北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

羊蹄山 治山

2009年02月05日 | まちづくり
「尻別川地区民有林直轄治山事業 概成記念講演会」が行われました。



 蝦夷富士こと羊蹄山の治山事業が昭和47年から始まり、37年間の長きに渡る事業がこの平成20年度末に概成(概ね完成)となり、国から北海道に管理が移管されることになり、これを記念した移管セレモニーと記念の講演会です。
羊蹄山の山頂から倶知安・京極・喜茂別町の尻別川までの約9,000haの区域の土石流災害の復旧や保安対策で、国の直轄の事業だそうです。
火山地帯の治山工法がない中で、「低ダム群工法」「浸透工法」「誘導工法」など数々の工法がこの治山事業で確立され、日本の砂防をリードしていたそうです。羊蹄山には、1000以上もの低ダム群があるそうですが、既に樹木の森の一部となって、地域を守っているそうです。昭和56年以降土砂流出の災害は皆無だそうです。
治山とは、コンクリートのダムをつくることではなく、森をつくることだそうです。
 記念講演の講師は、東三郎北海道大学名誉教授で、「低ダム群工法」などの理論を提唱し、技術指導をされた先生です。「カミネッコン」で森づくりを実践している先生でもあります。以前、カミネッコンの話を聞いたことがありました。
講演テーマは、「羊蹄治山の技術原理」と難しそうな題名でしたが、熱弁の中に真理がちりばめられ、羊蹄山や森に対する思いが楽しかったです。会場には、これまで事業にかかわられた方々や業界関係者が多く、一般の町民にも聞いてほしかった話でした。
 樹があるから土砂崩れが起きないのではなくて、地表が崩れないから樹が育つ。育つには、それなりの年月が必要なのです。
 人間社会には上下関係があるかもしれないが、森づくりに上下無し、樹に優劣無し。
 心あらば、試みてください。実践してみる、現場にいることが、解決への早道。
 森が水を生み、水が人を育み、人が森を創る。
 観光開発より羊蹄山の美味しい水を大切にしてほしい。

 久しぶりにいい話を聞くことができ、穏やかな時間を過ごすことができました。