エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

台湾、韓国、日本メーカーの中国大型液晶パネル市場への参入と現地事情

2010-05-10 00:08:09 | Weblog
 中国大型液晶パネル市場を巡り、台湾、韓国、日本そして地元の中国がしのぎを削っています。
 まず、台湾勢の動向です。台湾からの大型液晶パネル工場の中国本土での建設に関しては、これまで液晶パネル分野では4インチまでのパネル生産しか認められていませんが、2月10日台湾当局は、第6世代以降の大型液晶パネルへの投資を解禁しました。しかし、次世代の工場を台湾に設置すること、全体で3工場に限定するとの条件を付けています。台湾企業は現在8.5世代の大型液晶パネル工場で生産を行っているため、中国大陸への投資は7.5世代以下と予想されます。
 台湾当局の発表を受け、中国大陸への投資を表明している友達光電(AOU)と、鴻海グループの群創光電と3月にも合弁する奇美電子も早急に大陸投資を急ぎたい意向です。
 次いで韓国勢です。既に韓国政府は2009年12月24日、サムスン、LGディスプレイの両社が申請していた中国での大型液晶パネル工場建設を承認しています。LGディスプレイはこれに先立って、広州市との間で8.5世代の工場建設について覚書を調印し、資本金13億4,000万ドルで合弁会社を設立します。LGディスプレイが70%、中国家電メーカーが残りを出資する予定で、家電メーカーは創維です。また、サムスンは蘇州に7.5世代の工場建設を計画中です。
 大型液晶パネル工場については、これまで北京の京東方(BOE)が8世代、昆山の龍飛光電(IVO)が7.5世代、深センの華星光電が8.5世代工場建設を開始しています。さらに、シャープが南京中電熊猫液晶顕示科技に日本の亀山工場の6世代工場の設備を売却するとともに、8世代について南京中電熊猫信息産業集団(南京パンダ)と協議中です。従って、シャープ関連、LGディスプレイ関連、サムスン関連に加え、新たに台湾企業2社が大型液晶パネル工場建設を計画、各社ともに11年から12年にかけて生産を開始する予定です。
 こうした事態に中央政府は、液晶パネル産業を大事に育成したいものの、各社が生産を開始すれば直ちに供給過剰になるのではないかと懸念しています。
 今後は液晶パネルの部材メーカーが中国市場でどのように展開するかが注目されます。現在液晶パネル生産を支えるサプライチェーンは、まだ日本、韓国、台湾での生産が中心ですが、大型液晶パネル工場建設が中国で進めば、部材メーカーが北京、長江デルタまたは珠江デルタ地域のどこに進出するか、中央政府の認可次第と予想されます。
 液晶ガラス基板メーカーの場合は、米系コーニングが既に北京で5世代向けの生産を開始し、日系日本電気硝子も上海で5世代向け生産を開始しています。液晶ガラス基板メーカーは世界的にも限定されていることから、今後、大型液晶パネル工場建設に伴い、こうした企業の設備増強ないしは他企業の中国進出が予想されます。一方、中国系企業も着実に力をつけつつあり、中国最大のブラウン管生産企業だった彩虹集団電子(IRICOグループ)は陜西省咸陽で5世代向け液晶ガラス基板を生産、これまでは外資の牙城だった大型液晶ガラス基板生産に参入する構えです。