わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

林海象監督「THE CODE/暗号」の世界

2009-05-01 18:18:48 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

Img079 林海象監督の「THE CODE/暗号」(5月9日公開)が面白い。同監督が企画と総合プロデューサーをつとめているインターネットシネマのヒット・シリーズ「探偵事務所5」の最新劇場版です。暗号の天才、探偵507が、依頼された暗号を解くために上海へ。旧日本軍が隠した軍資金のありかをめぐって、怪しい組織や人物が入り乱れる、という物語。

 探偵507に扮するのは、歌舞伎界のプリンスで、初のアクション映画主演となる尾上菊之助。共演が、かつて日活アクションで鳴らしたエースの錠こと、宍戸錠と、東映の時代劇や、やくざ映画で個性を発揮した松方弘樹。老いたとはいえ、相変わらずカッコいい宍戸と松方が、ガンバトルを繰り広げるシーンが懐かしく、それだけでも必見の価値あり。その他、謎の中国人歌姫にドラマ「篤姫」の稲森いずみ、佐野史郎、斎藤洋介らが出演。

 林海象監督といえば、一貫して探偵映画を撮り続けるユニークな人。「私立探偵/濱マイク」シリーズ三部作などは傑作でした。その魅力は、オールドファッションな映像作りにある。今回の舞台は、古い文化と新しい文化が混在する現代の魔都・上海で、ロケ効果も満点。ソフト帽を目深にかぶり、ブラック・スーツで身を固めた男たち、華麗なドレスに身を包んだ女たち。この対照が、クラシックなムードを醸し出します。

 また、本作でのもう一人の主人公(?)が「CODE=暗号」。探偵507が、みごとに解いてみせる暗号のかずかずは、すべて本物だそうで、暗号のエキスパートが監修。この暗号解読のシーンには、思わずのめりこんでしまう。林海象監督が作り出す映像は、名探偵・明智小五郎と怪人二十面相の対決を創造した江戸川乱歩の世界を思い出させるような、セピア色に沈んだノスタルジックな雰囲気を持っています。

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埼玉県春日部市の牛島の藤です


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