エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカにおけるマネー規制の動向と行方(その2)

2010-05-28 00:00:42 | Weblog
 「ボルカー・ルール」へのアメリカ国内の反応です。
 アメリカ国内では、「ボルカー・ルール」を単なる人気取りの方便とみる向きが多くあります。しかし、G20の金融当局で構成される金融安定理事会(FSB)が同ルール発表翌日、「『大きすぎてつぶせない(too-big-to-fail)』問題に対して、われわれが検討している手段、アプローチと一致する」として歓迎する声明を発表するなど、一定の評価を得ています。
 また、国内でも、メディアからは好意的な反応が多いようです。「ウォールストリート・ジャーナル」紙(1月22日)は「正しい問題提起をした」「勇気づけられるもの」と評しており、「ニューヨーク・タイムズ」紙(1月25日)も「金融規制改革の再出発」と題した社説で「理にかなった出発点」「今後の金融規制改革に不可欠な基礎」と「ボルカー・ルール」の方針に賛同しています。
 世論の反応も上々です。ルール発表後、調査機関のピュー・リサーチセンターが2月3~9日に実施した世論調査では、「政府が主要な金融機関を監督する規制を強化することに賛成するか」との質問に対し、59%が「賛成」と回答しています。09年にも2回にわたり同様の世論調査を実施しているが、いずれも賛成が過半数を占め、金融規制に対する世論の要請が一貫して根強いことがみてとれます。
 「ボルカー・ルール」は現在のところ具体性に乏しく、今後の行方は不透明です。2月2日の上院銀行委員会の公聴会で、ウォーリン財務副長官は「ホワイトハウスは(金融規制強化の)計画の詳細をまだ詰め切れていない」ことを認めています。
 また、金融界からの反発は当然避けられません。さらに、議会も難色を示しています。オバマ政権は、現在上院銀行委員会で検討中の金融規制改革法案に盛り込むことを企図していますが、同委員会のドッド委員長(民主党)は、上院案に盛り込むのは「至難の業」としています。
 それでも、オバマ大統領が声明で示した決意を反映した厳格な規制になれば、大規模金融機関の業務体制を大きく揺るがすことは間違いありません。また、国際的な金融規制のルール作りに先行する動きとしても、今後の動向を注視する必要があります。

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