エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

総務省クラウドの検討事項と地球環境&スマートグリッド

2009-10-31 11:51:57 | Weblog
7月29日総務省が明らかにしたクラウドコンピューティングの検討事項と地球環境&スマートグリッドは、以下の通りです。
 総務省は最近「スマート・ユビキュタスネット社会の実現」ということをスローガンとして掲げており(こちらを参照ください)、地球環境&スマートグリッドは、このような視点からも検討が進んでいくものと思われます。

■地球環境問題、自然災害、食料問題など地球的規模の課題解決のためにクラウド技術をどのように活用可能か。
■電子行政クラウド(霞ヶ関クラウド、自治体クラウド)など公共分野において、クラウド技術を
どのように活用可能か。例えば、政府・自治体がクラウドサービスを調達する際の指針策定な
どが必要となるか。
(参考)i-Japan戦略2015(09年7月6日、IT戦略本部決定)
国民私書箱は、2013年度までの整備を目指し、既存のシステムの利用を視野に社会保障カード(仮称)構想と一体
的に検討し、内閣官房に関係府省からなる連絡会議を設置し、2009年度中に(中略)国民電子私書箱の実現に資する
事項について、実現に向けた課題、費用対効果等の検証を整理し、基本構想として取りまとめ、IT戦略本部において決
定する。
■スマートグリッド(スマートメーターを含む)やITSなど、ICTを活用した社会インフラの高度化にクラウド技術を活用する方策を検討する必要があるのではないか。
■FMCなどが進展する中、固定端末と移動端末の別なく、シームレスなネットワーク環境でクラウド技術を活用したサービス展開をどう考えるか。
■その他、クラウド技術の活用方策として検討すべき事項は何か。

イギリスのフィードインタリフとスマートグリッド

2009-10-30 00:01:53 | Weblog
 イギリスのフィードインタリフ(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に関しては、太陽光以外の再生可能エネルギーについては20年、太陽光に関しては25年とされることが決まりました。
 また、イギリス政府(Ofgem;Office of Gas and Electricity Markets)は、向こう5年間で5億ポンドの資金を投入し、4つの地域でスマートグリッドを導入する方向です。

注目すべきGridpointによるHEMSとV2Gをつなぐ展開

2009-10-29 06:36:38 | Weblog
多数のスマートグリッド関係のスタートアップ企業のなかで特に注目されているのがグリッドポイント(Gridpoint)です。
 同社はバッテリーを介して制御するノウハウを構築し、そのソフトウェアを電力会社に提供する「スマートグリッド・プラットフォーム」を提供し、インターネットの世界のサービスプロバイダーのようなビジネスモデルをエネルギの世界で構築したユニークな企業です。
 そのグリッドポイントがHEMSとV2Gをつなぐさまざまな試みを開始しています。
 まずグリッドポイントは、電気自動車への充電ソフトウェアSmart Charging 3.0を開発しているV2グリーンを買収しました。
 また、同社は、多数の急速充電器の情報をネットワークで管理して会員にサービスを提供しているクールーム・テクノロジーと提携して、自社のネットワークとクールーム・テクノロジーのネットワークを連結するようにしました。
 これにより、家庭や個人はHEMSとV2Gを一体化させてエネルギー管理、CO2排出管理ができるようになります(詳しくは、こちらをご覧ください)。


オバマの「環境、エネルギーおよび経済パフォーマンスに関する大統領令」

2009-10-28 02:14:23 | Weblog
10月5日、オバマ大統領は「環境、エネルギーおよび経済パフォーマンスに関する大統領令」を発令しました(こちらをご覧ください)。
 これによると、連邦政府関係部局に対して90日以内に、次の目標を達成する2020年における持続可能なターゲットとなる政策パッケージを作成することを求めています。
 12月8日~17日のCOP15をにらんだものです。

①2020年までに自動車用ガソリンの使用を30%減少させる(30% reduction in vehicle fleet petroleum use by 2020)
②2020年までに水道の効率性を26%向上させる(26% improvement in water efficiency by 2020)
③2015年までに50%のリサイクルと廃棄物転換を実現する(50% recycling and waste diversion by 2015)
④95%以上の(連邦政府の)契約が持続可能性に関する諸要請を満たすものとする(95% of all applicable contracts will meet sustainability re
quirements)
⑤2030年にネットゼロビル(ビルから排出されるCO2をネットゼロの状態とする)を実現するための諸要請を実行に移す(Implementation of the 2030 net-zero-energy building requirement)
⑥住宅・都市開発省、交通省、環境保護庁により明らかにされている原則に沿った形で連邦政府のビルの持続的位置がなされるようガイドランを作成すること(Development of guidance for sustainable Federal building locations in alignment with the Livability Principles put forward by the Department of Housing and Urban Development, the Department of Transportation, and the Environmental Protection Agency)

GoogleのPowerMeter戦略は第2フェーズへ

2009-10-27 00:50:43 | Weblog
 Googleは、家庭用HEMS市場における戦略の一環として、ウェブアプリケーションGoogle PowerMeterに家庭用電力消費監視装置を接続するという戦略に乗り出しました。
 Googleは10月5日、PowerMeterがTED 5000と連携することになったと発表しました。TED 5000は、家庭の電力消費をリアルタイムで読み出して小さな画面に表示するモニター装置です。エネルギー利用の削減を考える利用者に詳細な情報を提供する監視装置はたくさんあり、TED(「The Energy Detective」の頭字語)はその1つです。
 ユーザーはPowerMeterをTED 5000と組み合わせることで、ウェブブラウザから、あるいはiGoogleを実行するスマートフォンを使って、リアルタイムの電気消費や週ごとの傾向といった詳細な情報を閲覧できます。
 Googleはこれまで、月に1度だけではなく定期的に利用情報を通信するスマートメーターを設置している電力会社と提携してきました。今後は、自宅にスマートメーターが設置されていない個人でも、PowerMeterを利用できるようになります。
 Googleは、PowerMeterとつながる装置の数を拡大することを目指しています。同社はまた、単純な電力消費監視を超える分野にも手を広げたいと考えています。
 Google.orgの気候変動およびエネルギーイニシアチブ担当ディレクターを務めるDan Reicher氏(一時、オバマ政権のDOE長官という下馬評もあった人物)は、2009年5月、PowerMeterで計画している将来の機能には、電化製品を管理して、オフピーク時のより安価な電気料金や需要反応のプログラムを利用できるようにするものも含まれると述べています(こちらをご覧ください)。

急速に導入が進むEUとイギリスのスマートメーター

2009-10-26 00:13:20 | Weblog
スマートメーター導入に関するEU指令では、2020年までに80%の世帯、2022年までに100%の世帯がスマートメータを導入する環境づくりを加盟国に求めています。
 また、イギリスでは、2010年から電力会社に申請すれば無償でスマートメーターの設置が行われるようになりますが、イギリス政府は,今後10年間ですべての顧客がスマートメータを活用できるようになることを期待しています。
 しかも、イギリスのスマートメーターは、CO2排出削減量も定量的に測定できる機能を備えていることが特徴的です(こちらをご覧ください)。
 こうなれば、私が従来より提案しているように、家庭におけるCO2削減分を国内排出量取引制度の下で、企業にクレジットとして売却きるようになります。

急速に進展する中国のスマートグリッド

2009-10-25 00:08:07 | Weblog
日本ではまだ注目度が低いスマートグリッドですが、中国ではスマートグリッド本格的に導入が計画され、新聞等のマスコミでも大きく取り扱われています。
 Shanghai Daily(こちら)は、「中国はスマートグリッドを構築する10年プロジェクトを立ち上げた。このスマートグリッドは送電をデジタル期に突入させ、電力供給の安定やエネルギー保全の押し上げに威力を発するものだ」としています。
 さらに「スマートグリッドは中国が電力産業の課題に対処し低炭素経済を開発するために必須だ」とするアナリストの意見を伝えています。
 中国のスマートグリッドは、2020年の完成を目指し、技術的な基準や計画コンセプトの開発は今年(2009年)から始まっています。
 中国の送電網は約118万km、その大部分は従来型のもので、これを介して約300万ギガワットの電気が送電されていますが、その減退率は6.6%に達しています。中国は、2020年までに電力需要は倍増すると予測されると共に、2020年までに原子力と再生可能エネルギーによる発電の割合を15%にする目標を立てています。そうなると送電網自体が監視・管理システムを持つスマートグリッドを導入しなければならなくなります。
 中国はスマートグリッドに年間680億元(100億ドル)もの資金を投入する必要があるだろうとアナリストは記しています。既にアメリカのGE社CEOは訪中を行い、スマートグリッドを含む業務提携の合意を取り付けています。ドイツのSiemensも積極的にアプローチしています。
 2009年1月、中国は中央部で超高圧送電網(640km)の実証を開始し、今のところ安定的に利用できているので、これを2000kmに拡大する計画だと伝えています。中国国営送電網社(State Grid Copr of China)は超高圧(UHV)プロジェクトへの投資を増額し、2012年までに3000億元(当初計画の50%増)を割り当てる計画です。
 このした中、中国で初めてのスマートグリッドに関する国際大会「SMART
GRIDS China 2009」が開催されます。
 スマートグリッドでも、日本は出遅れてしまいました。時代を先取りする構想力が必要です。

安井至「25%削減という中期目標で日本が払う費用は?」に思う

2009-10-24 00:11:22 | Weblog
 安井至さん(東京大学名誉教授)の「25%削減という中期目標で日本が払う費用は?」(こちらをご覧ください)での指摘は、なかなか考えさせられる要素が盛りだくさんです。
 安井さんの指摘の中で私が特に関心をもった指摘とそれらに対する私のコメントです。

1 「国内のエネルギー、特に安定的に使用が可能な地熱や小水力は多少の費用が掛かってもエネルギー安全保障という観点から、できるだけ整備を進める必要がある」、「洋上風力も候補に入れるべきかもしれない」
(私のコメント)
 もはや聖域なき対応が必要。環境省(国立公園法)による早急な対処や水利権や漁業権などと20世紀型権利システムとの調整メカニズムの早期構築が必要。

2 「原子力については、2020年までの対策としてはすでに遅きに失しているので、見送りとならざるを得ない。
 2050年を予測すると、エネルギー価格の高騰に音を上げる日本国民が目に浮かぶので、良し悪しは別として『原発の増設が必要不可欠だ』という国民的合意に到達するに違いないと予測している」 
(私のコメント)
 2020年については、原子力は現状維持で考えるしかなし。いつまでも、「新設9基、設備利用率80%」という虚構は通用しない。政府も早く現実的視点に立つべし。
 2050年については、消去法によって原子力を選択することは、将来世代に別の意味での負担を残す。
 原子力は①核不拡散、②高レベル廃棄物(半減期が数万年以上)、③安全よりはるかに複雑な安心の確保の3つの未解決領域を残している。この点の解なしに見切り発車することはかえって危険。
 このうち、②については、核種転換の見通しを早くつけるべし。③については、現在のマネーのばら撒きではなく、エコポイント等を活用した地元との真のコミュニケーション・ツールを確立すべし。

3 「2050年までに地球全体で50%の削減という長期目標の実現のためには、先進国がいくら削減しても駄目であることは明々白々。排出権取引は、本来、途上国に資金が渡る仕組みとして途上国と先進国の間で行われることが本筋であり、そのための提案を検討すべし」 
(私のコメント)
 排出量取引制度は、システムとしての国際排出量取引とサブシステムとしての国内排出量取引の2層構造で設計すべし。
 また、蛙とびでスマートグリッドに取り組む中国、インド等における取り組みに技術・資金協力し、日本のCO2削減分としてカウントするスキームの構築に取り組むべし(ODAの活用を含む)。

Z旗

2009-10-23 00:57:41 | Weblog
 アインシュタインの言葉に"Imagination is more important than knowledge"というものがあります。
 今の私のImaginationは、「スマートグリッド→ST革命(ITとETが統合・融合したイノベーション)」ですが、15年前のちょうど今日、シリコンバレーより日本に一時帰国して「シリコンバレーモデル」を日本に初めて紹介したときは、「インターネット→IT革命」が私のImaginationでした。
 その後、Imaginationはエコマネーへと進化しました。
 今の私のImaginationは、「シリコンバレーモデルは甦る」という現象を演出しようとしていると言えるものですが、問題は、地球環境、エネルギー制約という新しい命題が加わり、持続可能性、STイノベーションと社会の安定性(ある種の社会的正義)の鼎立をいかに図るかです。
 この15年間の私の思索、実践を踏まえて、今後の15年間でその答えを出そうと思っています。その走りが今のエコポイントですが、それはエコマネー2・0→エコマネー3・0と進化します。最終的に目指すは、「21世紀の経済学」に基づく「グリーンキャピタリズム」ですが、この点は、私のウェブの関連部分(参照)をご覧ください。
 来年1月までがZ旗(参照)を掲げた日本海海戦となります。

原油価格の動向と今後の見通し

2009-10-22 01:35:36 | Weblog
 今後の再生可能エネルギーの開発には、原油価格の動向が決定的に大きな影響を与えます。そこで今回は、原油価格の動向と今後の見通しについて考えることにします。
 原油価格は世界的な経済危機によって急落しましたが、2009年春先から上昇に転じ、今や1バレル=70ドル台まで高騰しています。これは、在庫調整の進展と世界各国の景気刺激策の効果もあり、春先から「景気底打ち観測」が広まり始めるにつれて、商品市場にリスクマネーが回帰しているためです。
 今後の価格水準に関しては、需要の低下にある程度歯止めがかかったため、今後も高騰する余地はあるものの、昨年前半までのようなドラスティックな上がり方はしないと思われます。
 それは、需給が世界的にかなり緩んでいるからです。現在、OPEC(石油輸出国機構)は約400万バレルの生産余力を持ち、米国にも「心理的に安心できる」と言われる3億バレルを超える在庫があります。
 一方で、世界経済はまだ完全な回復基調にのっていません。米国をはじめとする先進国では、政策効果の出尽くし感や雇用情勢の悪化などにより、実体経済は低迷して「景気の二番底」が到来するとも言われています。このような状況では、需給逼迫による急激な原油高騰は考えにくい。
 原油価格が本格的な上昇を始めるのは、実需を伴った景気回復が始まる2010年からでしょう。昨年消えた需要は主に先進国のものであり、中国をはじめとする新興国の需要は、相変わらず旺盛です。2010年後半には再び需給が逼迫し、そこを狙ってリスクマネーが流れ込んで来るだろうと思います。
 そこでの価格水準は、今までよりも大きく切り上がる可能性が高いことです。
 原油価格は、世界の産業構造と共に大きく変化して来ました。1960年代は1バレル=2ドル程度の水準だったが、2度のオイルショックを経て大きく切り上がり、1970年代~1980年代には、20ドルの水準が続きました。そして、BRICs諸国の工業化による需要急増と、産油能力のピークアウトが不安視され始めた2000年以降は、過去に例がないほどの急カーブで切り上がっています。
 数年前から始まった価格高騰は、原油が他の資源に先駆けて「新たな均衡点」を模索する動きに他なりません。今は、さらなる価格水準へと切り上がる移行期にさしかかっていると考えられます。つまり、世界危機による価格急落は一時的な現象に過ぎず、今後も需給逼迫と価格高騰が続くマクロのトレンドに変化はないと思われます。
 ある分析家は「早晩「1バレル=200ドル」の時代がやって来るだろう。安い資源の時代」は、とうに終わりを告げているのだ」と指摘しています。われわれは、早く再生可能エネルギーの開発に取り組まなければなりません。