エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「グリーン・イノベーション」に関するロードマップ(案

2009-12-31 15:14:48 | Weblog
 昨日閣議決定された「新成長戦略(基本方針)」については、今後「基本方針」に沿って、2010年初めから「肉付け」の作業を行い、2010年6月初めを目途に「成長戦略実行計画」(工程表)を含めた「成長戦略」のとりまとめを行う予定です。
 このうち「グリーン・イノベーション」について、経済産業省は、次のような2010年明け以降に策定する「工程表」のたたき台を公表しました。4年以内の集中アクションプラン期間内のアクションの具体化が望まれます。

① 2009年度
・くらし  ○太陽光発電等の導入補助(21年度二次補正、22年度当初予算)
      ○太陽光発電買取制度の開始(21年11月~)
      ○エコポイント制度の拡充(21年度二次補正)(住宅、家電(LED 電球等へのポイント優遇
・動力・産業
      ○エコカー補助・減税(21年度二次補正)
      ○低炭素産業立地補助(21年度二次補正)
      ○革新的技術開発の前倒し(21年度二次補正、22年度当初予算)
・まちづくり
      ○環境配慮型最先端技術によるインフラ/システム輸出支援(21年度
       二次補正)
② 2010年度
・くらし  ○工場立地法の規制緩和(緑地等面積の一部への太陽光発電施設の充
       当)
      ○全量買取制度のオプション提示(22年3月目途)
      ○省エネ基準の強化(建築物、TVなど)
・動力・産業
      ○低炭素産業向けの公的金融支援/低炭素投資リース保険の導入
       (立法措置、22年度当初予算)
      ○低炭素化支えるレアメタル等の確保強化(立法措置、22年度当初予
        算)
・まちづくり
      ○次世代エネルギー・社会システムの実証(22年度当初予算)
      ○「鳩山イニシアティブ」の実行
③ 集中アクションプラン期間:4年以内
・くらし  ○家庭・公共施設への太陽光パネルの飛躍的な導入拡大
      ○再生可能エネルギー導入促進のための諸規制の見直し(自然公園法改正等の検討)
・動力・産業
      ○自動車燃費基準の強化(新燃費規制)
      ○運輸部門での更なるCO2削減策検討(大規模事業者等への導入促進
       など)
      ○次世代太陽電池・蓄電池の研究開発による抜本的高性能・低コスト
       化実現
・まちづくり
      ○日本型スマートグリッドと次世代送配電ネットワークの構築
      ○環境技術・制度を集中投入する「スート・コミュニティ」の全国展
       開
      ○官民協調でインフラ/システム輸出本格展開

新成長戦略ではスマートグリッドが中核に!

2009-12-31 04:47:02 | Weblog
 12月30日に閣議決定した新成長戦略の基本方針(こちらを参照ください)は、2020年度までの平均で国内総生産(GDP)名目3%、実質2%を上回る成長を目指し、20年度の名目GDP650兆円程度にするとともに、4年間で失業率3%台に低下させるとしていますが、そのためのイノベーションの基本は、環境エネルギー分野での「グリーン・イノベーション」と健康分野での「ライフ・イノベーション」です。
 このうち「グリーン・イノベーション」では、2020年までの目標として地球温暖化の中期目標「90年比25%減」とともに、①50 兆円超の環境関連新規市場、②140 万人の環境分野の新規雇用、③日本の民間ベースの技術を活かした世界の温室効果ガス削減量を13 億トン以上とすること(日本全体の総排出量に相当)を目標として掲げるとともに、気候変動問題はもはや個々の要素技術で対応できる範囲を超えているとして、新たな制度設計などを含む総合的な政策パッケージにより我が国のトップレベルの環境技術を普及・促進し、世界ナンバーワンの「環境・エネルギー大国」を目指すとしています。
 そのために実施する主な施策として、① 電力の固定価格買取制度の拡充等による再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱等)の普及拡大する、②低炭素投融資の促進、情報通信技術の活用等を通じて経済社会を低炭素型に革新する、③蓄電池や次世代自動車、火力発電所の効率化、情報通信システムの低消費電力化など、革新的技術開発の前倒しする、④エコ住宅の普及、再生可能エネルギーの利用拡大や、ヒートポンプの普及拡大、LED や有機EL などの次世代照明の100%化の実現などにより、住宅・オフィス等のゼロエミッション化を推進するなどを実行するとしています。
 特にスマートグリッドに関しては、「日本型スマートグリッドにより効率的な電力需給を実現し、家庭における関連機器等の新たな需要を喚起することで、成長産業として振興を図る。さらに、成長する海外の関連市場の獲得を支援する」として、「グリーン・イノベーション」の中核として位置付けるとともに、地方から経済社会構造を変革するモデル作りの有力なツールとしてもとりあげているのが特徴です。
 さらに、アジア太平洋との関係で、日本が成長著しいアジアの「架け橋」となるとともに、環境やインフラ分野等で固有の強みを集結し、総合的かつ戦略的にアジア地域でビジネスを展開する必要があるとして、スマートグリッド、燃料電池、電気自動車など日本が技術的優位性を有している分野において、戦略的な国際標準化作業を早急に進めるとしていることや、2010 年に日本がホスト国となるAPEC の枠組みを活用し、2020 年を目標に「アジア太平洋自由貿易圏」FTAAP)を構築するためのロードマップを策定するとしていることなども力強いメッセージです。

住宅エコポイントとエコポイントの経済効果

2009-12-30 21:55:58 | Weblog
 私が提唱したエコポイントですが、現在のテレビ、エアコン、冷蔵庫に加えて、省エネ対応型住宅の新築や改築を行った場合に商品やサービスと交換できる「住宅版エコポイント」が開始されます。このため、2009年度第2次補正予算案に約1000億円が計上されています。
 エコポイントの支給は10年1~12月に着工し、第三者機関のチェックを受けることが条件です。
 住宅産業は、昨秋のリーマン・ショック以降の景気悪化で低迷が続き、09年度上半期(4~9月)の新設住宅着工戸数は比較可能な1965年以降の上半期で最低レベルとなっています。
 住宅は関連産業のすそ野が広いため、エコポイント制度の導入で「国内材の需要振興につながり、工務店の仕事も増える」(前原国土交通相)などの景気浮揚効果が期待されるとしていますが、エコポイントの経済効果は、それにとどまりません。
 エコポイントは、名目利子率ゼロ、有効期限設定、電子ポイント・電子マネー等の電子媒体の活用という3つの特徴を有しています。エコポイントの効果としては、①環境と経済との調和、CO2の排出レベルの抑制、貨幣循環・経済循環・物質循環の構築、②インフレ、デフレによる経済の不安定化の防止、③深刻なデフレからの脱却、真の意味での内需喚起型経済発展の実現という3つがありますが、この点を解説すると次のとおりです。
 すなわち、デフレ経済の下ではマネーは家計等に退蔵されてしまい、消費や投資が喚起されません。これに対してエコポイントは、次に使われることを想定した価値媒体であり、デフレ経済の下でも貨幣の流通速度を上昇させることにより、経済活性化効果の増加が期待できます。この点は、ノーベル経済学賞を受賞したP・クルーグマンも指摘しているところです。クルーグマンは、かつてベビーシッター券として、エコポイントの考えと同様のことを提唱したことあります。コポイントが電子マネー等になって経済のいたるところまで流通するようになることは、クルーグマンが言うように、「貨幣の流通速度」が上昇することによって景気浮揚を図れるようになります。
 その効果がどの程度か、地域通貨の例で見てみましょう。すなわち、エコポイントとよく似たアメリカの地域通貨であるイサカアワー(米国ニューヨーク州トンプキン郡イサカ市で流通する地域通貨。カフェ・レストラン、銀行、書店、造園業、喫茶、生協、パン工房、デザイン、飲食、病院、市場などが参加)に関する産業連関分析(「地域通貨イサカアワーが地域経済に及ぼす影響分析」(2003年、和歌山大))によれば、イサカアワーによる乗数
1.34と分析されており、貨幣の流通速度上昇により経済効果が30%以上高まることが確認されています。
 この産業連関分析による分析結果は、麻生政権の下で支給された定額給付金の経済効果とは対照的です。ケインズ理論によれば、定額給付金の乗数効果は公共事業の乗数効果よりも政府支出の増加分だけ小さくなります。さらに恒常所得仮説・ライフサイクル仮説によれば、一時給付金や減税の消費刺激効果はかなりの程度否定されます(内閣府試算でも定額給付金の効果はGDPで0.1%)。
 これに比し、エコポイントによるマネー循環の構築というスキームは、消費を直接的に刺激する効果があることが明らであるということです。この考え方を発展すれば、エコであり、かつ、内需主導型の日本経済を実現することが出来ます。エコポイントは、公共投資、減税・交付金に変わる「第3の景気刺激策」と言えます。
また、エコポイントの名目利子率はゼロですので、割引率が1となって「現在の価値=将来の価値」という関係を作り、環境被害の拡大などを防ぐばかりか、1500兆円の個人金融資産や環境分野への投資に関心を示している世界の機関投資家のお金を“将来への投機”ではなく“現在への消費・投資”へと誘導することが可能となります。
 この点に関して、世界の機関投資家がその膨大な投資資金を低炭素化の分野に投入しようという構えを見せていることが注目されます。9月16日世界の投資家たちが、国際社会の政策立案者に対し、COP15において思い切った温暖化対策をとるよう求める共同声明を発表しました。共同声明に署名した投資家の数は181人、その総資産額は13兆ドルで、投資家が集団で発表した気候変動に関する声明としては史上最大級のものです。
 こうした世界の機関投資家のお金を日本の日本の減炭素化事業の遂行に対して呼び込んでくる上においても、エコポイントの積極的な活用が必要です。さらに、この考え方を世界に発信・普及できれば、今の世界が抱えている3つの危機(環境危機、エネルギー危機、金融危機)を同時に解決することも出来るようになります。

APEC地域においてスマートグリッドなどの「非化石タウン」を推進

2009-12-30 15:13:07 | Weblog
 2010年日本がホスト国となってアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催されますが、経済産業省はAPEC会議において、スマートグリッドなどの低炭素技術の集積地域「非化石タウン」の実証事業を推進することを提案する方針です。
 2009年シンガポールで開催されたAPECの首脳会議においては、環境と成長を両立させる「持続可能な成長」のための成長戦略の策定を日本が中心となって具体化することを求めています。このため、APEC域内で低炭素技術の普及や日本の低炭素関連技術の輸出拡大を促す狙いがあります。
 また、APECに加盟する多くの新興国では今後、エネルギー需要の大幅な伸長が見込まれています。選定した地域での実証事業を通じて加盟各国の低炭素社会化に貢献し、エネルギー安全保障の強化、地球温暖化防止につなげることも狙っています。
 11月横浜市でのAPEC首脳会議の前に、APECエネルギー大臣会合が6月に福井県福井市で開催されるのに合わせ、スマートグリッド、ヒートポンプ、省エネビルなどの技術を組み合わせた非化石タウンの実証事業をAPEC加盟国で推進する計画を提示する予定です。加盟国の実情や日本の協力も念頭において、実現可能なプロジェクトの類型を整理し、実現に向けた工程や資金供与のあり方も含め、今年度内に調査を終える予定です。
12月にデンマークで開かれたCOP15において、温暖化防止の資金や技術を先進国が途上国に提供する手法が国際的に議論され、方向づけがなされました。日本政府も、9月にニューヨークで開催された国連気候変動首脳会合でも鳩山由紀夫首相が途上国支援の方策「鳩山イニシアチブ」の具体化を推進しようとしています。 経産省は、米国やアラブ首長国連邦(UAE)など海外でも同様の事業を手がける方針を打ち出しています。

インド政府の太陽光発電促進計画

2009-12-30 07:27:50 | Weblog
インド政府は2020年までに2000万KWの太陽光エネルギー発電所を敷設し、世界のリーダーになることを表明しています。
 第一期として2012年までに1000億円規模の補助金が投入する計画です。


NEW DELHI: The Union Government has finalised the draft for the National Solar Mission. It aims to make India a global leader in solar energy and envisages an installed solar generation capacity of 20,000 MW by 2020, of 1,00,000 MW by 2030 and of 2,00,000 MW by 2050.

The total expected funding from the government for the 30-year period will run to Rs. 85,000 crore to Rs. 105,000 crore. The requirement during the current Five Year Plan is estimated to be Rs. 5,000 crore to Rs. 6,000 crore. It will rise to between Rs. 12,000 crore and Rs. 15,000 crore during the 12th Five Year Plan.

Implementation will be in three phases. The first phase of solar deployment (2009-2012) will aim to achieve rapid scaling-up to drive down costs. It will spur domestic manufacturing through the consolidation and expansion of on-going projects for urban, rural and off-grid applications. This will involve the promotion of commercial-scale solar utility plants, mandated installation of solar rooftop or on-site photo-voltaic applications in buildings and establishments of government and public sector undertakings. The target is 100 MW installed capacity here.

The Mission will encourage the use of solar applications to meet day-time peaking power requirement that is now met through diesel generation. Further expansion of solar lighting systems through market initiatives including micro-financing, in the rural and urban sectors, is expected to provide access to lighting for three million households by 2012.

In this phase, the Mission will make it mandatory for all functional buildings such as hospitals, hotels, guest houses and nursing homes to install solar water heaters. Residential complexes with a minimum plot area of 500 sq m will also be included.

In the second phase, to be implemented between 2012 and 2017, the Mission will focus on the commercial deployment of solar thermal power plants. This will involve storage options, and the promotion of solar lighting and heating systems on a large scale in market mode. This will be without subsidies but could include micro-financing options.

Finally, between 2017 and 2020, the target is to achieve tariff parity with conventional grid power and achieve an installed capacity of 20 gigawatts (Gw) by 2020. The installation of one million rooftop systems with an average capacity of 3 kilowatts (kW) by the same year is also envisaged.

The proposed strategy of the Mission should help achieve significant reduction in the cost of solar power and create a robust infrastructure for it.

中東諸国で高まる再生可能エネルギーに対する関心

2009-12-30 00:11:05 | Weblog
世界の原油埋蔵量の6割があるといわれる中東諸国で、再生可能エネルギーに対する関心が高まっています。
 UAE(アラブ首長国連邦)は、世界の原油埋蔵量の8%を占め、原油の輸出で経済が成り立つ石油国家。そのUAEを構成する7つの首長国の1つで、首都でもあるアブダビでは、今、環境都市の建設が進められています。
 「マスダールシティー」と呼ばれるこの都市では、8万8,000枚の太陽光パネルで、1万kWを発電し、世界で初めて、すべての電力を自然エネルギーでまかなう計画です。総事業費は220億ドル、日本円でおよそ2兆円で、2015年の完成を目指しています。
 アブダビ政府は、ほかにも再生可能エネルギーの導入を進め、2020年までに国内電力の少なくとも7%を再生可能エネルギーでまかなう考えです。
 アブダビは、GDPのおよそ半分を石油部門の収入に依存しています。それでも、石油と競合し、収入を奪いかねない再生可能エネルギーの開発を進める背景には、将来に対する強い危機意識があります。
 アブダビの石油資源は、およそ100年後に枯渇するといわれており、それまでに、石油に依存した経済構造を見直し、国内で必要なエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう体制を整えたい考えです。
 アブダビで2009年6月に開催されたエネルギーフォーラムでは、参加した石油会社のCEO(最高経営責任者)や市場関係者などからは、石油資源の将来を懸念する意見が相次ぎました。
 石油枯渇に備える中東諸国。再生可能エネルギーに対する投資は、今後、アブダビ以外にも広がっていくでしょう。

三菱商事、スペインのアクシオナ社と提携

2009-12-29 06:52:17 | Weblog
三菱商事はスペインの新エネルギー会社、アクシオナと提携し、全世界を対象に新エネ・環境事業を共同で推進しています。
 太陽光、太陽熱、風力などの発電について、今後3年間で総額約2600億円規模のプロジェクトを両社で手掛ける計画です。また、両社は太陽・風関連に加え、バイオエネルギー、水、温暖化ガス排出を抑制する建物や交通システムなどの分野でも広範囲に連携していく予定です。
 投資地域は全世界ですが、欧州、米国、インド・中国などのアジアが主要地域になるとみられています。
 両社の共同プロジェクトの代表例として、ポルトガルのリスボン郊外東南約200kmの農村地帯モーラ地区に共同運で運営している太陽光発電所があります。
 広さ250ha(東京ドーム53個分)の土地に高さ10.8m、横幅13.5mの太陽光パネル(104枚の小パネルで形成)が見渡す限り立ち並んでいます。パネルを支える2520基のトラッカーがコンピューター制御によって、太陽の動きを追いかけ太陽熱を取り入れる仕掛けです。
 その太陽光のエネルギーで約46MWの発電を行い、約3万世帯の電力をまかなっています。投資額はおよそ300億円。この太陽電力の利用によるCO2削減量は8万9000tにのぼります。

EUの「3つの20」とエネルギー消費の20%削減

2009-12-28 06:43:03 | Weblog
 EUは気候変動・エネルギー対策として、(1)20年までに温暖化ガスを1990年比で20%削減する、(2)最終エネルギー消費のうち、再生可能エネルギーの比率を20年までに20%に引き上げる、(3)エネルギー消費を20年までに20%削減する、という「3つの20」を目標に掲げています。
 このうち、(1)、(2)は、EUが4月に採択した気候変動・エネルギーパッケージの中で法制化され、6月に発効しました。(3)は、まだ法制化されていませんが、EUは06年に「エネルギー効率化行動計画」を策定し、07年から6年間かけて実施する優先10分野、約75の行動計画を定めています。欧州委員会は7月に行動計画の見直しに着手し、(3)の法制化を含む7つの特別措置を新行動計画を10年春には策定する予定です。
 こうした中、EUは「エネルギー消費型製品(EuP)に対するエコデザイン要求事項設定のための枠組み指令」の対象製品を「エネルギー関連製品(ErP)」に拡大する新指令を11月20日に発効させました。これにより、加盟各国はErP枠組み指令を10年11月20日までに国内法として整備することが義務付けられました。ErPは、製品の使用時にはエネルギーを消費しないものの、エネルギーの消費に間接的に影響を与える製品を対象とします。例えば、蛇口、シャワーヘッド、窓枠、断熱材などです。
 また、「枠組み指令」としてのEuP指令の下で、EU加盟各国はすでにEuP枠組み指令を07年8月までに国内法として整備しています。EuP指令は枠組み指令のため、特定製品に対して特定の要件を課すものではなく、一般的な原則を定めたにすぎません。このため具体的な規定は、対象となる製品グループ別に実施措置(Implementation Measures)で定めることになっています。
 現在、34製品グループがEuP指令の対象として挙がっており、2009年に入って個別製品の実施規則が次々に発効し、9月までに計9製品の規則が発効しました。。欧州委員会の試算によると、この9製品で20年までに計343テラワット時(TWh、テラは1兆)の電気消費が節約でき、これはEUの電気消費全体の12.5%に相当します。
 このうち2009年4月に発効した家庭用照明機器に関する実施規則では、コーティングされた不透明の電球と消費電力量100W以上のクリア電球の販売が9月から禁止されました。今後は12年までに段階的に白熱電球、16年までに一部のハロゲン電球も含めてエネルギー効率の低い照明が全廃されます。
 また、8月に新たに発効した4つの実施規則(電動機、サーキュレーター、家庭用冷蔵庫、テレビ)によって、2020年までに年間190テラワット時(TWh、テラは兆)のエネルギーを節約できるとしています。これはスウェーデン、オーストリアの年間消費電力に相当します。最も削減効果が大きいのはモーターで、135TWhの節約を見込んでいます。次いで、サーキュレーターで25TWh、テレビと家庭用冷蔵庫で30TWh節約されると予測しています。
 このうち、家庭用冷蔵庫とテレビに関する実施規則については、規則では、既存のエネルギーラベル規制との相乗効果を目指しています。
 EUでは既にエネルギーラベル指令 の下、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、乾燥機、乾燥機付き洗濯機、食器洗浄機、電子レンジ、家庭用照明、エアコンのエネルギーラベルに関する欧州委員会指令が策定されて、これらの製品にはエネルギーラベルの表示が義務付けられています。
 この運用に当たっては、エネルギーラベルが先行して効率性を引き上げ、より高い水準の最低基準を設定していくという手法がとられており、現行のラベル規制だけでも05年の年間消費電力122テラワット時(TWh、テラは1兆)から、20年には83TWhまで下がるが、今回のEuP指令の実施規則により最低基準を設けることで、削減量は20年には6TWh、25年には14TWh、上乗せできるとしています。
 今後は、10年上半期にかけて、家庭用洗濯機、温水器、ボイラー、電気ポンプ、業務用ファン、複雑なセットトップボックス、画像機器、パソコン、エアコン・空調システムに関するそれぞれの規則が採択される見通しです。

ゴア元米国副大統領の、「Repower America」構想

2009-12-27 21:42:54 | Weblog
 ゴア元米国副大統領は、全米の電力100%を10年以内に再生可能エネルギーでまかなう「Repower America」構想を提唱しています。
 ゴア氏によると、米国は経済、環境、国家安全保障の3つの危機に直面していますが、それらの3つに危機は、「炭素系燃料に対する危険なほどの過剰依存」していることから起こっているという共通項を有しています。
 したがって、この共通項に対する解決策は「炭素系燃料への依存をやめること」であるとゴア氏は主張します。気候変動危機の真の解決策は、経済回復、エネルギー価格高騰からの脱出、国家安全保障の確保のための解決策でもあるのだというのです。
 具体的には、安価で、大気も汚染せず、国内に無尽蔵に存在する燃料、つまり太陽・風力・地熱エネルギーの活用です。これら再生可能エネルギーによる発電を実現し、アメリカが抱える問題を本当に解決するに新しくスタートを切る必要があるとして、「Repower America」構想を提唱しているのです。
 ゴア氏は、全国民が一丸となり、目標をしっかりと定めて実現するための目標達成期間は最長でも10年だとします。ケネディ大統領も「10年後に月面着陸を成功させる」という構想を打ち上げ、8年2カ月で実現させました。 
 「今こそ我々の世代が決断すべき時である。我々には、人類のための偉業に挑戦するチャンスが再び与えられているのだ」と、ゴア氏は訴えています。

130年ぶりの照明革命LEDとエコポイント

2009-12-27 09:42:47 | Weblog
 1879年にトーマス・エジソンが発明した白熱電球は、130年間にわたって人類の照明を支えてきましたが、この照明という分野においても、白色LEDという新たな半導体によって革新が起ころうとしています。
 LED(発光ダイオード)は自ら光る半導体であり、赤色、緑色はかなり早い時期に実用化され、中村修二さんが青色LEDを開発したことにより、RGBの3原色がそろい、はじめて白色LEDの量産が可能となりました。
 LEDは電球に比べて15倍以上の価格ですが、寿命は白熱電球の40倍です。したがって、10年以上は取り換えなくてもよく、消費電力は2分の1から3分の1に減ります。LED照明のメリットとしては、蛍光灯に含まれる水銀を含まないということもあります。
 海外メーカーではフィリップスが積極的なビジネス戦略を展開していますが、国内では、シャープがLED照明事業に本格参入しており、同社は、LEDを液晶、太陽電池に次ぐ第3の主力事業に育成する方針です。
 三菱化学、日立電線、同和鉱業などのほか、国内半導体大手の東芝やNEC、日本の照明最大手のパナソニック電工なども参入しています。。
 国内市場は少なくとも3~4兆円と見込まれており、政府は、21年度2次補正でエコポイントの交換対象としてLED照明を選択した場合にポイント数の優遇措置を盛り込んでいます。
 また、液晶テレビにも白色LEDを使って消費電力を下げるという動きがあります。
 しかし、この分野には、もっと新しい原理のフラットパネルディスプレイとして、FED(電界放射型ディスプレイ)や有機EL(エレクトロルミネセンス)などが低消費電力ディスプレイとして登場しています。
 FEDは、ばらつきを抑えられる構造にして、電源電圧も15V程度まで落とすことができるようになり、低消費電力化のめどが立っています。有機ELは携帯電話には多数使われてきていますが、有機膜の信頼性寿命がまだ短いため、まだメーカーは慎重です。