エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

上海万博関連:中国の中部の中心都市、武漢市の省エネ・環境とハイテク

2010-05-05 00:04:20 | Weblog
 07年12月国務院は、湖北省武漢都市圏を「省エネ・環境に優しい発展パターンの試験区」として指定し、武漢市は、2010年1月、北京の中関村に次ぎ2番目の「創新示範区」に指定され、優遇政策を策定中です。また、3月に国務院から中部の中心都市として指定されました。
 武漢市は中部で経済規模が最大、交通中枢の都市で、大学が密集していいます。武漢市の09年の域内総生産額(GRP)は4,560億6,200万元(1元=約13.6円)、輸出額は58億3,000万ドルで、いずれも中部6省の省都で第1位です。交通面では、長江の中流にあり、水運が便利です。また、武漢市の天河空港は中部最大の空港で、09年上半期の乗降客数は全国空港ランキングの11位です。さらに、東西方向の上海~成都高速鉄道(新幹線)、南北方向の北京~広州高速鉄道が交差しており、武漢市は高速鉄道ネットワークの中枢になっています。現在、上海~武漢、武漢~広州間の高速鉄道が既に運行しています。また、武漢市は大学の密集地で、武漢大学、華中理工大学、中国地質大学といった名門大学があり、大学在籍者数はおよそ120万人、全国一の規模です。
 一方、湖北省内では、武漢市と周辺都市との発展レベルの差が大きすぎ、武漢市の経済牽引としての役割は発揮されていません。このため、湖北省政府は02年に「武漢プラス周辺8都市」(鄂州、孝感、黄岡、黄石、咸寧、仙桃、天門、潜江)の武漢都市圏という発展戦略を打ち出しました。武漢市と周辺都市との行政システムの連携を強め、武漢市からの産業移転を促進し、経済一体化を実現するという構想です。07年12月、国務院は武漢都市圏を「省エネ・環境に優しい発展パターンの試験区」として指定し、正式に武漢都市圏の経済一体化発展戦略を認めました。
 国務院は3月8日に審査した「武漢市都市総体計画(2010-2020年)」で、「中部の中心都市、重要な工業基地と総合交通ハブ」と位置付けをランクアップしました。旧計画では、「中部の重要な中心都市の1つ」という位置付けでした。これは、武漢市の中部地域での経済影響力がますます高まっているためです。金融機関、大企業が多数、中部の本部所在地として進出しており、みずほコーポレート銀行、HSBC(上海)は武漢市に支店を開設済みです。三井物産、丸紅、伊藤忠、日立などの大企業も武漢市に事務所を設けています。
また、国務院は1月に、光バレーと呼ばれる東湖ハイテクパークを北京の中関村に次ぐ2番目の「自主創新示範区」に認定しました。現在、具体的な発展計画を策定中です。同工業パークには、光ファイバーやレーザー機器などのベンチャー企業が多数集積しています。ベンチャー企業にとっての課題は資金調達で、策定中の発展計画は、投資ファンドや店頭株式市場などを構築することが主な内容になります。