エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

CCSの京都CDM化の動向

2010-05-31 06:39:01 | Weblog
 海外から規模の大きな排出枠を調達する手段を確保するためにはCCSを京都CDMの中に位置付ける必要があります。経済発展の過程で化石エネルギーへの依存度が高まってくる途上国にとってもCCSは有効な温暖化防止対策になります。
 しかし、05年にCCSの京都CDM化が適当かどうかを検討する作業が始まったにもかかわらず、いまだに結論は出ていません。COP15でも「CDM化することを推進する」との合意文書は採択したものの、実質的に先送りになりました。
 膠着(こうちゃく)の理由は、技術上の問題や地中からのCO2漏出への懸念よりも、排出量取引市場への影響がネックになっているようです。大量の排出枠を生み出す可能性を秘めたCCSを認めれば、既存の排出枠価格が下落しかねないからです。
 CCSの京都CDM化に反対している代表格がブラジルです。ガソリンに代わる自動車燃料などとして脚光を浴びているバイオエタノールの生産大国だけに、CCS活用による排出削減の加速が自国のバイオエタノールの需要増に水を差すことを懸念しています。

イタリアも省エネ家電買い替えエコポイント類似の制度を開始

2010-05-30 21:55:30 | Weblog
イタリア政府は、省エネ製品への買い替えインセンティブを軸とした4億2,000万ユーロの新たな景気対策を4月15日から実施しています。今回の景気対策パッケージは、省エネ性能の高い製品などへの買い替えインセンティブ(予算額3億ユーロ)と、特定業種向けの研究開発減税など(1億2,000万ユーロ)で構成されています。
消費者向けインセンティブの対象になるのは、エネルギー消費効率に優れた家電やエコ住宅、二酸化炭素(CO2)排出量の少ないオートバイなど、環境対応製品を中心とした約10分野です。最も手厚い予算が割り当てられたのはキッチン家具(6,000万ユーロ)と家電(5,000万ユーロ)で、このほかブロードバンド普及率の底上げを目指した若年層向けの補助も組み込まれています。いずれの製品分野も、購入と同時に古い製品を廃棄することを前提条件としています。補助額は店頭での製品購入の際に販売代金から差し引かれるかたちで支給されます。インセンティブの実施期間は10年末までです。

スマートグリッド時代の電力需給モデル

2010-05-30 00:02:39 | Weblog
Why Today's Utilities May Soon Be Obsolete (and What May Replace Them)は、アメリカでスマートグリッド時代の電力需給モデルのあり方が俎上に上ってきたことを示す興味深い記事です(こちらをご覧ください)。
それによると、モデルとしては、①Pure Market(純粋に市場で取引される形態)、②Intermediated(需要家の個別需要を束ね媒介者が中間に登場する形態)、③Micro Grid(地域ごとに電気の地産地消が行われる形態)、④Centrally Controlled(電力会社が統合する形態)の4つですが、まだ、混とんとしているとしています。

スマートグリッド需要応答を進化させるオープンADR

2010-05-29 22:16:06 | Weblog
 需要応答(Demand Response)は今後アメリカ市場で急速に拡大していくことが見込まれており、コロラド州にある専門調査会社であるパイク・リサーチ社は、2015年までに62500MWに達するものと予測しています。
 現在の市場でのリーダー企業は、EnerNOC、Comverge、CPowerなどですが、パイク・リサーチ社によるとそれらのリーダー企業は潜在需要の14%のシェアしか抑えておらず、は今後ESCO事業者が市場に参入してくると予想しています。ただし、ESCO事業者は独自のアルゴリズムを保有していないので、 その際、大きな効果を発揮すると期待されるのが、Lawrence Berkeley National Laboratoryがカリフォルニア州エネルギー委員会(Califorinia Energy Commission)の支援を受けて開発したOpen ADR(Open Automated Demand Response)があります。
 現在民間団体Open ADR Collaborativeにより普及活動が行われていますが、さらにNISTによる標準化の対象として採択されたことから、今後急速に普及することが予想されます。

アメリカにおけるマネー規制の動向と行方(その2)

2010-05-28 00:00:42 | Weblog
 「ボルカー・ルール」へのアメリカ国内の反応です。
 アメリカ国内では、「ボルカー・ルール」を単なる人気取りの方便とみる向きが多くあります。しかし、G20の金融当局で構成される金融安定理事会(FSB)が同ルール発表翌日、「『大きすぎてつぶせない(too-big-to-fail)』問題に対して、われわれが検討している手段、アプローチと一致する」として歓迎する声明を発表するなど、一定の評価を得ています。
 また、国内でも、メディアからは好意的な反応が多いようです。「ウォールストリート・ジャーナル」紙(1月22日)は「正しい問題提起をした」「勇気づけられるもの」と評しており、「ニューヨーク・タイムズ」紙(1月25日)も「金融規制改革の再出発」と題した社説で「理にかなった出発点」「今後の金融規制改革に不可欠な基礎」と「ボルカー・ルール」の方針に賛同しています。
 世論の反応も上々です。ルール発表後、調査機関のピュー・リサーチセンターが2月3~9日に実施した世論調査では、「政府が主要な金融機関を監督する規制を強化することに賛成するか」との質問に対し、59%が「賛成」と回答しています。09年にも2回にわたり同様の世論調査を実施しているが、いずれも賛成が過半数を占め、金融規制に対する世論の要請が一貫して根強いことがみてとれます。
 「ボルカー・ルール」は現在のところ具体性に乏しく、今後の行方は不透明です。2月2日の上院銀行委員会の公聴会で、ウォーリン財務副長官は「ホワイトハウスは(金融規制強化の)計画の詳細をまだ詰め切れていない」ことを認めています。
 また、金融界からの反発は当然避けられません。さらに、議会も難色を示しています。オバマ政権は、現在上院銀行委員会で検討中の金融規制改革法案に盛り込むことを企図していますが、同委員会のドッド委員長(民主党)は、上院案に盛り込むのは「至難の業」としています。
 それでも、オバマ大統領が声明で示した決意を反映した厳格な規制になれば、大規模金融機関の業務体制を大きく揺るがすことは間違いありません。また、国際的な金融規制のルール作りに先行する動きとしても、今後の動向を注視する必要があります。

「You Energy」へのパラダイムシフトは本当に起こる!?

2010-05-27 05:38:21 | Weblog
いま私たちは、ピークオイルの近未来での到来と地球環境問題の深刻化という2つの危機により、地下の化石燃料エネルギーにより支えられてきたシステムから地上の太陽系エネルギー(太陽光、風力、バイオマスなど)により支えられてきたシステムへと転換しなければならないという命題に直面しています。
化石燃料エネルギーと太陽系エネルギーを比較すると、最も大きな性格上の違いは、化石燃料エネルギーは、濃縮されて特定の場所に大量に存在しているのに対して、太陽系エネルギーは、無尽蔵にあるが広く薄く存在しているために、濃縮するのに技術とコストが必要だということです。
化石燃料エネルギーと太陽系エネルギーは、経済学的には「代替財」の関係にありますので、総需要が一定とすると、ダーティではあるけれども割安な化石燃料エネルギーからクリーンではあるけれども割高な太陽系エネルギーへのシフトは、両者の相対価格を大きく変化させなければ起こりません。そのために税、補助金などでの政策的な対応(前者に対するムチ、後者に対するアメ)が一つの方途ですが、これだけでは足りません。市場における相対価格の変化が基盤にあって、その上に政策的な対応が行われるのが最も効果的であると言えます。
今後の化石燃料エネルギー市場の動向を展望すると、資源供給国の供給余力の低下に伴って市場価格が上昇し、中国、インドなどの新興国におけるエネルギー需要の増大がそれに拍車をかけます。さらに、08年9月リーマンショック後の世界金融危機後に一時停滞してグリーバルな資金循環が回復してきたことから、投機資金が再び回帰し、市場は高騰とともに高止まりすることが確実と見られています。
このことは、部分均衡的にみると、企業経営にとってのコストアップ要因となりますが、あらゆる資源価格の上昇というパラダイムシフトととらえるならば、これまで商業ベースで採算に乗らなかった太陽系エネルギーに関する研究開発プロジェクトに様々な投資機会が到来し、実用化が図れるようになることを意味します。全体均衡的にみれば、化石燃料エネルギーから太陽系エネルギーへのシフトが起こる環境が登場してきていると言えます。

オフィスのIT資産の消費電力を削減する“エコ管理機能”

2010-05-27 00:23:07 | Weblog
 NTTデータ先端技術株式会社は、IT資産管理/検疫LANパッケージ「NOSiDE Inventory Sub System/資産管理」に、オフィスのIT資産の消費電力を削減する“エコ管理機能”を標準搭載し、2010年1月より出荷しています。
 「NOSiDE Inventory Sub System/資産管理」は、資産管理(ハードウェア管理/ソフトウェアライセンス管理/契約情報管理)や、セキュリティ管理(社内セキュリティポリシーへの適合状況検査、OSパッチ配布など)、検疫LAN(ポリシー検査結果に基づくPCの社内ネットワークへのアクセス制御)といった各種機能を提供する製品です。今回、“エコ管理機能”の標準搭載により、IT資産の消費電力を集計/管理するための機能をシームレスに付加することで、オフィスのIT資産の統合的な一元管理を強化しました。
 オフィスで利用される個々のコンピュータから収集する基礎データに基づきPCごとの電力消費量を算出する機能では、モデルデータに基づく簡易計算と、PCの動作情報に基づく詳細計算の2方式に対応します。また、PCの電力消費量を組織単位に集計し、時系列での電力消費量推移をグラフ化する機能により、組織単位での省電力対策の検討/実施を支援します。
 PC電力消費量集計機能で算出した電力消費量の集計値に基づき、省エネ対策を定義し、対策を実施した場合の電力消費量削減効果を推計するシミュレーション機能も備えているほか、電源プラン管理機能では、Windowsクライアントの電源プラン(省電力ポリシー)の収集/割当を行なうことができます。

住生活グループのリフォーム需要取込み戦略

2010-05-26 04:35:04 | Weblog
 トステムとINAXが経営統合して発足した住生活グループは、2010年夏から業務用建材販売店の「建デポ・プロ」を全国展開し、3年間で300店舗出店する予定です。メーカーからの直接仕入などで、5~15%割安にします。
 また、一般消費者も利用できる「建デポ」も月数店舗のペースで展開します。住宅の新規着工が低迷するのか、住宅エコポイントの開始もあって伸びが見込まれるリーフォーム需要を取り込もうという戦略です。

アメリカでもエコポイント類似制度スタート

2010-05-25 07:25:25 | Weblog
米エネルギー省は、2009年米国再生・再投資法に基づき、省エネ電化製品のリベート(払い戻し)プログラムに約3億ドルを補助金として投入しますが、このリベートプログラムは、日本のエコポイントと類似しています。ただ、お金でのリベートですので、日本のエコポイントよりも経済効果は低くなると想定されます。この政府によるリベートは、メーカーや公益法人が実施するほかのリベートなどと組み合わせることもできます。景気低迷が続く中、小売店はこの制度を販売促進策として最大限に活用するよう、追加割引や送料無料サービスなどの特典、営業時間の延長も行うとみられています。
このリベートプログラムの詳細は、各州で定めることができることになっていますが、各州の動向としては、フロリダ州のプログラムが全米でも特に手厚い支援内容として注目を集めています。プログラム利用に当たって所得制限を設ける州やリベート率の低い州もある中で、同州では、対象製品を私用で購入するすべての住民に20%のリベートが与えられることとなっているためです。フロリダ州は、「Florida ENERGY STAR Appliance Rebate Program」という名称で、4月16~25日を対象購入期間としてリベートプログラム を実施します。州内の小売店で販売される一定条件の冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、食器洗い機、室内空調機器、湯沸かし器が対象となります。乾燥機やオーブンなどは対象に入っていません。また、古い電化製品をリサイクル処理した場合にはさらに75ドルが付与されます。消費者は1世帯1,500ドルを限度に、複数の電化製品でリベートを受けることもできます。同州に割り当てられた連邦予算は1,760万ドルですが、先着順予約システムを採用し、予算枠がなくなった時点でプログラムは終了します。より多くの人々がリベートを受けられるよう、申請書の提出期限は5月10日の消印まで有効としています。