エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

欧州通貨基金構想

2010-05-07 21:25:38 | Weblog
 欧州ではギリシャ危機を契機として欧州通貨基金(EMF)構想が浮上しています。EMFの設立構想は、3月6日の「WELT」紙のインタビューでドイツのショイブレ財務相が明らかにしたものですい。同相は「IMFを通じたギリシャ救済は、ユーロ圏が自らの問題を解決できないと認めることで、避けるべきだ」と述べ、「今後ユーロ圏の持続的成長を図るためにも、IMFと競合するのではなく、IMFの経験と技術を生かした内部機関が必要だ」と主張し、EMFの設立を提案しました。
 メルケル首相はこれを受け、3月8日に「共通の通貨を持つ地域には、危機が起きた際に対応できる機能が必要だ」とし、10日のフランスのフィヨン首相との会談では、EMF設立を「1つの良いアイデア」として、この構想を推進することで合意しました。
 EMFとは、通貨の持続的安定を図り、ユーロ導入国の国際収支の悪化を防ぐための欧州機関で、必要な際には金融支援を行うものです。欧州委員会の発表でも、メルケル首相の発言でも、一連のギリシャ危機に対するEMFの支援は否定し、EMFの設立はギリシャへの対応とは別の、あくまで中期的な計画としている。また、メルケル首相は、通貨の安定のためにはEU加盟国に義務付けられる安定成長協定に違反した国への厳しい制裁措置が必要で、現在のマーストリヒト条約の改正が必要だ、としています。
 しかし、ユーロ圏加盟国で構成されるユーログループの議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相は、3月9日のメルケル首相との会談で、危機の際に対応できる機関の必要性については賛同しつつも、「EMF構想そのものには疑問点が多数あり、どのような機能を持つ機関なのか具体的には分からない」と述べている。オランダのバルケネンデ首相は11日のメルケル首相との首脳会談後、「EMFの設立はギリシャ危機を解決するには間に合わず、今回の事態ではIMFの助けを借りるべきだ」と語っています。