EU27ヵ国首脳は、10月29~30日、ブリュッセルで欧州理事会(EU首脳会議)を開き、COP15での合意形成に向けて前進しました。
まず首脳会議は、議長総括 <
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途上国の温暖化対策費用として、途上国自身の努力、(クリーン開発メカニズムなどの)国際的炭素市場での取引、国際的な公的支援を合わせ、20年までに年間およそ1,000億ユーロ(1ユーロ=約133円)かかるとの欧州委員会の試算に言及し、必要とされる国際的な公的支援総額は、20年までに年間220億~500億ユーロの範囲に達する見込みとはじいています。さらに、後発開発途上国を除いた全世界の国々がこれら支援に貢献すべきだとする一方、EUと加盟国もまた貢献の用意があると明記しました。
また、包括的でバランスがとれ、かつ野心的なコペンハーゲン合意を後押しするために、国際的資金援助の迅速な実施が重要と指摘し、13年までの当初3年間で年間50億~70億ユーロの資金援助が必要との欧州委員会の試算に留意しつつ、具体的数字はコペンハーゲンでの会議結果を踏まえて決定すべきとしています。
欧州委員会のバローゾ委員長は、首脳会議終了後、COP15に向けて、「われわれは今やコペンハーゲンに向けての動きを主導していく立場にあるといえる。コペンハーゲンの会議の成功を危ぶむ声も多く聞かれるが、われわれは会議を成功に導くことができる。EUはこの主導的役割を真摯にとらえている」と発言 <
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また、欧州議会のブゼック議長は首脳会議を前にしてのスピーチで、気候変動との関連で、「EU市民にとって、エネルギー政策は気候変動への取り組みでもあり、エネルギー安全保障の問題でもある」と指摘し、「欧州は20世紀に石炭鉄鋼共同体とユーラトムを必要としたが、21世紀は欧州エネルギー共同体を必要としている」と述べ、エネルギー安全保障の重要性についても言及した。
「欧州エネルギー共同体」というコンセプトが注目されます。