクヤク)が花開いています。まさに百花繚乱の季節ですね。

 ところで映画にも、さまざまな花が象徴的に登場します。まず、バラといえば、チャールズ・チャップリンの「街の灯」(31年)。放浪者チャーリーと、盲目の花売り娘の愛のドラマですが、中輪の白バラが重要なモチーフになっていた。ラスト、花屋を開いた娘は、一輪の白バラをあげたチャーリーの手のぬくもりから、彼こそ自分の目を治してくれた恩人だと悟る。うれしそうに、バラを持つ手を噛むチャーリー。白バラは、純粋で無償な愛のシンボルでした。

 また、ビリー・ワイルダー監督「お熱いのがお好き」(59年)では、女装のジャック・レモンが金持ちの男に惚れられて、妙なタンゴを踊る。「ラ・クンパルシータ」のリズムにのって、一輪のバラが二人の口から口へ。求婚されたレモンが「あたしは男よ」と言うと、相手は「いいさ、この世に完全な人などいない」と言ってのけます。

 ビットリオ・デ・シーカ監督のイタリア映画「ひまわり」(70年)を象徴するのは、そのものずばりの向日葵(ひまわり)。ナポリで幸せな結婚をした女(ソフィア・ローレン)が、ロシア戦線に送られたまま消息を絶った夫(マルチェロ・マストロヤンニ)をたずねてロシアへの厳しい旅に出る。現地の人々に夫の消息を聞きまわり、やがてひまわり畑にわけいって、途方にくれる彼女。ひまわりの花言葉は「光輝」「愛慕」。いとしい人をどこまでも慕っていくかのように、首をのばすひまわりの群生が印象的でした。名画を飾る花々は、まだまだ沢山あります。そんな映画の中の花を探してみるのも、楽しいものです。

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丹精して育てた芍薬(しゃくやく)の花


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