エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

温度差発電と廃熱の利用

2009-10-08 01:07:28 | Weblog
 慶応義塾大学環境情報学部の武藤(たけふじ)佳恭教授は、JR東京駅などでも実証実験が行われた「発電床」の開発者ですが、振動エネルギー以外にも存在する無駄に捨てられているエネルギーにも注目しています。
 一般的に、いろいろな場所に存在しながらも無駄に捨てられている小さなエネルギーを電気エネルギーに変換することを「パワー・ハーベスト技術」(power harvesting technology)と呼んでいますが、発電床を手掛けた武藤研究室では再利用エネルギー(Reusable Energy)の1つとして、自然に湧き出ている温泉などの熱と大気温度との温度差を電気エネルギーに変換する「温度差発電」の研究にも着手しています。
 武藤研究室で開発されている温度差発電装置(こちらをご覧ください)は、2枚のペルチェ素子の間の温度差で発電することができる装置で、一方のペルチェ素子にはパソコン用のCPUヒートシンク(CPUの冷却装置)を使うことで室温とし、もう一方のペルチェ素子には保冷剤などの対象物を載せることで両者の間に温度差を作り出して発電します。
 「ペルチェ素子」とは、電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルチェ効果(180年ほど前に発見された物理現象)を利用した素子で、武藤教授の研究では、この素子を温度差を与えると発電する素子として活用しています。
 温度差発電に関しては、従来いろいろな方法で試行錯誤を繰り返してきましたが、現在に至るまで大規模な活用をなされていないのが現状です。
 温度差発電を利用して大規模な発電を行うシステムには、海洋温度差発電があります。これは、海の海面付近の暖かい海水と、深いところの冷たい海水との「温度の差」を利用して発電するシステムです。深海の冷水を海洋表層へ汲み上げ、深海の冷水と海洋表層の温水の間の熱の移動によってエネルギーを取り出すものです。同じような温度差を利用した発電システムに地熱発電などもあります。
 この9月、武藤教授は発電方法で従来より発電効率を高めた装置を試作開発したことを発表しました。材料にヒートパイプを利用するなど熱抵抗を少なくすることで、安定した熱供給を可能にしたものです。今回試作した装置は海水の温度差を利用した大規模プラントなどとは異なり持ち運びが出来るため、家庭やオフィス向けなどでの普及を目指すとしています。 今後神奈川サイエンスパークなどと共同で実用化を進める方針です。

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1 コメント

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全ての自治体のゴミ焼却炉の廃熱に温度差発電を導入しよう (山下由佳)
2010-02-28 17:11:57
自治体は、ゴミ焼却炉を持っていますね。その廃熱が利用できるのではないでしょうか?

高知市は、ヨネッツという熱を温水プールにする施設を持っています。さらに、それに、排水の温度差発電を加えると、エネルギー効率がましますね。

全ての自治体に推進しましょう。!
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