エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(政策;草の根からの「ヴァーチャル発電所」

2011-02-21 00:07:17 | Weblog
スマートグリッドでは、センサやインテリジェント・エージェント(仮想代理人となるソフト)がシステムの各所に埋め込まれており、電力の状態に関する情報をリアルタイムで提供してくれるため、必要なときに電流が流れしかも価格は最低限で済みます。
冷蔵庫やエアコン、洗濯機、警報装置などの家電製品、太陽光発電装置や電動装置すべてにセンサが内蔵され、温度や明るさなどの室内環境、CO2排出量などはもとより、太陽光発電による発電量や電気料金に関する情報がリアルタイムで得られる時代はすぐそこまで来ています。
ここで実現するのは、いくつもの小型発電施設をネットワーク化して、ひとつの大型発電所のように見立てる「ヴァーチャル発電所」です。これは、太陽光発電や風力発電など発電量の変動が大きい発電施設に、気象条件などに左右されないバイオマス発電やコジェネレーション・システムなどを組合せ、これらの施設をインターネットなどの情報通信技術を使ってネットワーク化して管理し、それによってひとつの発電所を建設したかのように動かすという考え方です。
 すでにドイツでは、小規模な実証を行いながらその規模を拡大させています。たとえばウナ市(ノルトライン・ヴェストファーレン州)の場合では、5つのコジェネレーション・システム2つのウィンドパーク、1つの太陽光発電施設、1つの小型水力発電施設を組合せて、これらの施設のある地域に電力と熱を供給するヴァーチャル発電所が運転されています。このヴァーチャル発電所は、ウナ市の年電力公社と電力コンサルティング・エンジニアリング会社であるEUS社によって運営されており、その中核となるシステムはEUS社によって開発されました。同システムは、需要予測システム、中央管理システム、自動化システムで構成されていますが、特に重要となる需要予測システムForecastは、過去10年間の電力需要実績から24時間後の電力需要を予測できます。
また、ゴスラール市などを中心としたハルツ地方西部(ニーダーザクセン州)では、ヴァーチャル発電所を電力需要のピーク時に利用する調整電力用エネルギープールとして、大手電力会社Eonから購入する電力量を抑えるために利用しています。地元の配電会社であるハルツエネルギ社は、独自の発電施設を持っておらず、大手電力会社から電力を購入して地域一体に電力を供給していますが、電力需要の変動に効率的に対応するため、地域の個人住宅に設置された小型のコジェネレーション・システム(約200基)と小型水力発電施設、非常電源施設をネットワーク化してヴァーチャル発電所としています。
日本では、北九州市において、インターネット上で自分の世帯のエネルギー使用量をリアルタイムで表示し、省エネ量の「見える化」を図る市民参加型の「ヴァーチャル発電所」である「北九州地域節電所」の構築に着手する計画です。この「北九州地域節電所」においては、省エネ量をエコポイントとして流通させるシステムを構築されます。
このような草の根からの「ヴァーチャル発電所」を各地域で構築し、「ヴァーチャル発電所」同士をネットワークでつないでいけば、前述した「エネルギー&インフォメーションウェブ」が自ずから形成されます。京都大学の松山教授の「オンデマンド電力ネットワーク」の発展形です。そのような時代が到来すれば、私たち一人ひとりが、どのような生活シーンにおいても各自の電力需要をお互いの需要、ニーズやネットワーク上の電力量に照らして、自動的に、かつ、継続的に調整することにより、部分最適と全体最適を同時に実現することができるようになります。これを日本全体で展開しようということで私が提唱しているのが「スマート国民総発電所構想」です。

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1 コメント

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バーチャル発電所に対する質問 (pave future)
2011-07-07 06:47:14
バーチャル発電所の概念を確認したいのですが、省エネもバーチャル発電所の構成に含めることができるという記事を読んだことがありますが、この考え方は正しいでしょうか?
大陽光、自家発電など電気を生み出すものをバーチャルにあわせて発電所にはできるでしょうが、省エネを組み合わせるという概念が理解できません。今100KWHを使っているオフィスがあったとして、それを50WHにすれば削減ではありますが、第3者に電力を提供するという観点では電力を生み出しておりません。
この前提となっているのは、個別需要家に電力の事前割当制のような制度が存在すれば別理解できます。このような制度があるのでしょうか?
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