エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

デンマークにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(2)

2012-05-30 13:26:30 | Weblog
★特別連載コラム 毎週更新中!ご関心があれば、お読みください。

見えてきたスマートグリッド 新しいスマートコミュニティ構築へ
【第三十五回】「電力大改革時代」に必要なスマートグリッドの「プランB」(12)
 ~デンマークにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(2)~
 http://nls.kankyo-business.jp/c/attOabry656GhTab

新著『スマートグリッド「プランB」~電力大改革へのメッセージ』に対するコメント第5号

2012-05-29 06:42:40 | Weblog
驚きと感動の提案書, 2012/5/28

By tads - レビューをすべて見るレビュー対象商品: スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ (単行本)

このような提案書には珍しく、驚きと感動のある書である。
 そのポイントは、エネルギーがインターネットで共有され、個人でマネージメントのできるYOUTUBE化、すなわちスマートグリットによるエネルギー革命、に気づいた著者自身の驚き、感動が素直に伝わってくること。それをエネルギーの『自産自消』の仕組みに結びつけ、日本の危機を回避して新しい社会をデザインしようとする著者の意気込みが伝わってくることの二点である。
 提案自体も非常に緻密であり、かつ大胆である。単なる家庭の節電による節約ではなく、スマートグリッドを通じた節電と創電から生まれる付加価値を、エコポイントにより家庭や社会に最適配分する、という全く新しい経済学にも結びつきそうな提案は、まさに電力大改革という題目にふさわしいメッセージとなっている。
 著者の加藤敏春氏は、実は、明確な語り口の講演者としても知られている。本書はその加藤氏の学識と経験と感動に裏打ちされたメッセージとして素直に読み進むことのできる提案書である。

今夏の節電対策として各地域でインターネット上の仮想「節」電所の建設が進む

2012-05-27 07:37:33 | Weblog
富山県は7月から「とやまメガ節電プロジェクト」を開始します。今夏北陸電力管内では、①7月2日から9月7日までの5%のピーク電力カットのほか、②早朝(7時~9時)と夜(20時~25時)の節電、③数値目標を定めない一般的な節電が要請されていますが、富山県のこの試みはこうした動きを支援しようというものです。

富山県のプロジェクトでは、県民から節電の実施例・効果を募集し、その電力量に応じてインターネット上に発電所ならぬ仮想の「節」電所を建設します。このプロジェクトへは県民や企業が自由に参加できます。例えば、省エネ型の電球・冷蔵庫に買い換えたといったハード面のほか、エアコンの設定温度を28度にしたなどのソフト面の取り組みをプロジェクトのサイトに登録すると、消費電力約1000キロワットにつきメガ節電所1基を建設します。節電所の建設場所は、登録者の住所を参考にし、サイトの地図上に表示して、地域ごとの節電の取り組み状況が一目で分かるようにするとのことです。

実は、私は3月23日に北陸経済研究所の講演会で「エネルギーのインターネット」について講演をいたしましたが、講演終了後に受けたインタビューが3月30日付北日本新聞(富山県を代表する地方紙)に「エネルギーの“自産自消”を」として掲載されました。ご関心があればご一読ください(http://webun.jp/news/A600/knpnews/20120330/56665)。

富山県と同様の試みは、他の地域においても広がっています。山口県周南市では「エコチャレンジ~市民節電所事業」として、7~10月の各月における電気使用量を市民から募集。昨年と比べて使用量を削減できた世帯のうち、毎月20世帯に賞品を用意します(http://www.city.shunan.lg.jp/section/kankyo/environment/ECstation/ECstation01.jsp)。新潟県柏崎市でも同じような方法で夏の間、市民や企業に節電を後押しする計画です。

新著『スマートグリッド「プランB」ー電力大改革へのメッセージ』刊行のお知らせ

2012-05-25 05:41:48 | Weblog
 この度、『スマートグリッド「プランB」-電力大改革へのメッセージ』を刊行いたしましたので、ご案内させていただきます。小宮山先生(前東大総長)からご推薦をいただきました。
 「プランB」とは、スマートグリッドにより原発全停止・イラン問題などのエネルギー危機からの脱却と日本経済再生を同時に可能にする戦略のことを指しています。そのため、日本全体の電力網を需要応答、エコポイントなどにより、ユーザ指向のスマートなネットワークとするものです。
 具体的には、電力の小売事業解禁、地域独占制の見直し、発送電分離、電力再編などを含めたエネルギー構造改革を控え(本年夏に成案とりまとめ)、原発全停止・イラン問題などの電力需給のひっ迫等の難問を解決するとともに、電力・ガス・石油、情報通信、家電、電機、自動車、住宅、素材などの分野での数十兆円規模でのイノベーションを創出して、日本経済を再生することを目指しています。
 また、私が代表を務めるスマートプロジェクト(http://www.smartproject.jp/)としては、NTTグループ、プラチナ構想ネットワークなどと連携しながら、今夏に家庭部門の節電を推進する「家庭の節電行動~節電エコポイントとネガワット」を進めることとしています。それを基盤に,エコポイントの活用や燃料電池の普及を含めて、国民一人ひとりが発電所となる「スマート国民総発電所」の構築へとつなげる方針ですが、そのような取り組みについてもご紹介しています。
 ご関心があれば、私が渾身の力を込めて書いた本をお読みいただければ、幸いです。アマゾンのサイトは、http://www.amazon.co.jp/dp/4757122977/です。

2012年5月吉日
エコポイント提唱者 加藤敏春拝

<参考> 『スマートグリッドの「プランB」』の目次

はじめに
■序章 「電力大改革時代」の電力網は「プランA」ではなく「プランB」で!
■1章 3・11後の5つの「不都合な真実」とスマートグリッド
■2章 「スマート国民総発電所」は原発15基分以上の効果を生む!
■3章 スマートグリッドの概要と3・11後の新たな展開
■4章 「エネルギーのインターネット」がスマートグリッドの本質
■5章 スマートグリッドの「プランB」の展開
■6章 「プランB」の中核=「ヴァーチャル発電所」
■7章 「プランB」の中核=需要応答とエコポイント
 1 国家プロジェクトとして需要応答を推進するアメリカ
 2 日本における需要応答とスマートプロジェクト等の取り組み
 3 アメリカにおける需要応答は「自動需要応答」へ
■8章 「スマートグリッドの経済学」
 1 長期停滞から脱出するために必要なスマートグリッド&エコポイント
 2 スマートグリッド&エコポイントは経常収支赤字化回避にも役立つ
■9章 スマートグリッドの「プランB」を実現する8本の骨太政策
 1 電力小売市場の完全自由化
 2 日本型の発送電分離の推進:発送電の機能分離と“公道”の開放
 3 スマートメーター、ホームゲートウェイの導入環境の整備
 4 再生可能エネルギー、コジェネなどの本格的導入環境の整備
 5 プラグインハイブリッド車・電気自動車の普及に向けた環境整備
 6 日本版グリーンディールの推進ー民間の初期投資負担軽減策
 7 スマートシティ構築に向けた環境整備:プライバシー保護と参加企業の経済性確保
 8 「エネルギーの地産地消」の実現による地域の自立化
■10章 「スマート国民総発電所」構築に向けたアクションプラン
おわりに


新著『スマートグリッド「プランB」ー電力改革へのメッセージ』に対するコメント第4号

2012-05-24 04:19:21 | Weblog
エネルギー革命のファンタジー, 2012/5/23

By retriever - レビューをすべて見るレビュー対象商品: スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ (単行本)

この種の本としては珍しく、そのストーリーの面白さゆえに一気に読破した。私の大好きな上橋菜穂子の「守り人シリーズ」のような壮大なファンタジーを読んでいるような錯覚に陥った。
そのストーリーは、面白さと壮大さだけでなく、現在と今後の電力エネルギー需給問題に対する極めてリアリティーに満ちた解決策をも提示しているところがファンタジーとの違いだろう。
そのリアリティーの根拠は、著者が情報通信の変遷をよく学び、それをベンチマークとして今後のエネルギー分野の絵姿を描いている点にあると思う。

実は私は35年以上電気通信分野に身をおく人間だが、27年前の自由化、その後の熾烈な競争、インターネットの登場などを間近で体験してきた。翻弄されてきた、という表現が正しいかもしれない。
かつての電話線を家庭までひくことがサービスであった時代から、モバイルインターネットの爆発的な普及とともに、ユーザーがやりたいあらゆることを提供することがサービスとなり、電話はそのひとつのアプリに過ぎなくなった現在に至る情報通信の歴史が、今、電力・エネルギー分野でその数百倍の速度とスケールで起ころうとしている、というのが著者の視点である。
すなわち、著者が「エネルギーのインターネット」と呼ぶ現象は、提供者が主導権を握りサービスを規定しそれを一方的に提供する世界から、ユーザーが自分のサービスを規定・選択できる、ユーザー主導の世界へのシフトである。

著者の加藤敏春氏はまた、行動する理論家でもあるようだ。
今夏の電力不足への具体的な対策として、節電アクションに対する”節電エコポイント”を出すことにより、経済活性化と電力需給問題解決の両方を実現しようと目下様々なセクターを巻き込むリアルな活動を進めているという。
この夏、日本が世界に先駆けて、今後のエネルギー政策に大きなインパクトを与える壮大な社会実験が行われようとしている。そしてそれは日本人の知恵と力強さを世界に見せつける格好の舞台になるに違いない。

デンマークにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(1)

2012-05-22 05:59:50 | Weblog
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見えてきたスマートグリッド 新しいスマートコミュニティ構築へ
【第三十四回】「電力大改革時代」に必要なスマートグリッドの「プランB」(12)
 ~デンマークにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(1)~
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政府決定により「家庭の節電行動2012~節電エコポイントとネガワット」の基盤が形成

2012-05-21 00:24:39 | Weblog
政府は、5月12日「需給検証委員会」報告書(家庭部門に関して①電気使用量の見える化サービスの加入促進、②一定以上の節電を達成した家庭に対するインセンティブの付与など)を受けて、18日「エネルギー・環境会議」等において、「新たなピークカットのためのアクションプラン」が決定されました。
 この中で、新たなピーク料金メニューの設定の促進に関して、①料金によるほか、一定の節電目標を達成した家庭に対してプレゼントを進呈するといった節電インセンティブ施策も考えられること、②需要家が設置すべき機器等の要件は設けないことが謳われました。
 特に、②に関しては、スマートメーターが設置されていない需要家においても、「時間帯別の計量が可能な電子式メーターを設置することで実施可能」と明記されたところであり、スマートプロジェクトが推進しようとしているウェブ活用とHEMSセンサーの組み合わせ方式が積極的に推進できる基盤が形成されました。
 スマートプロジェクトとしては、今後独自のスマートパワープラットフォームを展開し、NTTグループなどとも連携しながら、「家庭の節電行動2012~節電エコポイントとネガワット~」を推進することとしております。
 NTTとの連携に関しては、5月10日付日本経済新聞朝刊に「節電家庭に商品券など贈呈スマートプロジェクトやNTTなど」と題して、記事が掲載されました。その中で、「社団法人スマートプロジェクト(東京・渋谷、加藤敏春代表)やNTTなどが今夏、電力消費を減らした家庭に商品券や省エネ製品などを提供して節電を促す取り組みを実施する。関西電力と東京電力両管内の約3000万世帯を対象にする。スマートプロジェクトは政府の家電エコポイント制度づくりに携わった実績を持つ。NTTと連携し、インターネット上で電力使用量…」と報道されています。
 今後ともご指導、ご支援、ご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。


スウェーデンにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(2)

2012-05-16 06:00:30 | Weblog
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見えてきたスマートグリッド 新しいスマートコミュニティ構築へ
【第三十三回】「電力大改革時代」に必要なスマートグリッドの「プランB」(11)
 ~スウェーデンにおけるスマートグリッドの「プランB」の展開(2)~
 http://nls.kankyo-business.jp/c/atmXacuzjv5ltBac

新著『スマートグリッド「プランB」ー電力改革へのメッセージ』に対するコメント第2号

2012-05-15 06:40:51 | Weblog
今こそ、需要創造型イノベーションを誘発せよ!, 2012/5/13
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レビュー対象商品: スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ (単行本)

 「スマートグリッド革命」(2010年)で、先見性溢れる普遍的な視点でスマグリの本質に切り込んだ著者によるアクション・プラン編。「国民総発電所構想」、「エネルギーの自産自消」、「需要創造型イノベーション」、「課題先端国」といった鮮明なキーワードを駆使した論旨展開は、エコマネー、エコポイントを提唱し、その理念を深く社会化させてきた著者ならではの語り口として読者に迫って来る。
 本書発行日の翌日、ビックカメラによるコジマ電機の買収が発表され、地デジ普及後の業績不振脱却を目指した家電量販店再編劇として大々的に報道された。ただし、本書を読むと、都市型と郊外型の事業者連合による規模拡大以上に重要なのは、昨年のヤマダ電機によるエス・バイ・エル(中堅住宅メーカ)の買収ではなかったかと思えてくる。省エネ、蓄エネ、創エネを駆使した光熱費ゼロのスマートハウスを家電量販店が一括して拡販する。こうしたダイナミズムこそ、エネルギーの自産自消を目指した需要創造型イノベーションの序章ではないだろうか。さらに原発停止で引き起こされるピーク電力の圧倒的な不足で、電力会社としても需要家の主導するデマンド・レスポンス(需要応答)に対応せざるを得ない事態にも突入しつつある。
 「プランB」はすでに発動しているのだ。今ここにあるスマグリ・ビジネスの具体像を渇望するプロフェッショナルに熟読をお勧めしたい。

新著『スマートグリッド「プランB」』への第1号コメント

2012-05-14 00:24:21 | Weblog
エネルギーのYOUTUBEが実現する?, 2012/5/11

By プランBでいこう "kisf4"

レビュー対象商品: スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ (単行本)

著者が、前著「節電社会のつくり方ースマートパワーが日本を救う!」で警告していた状況が、現実のものとなりつつある。
原発ゼロ、原油不足、エネルギー不足で息も絶え絶えになりそうな日本。そして不都合な真実がある限り、賛成反対と関係なく原発存続は難しいのが現実なのだ。経済も政治も先が見えない今の日本で、エネルギーシフトは美しい夢みたいなもの、再生可能エネルギーやスマートグリッドの全面的な実現までには、まだ先が長い、そう思っている人が多いのではないか。

そんばことはないとこの本は教えてくれる。なにも最高の技術を盛り込んだ巨額の設備投資や、ユニークな「ガラパゴス型インベンション」がベストの解決法ではない。それをプランAと呼ぶなら、もっと簡単な方法がプランBだ。プランBとは、たとえば今あるハード・ソフトを上手く組み合わせた、即実行可能な、いわば「iPhone型のイノベーション」。今ある設備や技術を生かして、日本の現状に即して、どうアダプトしていけばいいかの処方箋だ。というより、今の日本は、それを即刻実行に移さなければ、もはやヤバいかもしれない。

電気の話、エネルギーの話は難しい技術の問題と思いがちだけれど、ちょっと発想を変えて、ちょっと仕組みを変えて、ちょっと接続を変えれば、今の仕組みを生かしながらいろいろなことができる。そういう柔軟な発想に踏み出せるかどうかだ。
「金融」や「通信」といった大きなメカニズムが20世紀後半から21世紀にかけて大きく変わった中で、エネルギーについては戦後に電力やエネルギーの仕組みが確立してからは、メカニズムが何も変わっていなかったことに驚愕する。電気は大型の発電所で作られ、一方的に送られてくるものだと私たちは思い込んできた。

そうではない。究極的には、エネルギーはネットワーク化する。そうなれば、受け取るだけじゃなく、売ったり譲ったりすることもできる。自分の乏しいイメージでは、エネルギーの一部は、YOUTUBEのような仕組みになる感じを想像する。

難しい分野なので、自分に正しく理解できていないところがあるかもしれないが、スマートグリッド、固定価格買取制度、再生可能エネルギー、コジェネ、プラグ・イン・ハイブリッドなど、日常断片的に接しているエネルギー用語について、パズルのピースの意味が語りこまれている。著者は90年代のICT革命とも深くかかわり、エコポイントの提唱者でもある。技術だけでなく、社会や経済の全体状況や仕組み、その中にスマートグリッドをどう置くかを考え抜いている。また今後のエネルギー再編で見ていくべきポイントが整理されているので、この分野をよく知りたい人、積極的にかかわろうとしている人、情報を整理したい人には大変役立つと思う。