エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

上海万博開会に思う=「万博とエコマネー」

2010-05-01 15:35:04 | Weblog
本日(5月1日)上海万博が開会されました。テレビ中継を見て、5年前の2005年日本で21世紀初の国際博覧会である「愛地球博」が開催され、EXPOエコマネーが日本内外の人々の関心を集めたことが思い起こされました。
私は、1998年に「エコポイント」・「エコマネー」という仕組みを提案しました。提唱当初は「地域通貨」の運動として全国500以上の地域で活動が展開されましたが、「愛地球博」でのEXPOエコマネーがその後のエコポイント発展の礎となりました。これは、博覧会の会場内外のお店でお買い物の際レジ袋を辞退するとエコポイントがもらえ、一定程度たまるとエコグッズへの交換や植林への寄付に使えるという仕組みでした。6か月の会期中に18万人もの人々が参加し、8000トンのCO2が削減されました。見える化、エコポイントの管理などをすべて情報通信技術で制御するシステムを導入したことも特徴です。
エコポイントが日本全国津々浦々まで浸透するようになったのは、09年度に政府の第1次補正予算事業として省エネ家電買い替え促進のエコポイントが開始され、エコポイント(1ポイント=1円)がエアコン、冷蔵庫、テレビなど省エネ家電買い替えによる市場刺激策、かつ、CO2削減対策として活用されるようになったことです。09年度2次補正予算事業では、エコポイントの対象が省エネ住宅の新築や改修にまで拡大される住宅エコポイントが創設されるとともに、エコポイント事業に実施期限が10年末まで延長されることになりました。
環境省が08年度より実施している制度で、環境配慮型サービスの利用者にポイントを付与する「エコアクション・ポイント(EAP)」もエコポイントの一種です。JCBは環境省のEAP制度を委託事業として運営しており、約15万人の会員を獲得しています。
その他、京都エコポイント(京都府など)、金沢エコポイント(金沢市)、大丸有エコポイント(東京都)など地域独自のエコポイントやアトム通貨などの商店街活性化に資する地域通貨型のものもあります。また、経済産業省は09年11月から10年2月まで、使用済み携帯電話を最高5万円の商品券がもらえる応募券と交換する「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」を実施しましたが、この応募券は実質上のエコポイントです。
農林水産版のエコポイトも登場する方向で検討がなされています。農林水産省は国産の食料品を買った額に応じて企業がポイントを付与し、商品や景品などと交換できる制度を11年度から全国で導入する方向です。すでに、09年、10年と実証実験が首都圏の食品スーパーマーケット、GMSなど等で行われて検証結果も出ています。また、フード・マイレージの取組みもある。日本では、国内有機農業、食料の地産地消を振興してきた環境NGO大地を守る会が「フードマイレージ・キャンペーン」を展開しています。

中国の太陽光発電導入政策と中国メーカーの動向

2010-05-01 00:58:33 | Weblog
 中国は、2005年に制定された再生可能エネルギー法に基づいて、「再生可能エネルギー中長期発展計画」を作成していますが、その中で太陽光、風力などの再生可能エネルギーや原子力の1次エネルギーに占める割合を2020年までに15%にまで引き上げることを謳っています。また、再生可能エネルギー法と再生可能エネルギー発電価格と費用分担に関する管理試行弁法にもとづき固定価格買取制度を導入するとともに、各種の補助金で助成しています。
 このうち中国が力を入れている太陽光発電に関しては、2008年3月国家発展改革委員会が作成した「再生可能エネルギー開発第11次5カ年計画」では、10年待つまでに太陽光発電の総発電容量を300メガワット(MW)に拡大すること、メガワット級の太陽光発電モデルを実施すること等が示されました。さらに具体的な政策として、2009年5月国家エネルギー局は「新エネルギー産業振興策」の概要を作成し、その中で、再生可能エネルギー推進に1300億元を投入し、20年までに総発電容量を1万メガワット(MW)に引き上げ、そのため1740メガワット(MW)の太陽光発電所を建設するとしています。
 このような中で、江蘇省は太陽電池産業が集積し、太陽電池の一大生産基地となっています。サンテック・パワーをはじめとして中国大手企業8社のうち6社太陽電池メーカーが立地し、中国の太陽電池の60%を江蘇省で生産しているほか、民間団体である江蘇省太陽光発電産業協会が産学官連携の中核として活動しています。
 このうち江蘇省無錫市に本社を置くサンテック・パワーは2001年9月設立とその歴史は浅い企業ですが、その成長は驚異的です。赤字企業であったのは設立の翌年までで、その後は倍々ゲーム以上の成長を続け、07年12月期には売上げが13・4億ドル、営業利益が1・7億ドルとなりました。過去5年間で売上げは100倍、営業利益は220倍に急成長した計算です。2005年に中国企業としてはじめてニューヨーク証券取引所に株式を上場し、従業員は全世界で1万人を超します。08年に世界シェアでシャープを抜き、09年は欧州市場の落ち込みなどにより売上げは減少したものの、シェアではドイツのQセルズを抜いて、アメリカのファーストソーラーに次ぐ世界第2位の企業となりました。
 サンテック・パワーは2008年、日本の老舗太陽電池メーカーのMSKを買収し、09年にはMSKが得意としていた建材一体型の住宅向け太陽電池パネルの専用生産ラインを中国に導入し、欧州市場向けに輸出を開始しました。日本市場においても建材一体型の住宅向け太陽電池パネルが投入されているほか、09年よりヤマダ電機の販売チャネルでサンテック製の太陽電池パネルが販売されています。中国の太陽電池メーカーとしては、サンテック・パワー以外にインリーが急成長を遂げています。