エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

米国と欧州における炭素価格の違い

2010-05-18 05:41:08 | Weblog
 米国の唯一の排出権取引市場シカゴ気候取引所(CCX)におけるカーボン価格(CFI:Carbon Financial Instruments、1トン当たり平均単価)は、03年のCCX創設から08年までの6年間1~5ドルで取引されてきています。08年の平均価格は、4.43ドルでした。
 他方、欧州の同様の市場(EU-ETS)では、同量の二酸化炭素(CO2)が米国の約10倍の価格で取引されています。この価格差の原因は、制度に基づく規制の有無です。
 米国では気候変動対策法案はまだ審議中で、キャップ・アンド・トレードやカーボンクレジット取引、温室効果ガス(GHG)排出削減努力は企業の自主性に任されています。これに対して欧州では、排出権の上限が定められているため、企業は排出権取引などを利用して、規制を順守する必要があります。すなわち、欧州では、コンプライアンス(法令順守)の必要性からカーボンクレジットの需要が高く、必然的にカーボン価格も上昇し、米国よりも高額な価格となります。
 今後米国の気候変動対策法案が議会を通過してキャップ・アンド・トレードが実地されるようになると、米国内でもカーボンの価格が上昇し、EU-ETSなどの国際市場との裁定が起こってくるものと思われます。
 今後国内CDM市場を整備していく日本としても、参考になる動きです。