エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカのバイオマス産業の動向と米政府の次世代バイオマスプロジェジェクト

2010-04-23 14:30:06 | Weblog
 アメリカのバイオマス産業の将来動向に関しては、バイオ・エコノミック・リサーチ・アソシエーツ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)が09年2月、次世代バイオ燃料技術の経済効果を分析した報告書「次世代バイオ燃料生産による米国の経済効果:30年までの見通し(US Economic Impact of Advanced Biofuels Production: Perspectives to 2030)」を発行しています。
 この報告書を見ると、連邦政府のRFSに基づく次世代バイオ燃料生産の目標(22年に210億ガロン)が満たされた場合、22年までに約19万人の新規雇用と370億ドルの経済効果が創出されるとの試算が示されています。また、間接的効果も含めた場合、22年までに81万人の新規雇用と1,487億ドルの経済効果を創出、また、22年までに700億ドル相当の石油の輸入が削減できるとしています。
 ただし、これらの雇用と経済効果を発揮するには、09~22年の間に950億ドルの投資が必要だというのが報告書の結論です。
 米政府の対応としては、オバマ大統領は、まず、09年5月5日に米国再生・再投資法(ARRA)に基づいて7億8,650万ドルを次世代バイオマス技術の研究開発や実証プロジェクトに充てると発表し(こちらをご覧ください)、その具体化のため、米エネルギー省は12月4日、19件の「次世代バイオマス・プロジェクト」に対し、約6億ドルを助成することを決定しました。
 内訳としては、18件の新規プロジェクトに総額4億8,300万ドル、07年2月に4,000万ドルの助成を受けたブルーファイアーに対しても、継続支援プロジェクトとして8,100万ドルを提供します。被支援企業は連邦政府以外からも必要経費を調達することが条件となっているため、各企業は民間投資などから、約7億ドルを集める予定です。
 また、農務省は「バイオ精製所支援プログラムの一環として、サファイア・エナジーに対して、5,450万ドルの債務保証を行います。サファイア・エナジーは、藻由来のバイオ燃料精製プロセスの実証を行い、ジェット燃料やディーゼル油などの次世代バイオ燃料を生産する企業です。

住宅エコポイントの経済効果と新政策の必要性

2010-04-22 06:54:33 | Weblog
3月8日から実施されている住宅エコポイント制度(最大30万円相当のエコポイント)の経済効果について、日本総研が試算をまとめました(こちらをご覧ください)。
 それによると、環境対応している新築は比較的高額なものが多く、割引率が低くなるため、需要押し上げ効果は限定的だが、工事費総額が低く、割引率が高くなるリフォーム需要は大幅に増加するとの期待大としています。
 省エネなどを伴うリフォーム費用は平均190万円であるため、住宅版エコポイント制度により工事費は最大15%程度低下することになります。消費税率が2%引き上げられた1997年度直前に駆け込み需要が現れたことを踏まえれば、今回も適用期間の2010年末までにリフォーム需要が急拡大する可能性があるとしています。
 過去の経験則に基づけば、住宅エコポイント制度により、省エネなどを伴うリフォーム件数は60%増加する見込みであり、省エネなどを伴うリフォームの市場規模は6,500億円と推測されるため、リフォーム需要は最大3,900億円拡大する可能性があるとしています。
 ただし、住宅エコポイント制度の対象となる窓・扉、断熱、バリアフリーのリフォーム市場規模は小さいため、住宅市場全体に対する押し上げ効果は3%程度としており、「前年比2割以上も落ち込んでいる住宅市場を押し上げるには力不足」としています。
 家庭部門のCO2削減、省エネ等の必要性は高く、住宅エコポイト制度を契機として、この必要性を住宅産業の活性化に結び付ける新しい政策展開が求められると言えます。

進む「天津エコシティ」の開発投資

2010-04-21 06:34:25 | Weblog
 中国とシンガポールが共同で中国・天津市郊外に開発を進める環境配慮型都市「中国・シンガポール天津エコシティー」の建設が、10~15年後の完成を目指して着実に進んでいます。エコシティーは内外の投資を次々に獲得し、公共住宅の開発などシンガポールの都市づくりのノウハウも取り入れ、環境と経済成長の両立を図るモデル都市を目指しています。
 天津エコシティーは、天津市中心部から40キロ、天津濱海新区内の広さ30平方キロメートルの塩田跡に環境に優しい都市を開発するプロジェクトで、2008年9月に着工しました。シンガポールと中国の両国政府による都市開発共同プロジェクトは、蘇州工業団地に次いで2ヵ所目です。両政府は07年11月、天津市の政策立案、都市計画、環境保護、リサイクルなどで協力することに合意していました。
 環境保全と経済発展の両立を図る環境配慮型のモデル都市を目指しており、初期開発区(広さ4平方キロメートル)は13年に完成し、全体が完成する10~15年後には約35万人が居住する見通しです。
 開発を担当するのは、両国の政府系企業が折半出資して設立した中国・シンガポール天津エコシティー投資開発会社(SSTEC)。同社の最高経営責任者(CEO)は、シンガポール経済開発庁(EDB)役員のゴー・チャイブーン氏が兼任しています。
 両政府はこれまでに、環境都市としてあるべき姿を示した重要業績評価指標(KPI)を設定しています。KPIは、水道水はすべて飲用可能とする、エネルギーの20%以上を再生可能エネルギーとするなど、大気や騒音などの環境数値目標や、住宅、公園、自然保護などの方針を含む26項目からなります。
 SSTECは09年1月22日、シンガポールの建設会社センバワン・エンジニアーズ・アンド・コントラクターズとの間で、エコシティー北部の工業区「エコ・シリコンバレー」に太陽光電池用ポリシリコン工場を建設するためのフィジビリティー調査を行うことで覚書を交わしました。これを皮切りに、同年7月2日、台湾の大手不動産会社、遠雄(ファーグローリー)と提携して、初期開発区と周辺地区での住宅(計1万2,000戸)や商業施設を開発すると発表するなど、都市開発で各国企業と契約や提携関係を結んでいます。
 天津市の黄興国市長は同年8月24日、エコシティーが合計85件(総額140億元、当時は1元=約15円)の投資契約を獲得したと発表しました。
 その後も契約や提携の発表が相次いでいます。SSTECは10月29日、オランダの電子メーカー、フィリップスと一緒にエコシティー内で省エネルギーの照明器具やエレクトロニクス製品の実証実験を行うことで覚書に署名しました。12月1日には韓国のサムスン物産と、環境に配慮したビジネス地区の設計、開発で覚書を交わしています。
 このほかSSTECは7月13日、初期開発区内の川に面した土地に環境に優しい高級住宅群を開発することで、三井不動産と覚書を交わしました。三井住友銀行と日本総合研究所は11月16日、天津エコシティーに環境関連分野の日系企業を誘致する業務を受託するなど、日系企業も同都市開発に参画しています。
 計画では初期開発区に合計2万6,500戸の住宅が開発されます。このうち、シンガポール政府系複合企業ケッペル・グループが開発する民間住宅(約5,000戸)の第1期工事分(約1,760戸)の販売が、10年第2四半期に始まる予定です。SSTECによると、ショールームの近くにはエコカーの展示場も配置され、住宅購入者に環境に優しいライフスタイルを提示していくということです。KPIでは、域内移動手段の9割を徒歩や自転車、公共輸送などにするとしています。また、公共輸送車や一般車もハイブリッドカーなど環境に優しいエコカーの使用を目指しています。
 エコシティーには高級住宅だけでなく公共住宅も建設されまする。13年までに住宅の2割以上を公共住宅とするのが目標です。09年10月に初期開発区内の公共団地(約3,000戸)の建設が始まっており、11年5月には最初の住人が入居する予定です。公共団地の設計は、シンガポール政府系建設コンサルタント会社スルバナ・インターナショナル・コンサルタンツが担当し、シンガポール住宅開発庁も設計や公団住宅の政策立案にかかわる。公共団地の近くには公園やレクリエーション施設、職場を配置するなど、シンガポールの都市づくりのノウハウが活用される見通しです。

今後のスケジュールが目白押しのスマートグリッド

2010-04-20 06:33:16 | Weblog
今後のスマートグリッド関係(日本国内のみ)は、次のように日程が目白押しです。
・3月12日の地球温暖化対策基本法案国会提出後、 「90年比25%減」のロードマップ作成開始
・3月24日 再生可能エネルギー全量買取に関する選択肢提示
・3月下旬 「スマートコミュニティ・アライアンス」(官民推進協議会)発足、数百社参加見込み
・3月末 スマートコミュニティ実証事業対象地域決定
・3月中 スマートグリッド推進のための関係省庁連絡会議発足
・4月8日 総務省関係予算公募締め切り、数十~百超の企業が応募見込み
・4月中 経産省の各種研究会(低炭素送配電、次世代自動車、低炭素ガス、蓄電池システム、スマートコミュニティ関連システムフォーラム)の報告
・4月中 スマートグリッドに関する2030年までのロードマップ公表
・4月中 ニューメキシコ州実証事業・インド実証事業・沖縄・ハワイ実証事業スタート
・4月中 経産省関係予算公募開始、関連予算総額1500億円
・4月中 行政刷新会議における規制緩和推進策公表(グリーンイノベーション関連部分)
・4月中 原口ビジョンのうち「緑の分権改革」関連部分の推進開始(地域の再生可能エネルギー実験、研究会(エコマネーを含む)等)
・5月中旬 原口ビジョンのうちICT関連部分の5年前倒しプラン公表(光の道(NTT経営問題を含む)、ユニバーサルアクセス、ICT利活用法) 
・5月中 「新しい公共円卓会議」の提言公表(エコマネー、地域ファンド等)   
・6月はじめ 新成長戦略ロードマップ(グリーンイノベーション関連部分)のロードマップ公表 
・6月はじめ 連合の国民運動「エコライフ21」スタート
・6月はじめ インターロップ2010でのスマートグリッド・セッション、10万人来場
・6月中? 地球温暖化対策基本法案国会通過?
・・・・
12月上旬 エコプロダクツ2010でのスマートグリッド・セッション、20万人来場

青森六ヶ所から新丸ビルへと「生グリーン電力」供給開始

2010-04-19 05:48:52 | Weblog
 出光興産は本年4月より、三菱地所が所有する「新丸の内ビルディング」に、風力発電などで発電した電力を直接供給する「生グリーン電力」の活用を開始しています。
 出光は現在、日本風力開発の子会社である二又風力開発に出資し、青森県の六ヶ所村で稼働する「六ヶ所村二又風力発電所」を共同で運営しています。発電所の蓄電池でいったん溜めた電気の出力を調整し、これにより遠隔地の電力需要に応じた供給が可能となります。
 環境付加価値を証書として購入することで、自然エネルギーによる電気を使ったとみなせる「グリーン電力証書」の仕組みは一般的ですが、自然エネルギーをオフィスビルに直接、送電・使用する取り組みは国内で初めてです。
 新丸ビルでは、すべての使用電力を「生グリーン電力」でまかなうことで、年間のCO2排出量が約2万トン削減されます。
 送電には、東京電力や東北電力に委託して電気を運んでもらう「託送」と呼ばれる制度が使われます。発電コストと託送料金を合わせた電力料金は公表されていませんが、企業イメージのアップと、東京都が2010年からスタートさせる温室効果ガス総量削減義務への対応が図れることから今回の「生グリーン電力」の活用になったものです。
 三菱地所と出光興産は、東京都、青森県、千代田区の連携により、都市のCO2削減によって地域の経済活性化・雇用拡大を目指す「再生可能エネルギー地域間連携」への参加も検討しています。

日本の官民連合でインドでスマートコミュニティ構築

2010-04-18 15:25:58 | Weblog
 日本政府はインドが計画している次世代送電網「スマートグリッド」の整備事業について、日本企業の受注を後押ししています。官民で企業連合を形成し、2011年にデリーとムンバイ付近の都市で実証実験に着手し、12年以降は十数の都市で実用化を目指しています。
 総事業費は数千億円に達する見通しで、次世代送電網に関する日本の技術を海外に輸出する初の事例となります。政府はインドでの実績を足がかりに、同事業の受注をアジアや中東などの国々にも広げたい考えです。
 インド政府は地域全体で省エネ化を進める「スマートコミュニティ」の構築を計画しています。鳩山由紀夫首相がインドを訪問した昨年12月末、両国の政府関係機関がスマートコミュニティに関する覚書に調印しました。デリー、ムンバイ間(総距離約1500キロメートル)に敷設される鉄道事業に資金面で協力する見返りとして、日本が優先的にスマートコミュニティ事業を受注できることになりました。
 11年に開始する実証実験は、デリーとムンバイの付近にある2、3の都市が対象です。送電網の整備や通信機能付きのスマートメーターの設置などで1都市あたり数百億円を投じます。実験の結果を見極めたうえで、12年以降にはインドの十数の都市で実用化に踏み切る計画です。
 

EU-ETSの今後の展開

2010-04-17 20:32:56 | Weblog
 EU-ETS(EU Emission Trading System)は、2005年1月にスタートした世界初の温室効果ガス排出に関わる国際的な取引システムです。京都議定書で定められた温暖化ガス削減目標を達成する手段のひとつとして、EUが独自に行っているもので、経済成長等への影響を最小限に抑えつつ、EU域内の温室効果ガス削減を効率的に進めることを目的にしています。
第1段階のコミットメント期間は2005~2007年の5年間(対象となる温室効果ガスはCO2)、第2期間は2008~2012年の5年間(メタンやフロンなど他の温室効果ガスも対象とする)、2013年からは第三期間に移ります。
排出枠取引のスキームは、2004年秋までにEU加盟国が登録簿を用意するよう義務付けられ、割り当てられた排出許容量を達成できた企業と未達成の企業間で排出権を売買できるという仕組みです。
EU25カ国内の燃焼プラント、精油所、コークス炉、鉄および製鋼所、およびセメント、グラス、石灰、レンガ、セラミックス、パルプおよび紙を作る工場より合計12,000を越える発生源をカバーしています。
第三期間に関しては、欧州委員会が2008年1月23日に提案したEU-ETS第三期間に向けた制度改定を含む「気候変動・エネルギー政策パッケージ」が同年12月17日に欧州議会で、2009年4月6日にはEU閣僚理事会で採択されました。
第三期間における排出量取引の特徴は、次の通りです。
第1に、石油化学品、アンモニア、アルミニウムの生産におけるCO2の排出と、硝酸、アジピン酸、グリオキシル酸の生産における亜酸化窒素(N2O)の排出、アルミニウム生産におけるパーフルオロカーボンの排出、CO2回収・貯留(CCS)を新たに対象とすることとなりました。
ただし、中小企業の負担を軽減するため、加盟国には、CO2排出量が過去3年間の平均で2万5,000トン未満の施設については対象外とすること(オプトアウト)が認められています。燃焼施設については、これに加えて、定格熱入力が35MW未満の場合のみとする条件があります。
なお、航空分野については、加盟国内の空港に発着する全便から生じる温室効果ガス排出量を2012年から対象とするための改正指令2が2009年2月2日に発効しました。
第2に、産業界にとっての予測可能性を考慮し、取引期間は従来の5年間から8年間に変更しました。
第3に、排出権の割当方法を変更します。第一期間と第二期間では、制度の柱として加盟国が国内割当計画(NAP:NationalAllocation Plans)によって排出権の割当総量と施設への配分方法を決める方式をとってきていますが、各国の割当方法に大きな差が出るため公正さに欠け、制度が複雑になるなど、多くの問題が指摘されてきました。
このため、加盟国間の割当ルールのばらつきを避ける観点から、第三期間からはNAPを廃止し、EUレベルでキャップ(排出枠上限)を設定するアプローチへと移行します。
第三期間はEU全体のキャップを第二期間平均から毎年1.74%ずつ削減し、2013年の19億7,400万CO2換算トンから2020年には17億2,000万CO2換算トンに引き下げます。これは2005年比で21%削減に相当します。第三期間中のキャップの年間平均は、第二期間のキャップから11%の削減につながる18億4,600万CO2換算トンとなります。
第4に、取引制度の効率と透明性を高め、制度をシンプルなものとする観点から、原則的に有償割当(オークション)に移行します。
第1フェーズでは全体の95%、第2フェーズでは全体の90%とこれまではほどんどの排出枠が無償で割当てられてきましたが、今回の改正により、2027年までに段階的にオークションに全面的に移行することが決まりました。
移行期間として一部に無償割当を行いますが、無償割当はEU共通のルールに基づいて実施することになります。産業部門別に同じ活動を行う施設に対しては同じルールを適用する方式となる予定で、欧州委員会が2010年末までにルールを策定します。
発電部門では2013年から原則的にオークションに移行しますが、電力送電網の相互接続の状況や発電における石化燃料の割合、国民一人当たりのGDPなど一定の条件を満たす加盟国政府は、既存の発電施設に関しては全面オークションの適用除外とすることができます。その場合も、2013年に2005~2007年の検証済み排出実績の30%以上をオークションとし、2020年までには段階的に全面オークションに移行しなければなりません。この適用除外制度を利用する加盟国政府は、無償割当される排出枠の市場価値にできるだけ近い額を、電力インフラの改善やクリーン技術、エネルギーミックスとエネルギー供給源の多様化に投資する義務を負います。
第三期間から新たに制度対象となるCO2の回収・貯留(CCS)については、CO2を回収し地中に封じ込めることが排出削減に相当するとみなし、排出権の償却を行わなくてよいインセンティブが設けられたため、排出枠の無償割当は行われせん。
これら以外の産業部門では、2013年にオークションの割合を20%とし、その後2020年に70%、2027年に100%と段階的に全面オークションへと移行します。ただし、これらの産業部門でも、一部、無償割当が継続される部門があります。すなわち、EU域外企業との競争が厳しい産業は、排出権取引制度を持たない国に比べて生産コストの面等で不利になり、域外に生産を移管するリスクがあり、こういった産業では全面オークションの適用除外となります。
このようなリスクは「カーボンリーケージ(carbonleakage)」と呼ばれ、欧州委員会は2009年末までにカーボンリーケージの影響の大きい産業部門を特定する予定となっています。発電部門については、EU-ETSのコストが電力価格に転嫁されれば一部の発電施設もカーボンリーケージのリスクがある場合があり、このようなリスクを回避するため、加盟国政府はコスト上昇を補助できることとしています。
オークションにかけられる排出枠の加盟国への配分では、まず全体の88%を、各国の第一期間の排出実績に沿って配分します。次に、残る12%のうちの10%を、経済的に後れている加盟国の低炭素経済の実現を支援することを目的(EUの「結束・成長」の目的)に、経済格差を考慮して一部加盟国に追加で配分します。さらに、残る2%は、早期に排出削減を進めた国として、2005年の排出実績が基準年の実績を20%以上下回った加盟国に配分されます。これらの追加割当がない国はデンマーク、ドイツ、アイルランド、フランス、オランダ、オーストリア、フィンランド、英国の8カ国となります。
オークション収入の使途について、加盟国政府は50%以上を一定目的に使用するよう求められています。使途は、グローバル・エネルギー効率・再生可能エネルギー基金(Global
Energy Efficiency and Renewable Energy Fund)や適応基金(AdaptationFund)への拠出、再生可能性エネルギーやCCS、エネルギー効率、クリーン技術等の技術開発支援などが挙げられています。
第5に、制度への新規参入者(施設ないし航空会社)向けにEU全体の排出枠の5%が留保されていますが、CCSおよび革新的な再生可能エネルギーの実証プロジェクトを支援する目的で、当該留保分のオークション収入の一部が最大12の実証プロジェクトの建設・運営費用に充当されます。
第6に、EU域外国におけるクリーン開発メカニズム(CDM)および共同実施(JI)の排出削減プロジェクトからのクレジットについて、2008~2020年のEU全体での削減量の50%を上限に設定しています。

前原国交相「住宅建築物の省エネ基準強化とエコポイント拡充」

2010-04-17 06:03:57 | Weblog
 16日の前原国交相の記者会見での発言は、以下の通りです。住宅建築物の「ネットゼロ・エネルギー化」に向けた動きが今後本格化します。

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 住宅建築物の省エネ対策につきましてのこれからの取組についてお話をさせていただきます。
 これまでも住宅エコポイント等の普及促進に取り組んでまいりましたけれども、地球温暖化対策としてその取組としては、新築の住宅、建築物の100パーセントを省エネ化することを目指して、省エネ基準への適合を義務づけていくことが今後必要だと考えております。
 このように住宅建築物の省エネ化を加速させるために新たな投資を促して、住宅市場の活性化にも繋げていきたいと考えております。
 具体的には住宅エコポイントの拡充と省エネ化の普及促進策を一段と強化をして、省エネ基準の適合率を引き上げていく、更には将来の省エネ化の義務付けを視野に入れまして、省エネ化の状況等を見極めつつ大規模建築物等から段階的に実施をするといった手順で取組を進めていくことが大事かと思っております。
 本日、閣議の前に直嶋経済産業大臣とお話をいたしまして、今後は両省が提携をしてやっていこうということで環境省との協力のもとに、有識者や実務者等によります住まいのあり方や住まい方も含めまして、これからの取組の方向付けや具体的施策の立案に向けての方向性、省エネ基準の義務化に向けて、その対象時期、支援策等について検討する場を設けて本年内にも成案を得ることを目指すということにしております。
 今、1,000億円の住宅版のエコポイントというものがございますけれども、これを経済産業省、環境省と3省でやっておりますけれども、もう少し、例えば太陽光パネルとかコジェネとか、いろいろなところも含めて将来的には100パーセントの省エネ住宅を目指していくと、また今は省エネ住宅の観点でありますけれども、耐震化も勿論バリアフリー化もしっかりとやっていくということで住宅改良のインセンティブをいろいろなかたちで設けて投資を促し、住宅市場の活性化とともに、エコ、そして耐震面での安全、そしてバリアフリー、高齢化社会への対応、こういったものをしっかりと進めていきたいと考えております。

地球環境税に対する疑問

2010-04-16 21:30:22 | Weblog
 3月12日に国会に提出された温暖化対策基本法案に中には、地球環境税の導入を検討するという条文が盛り込まれていますが、東京大学大学院経済学研究科井堀利宏教授は、地球環境税に対して、次のような疑問を呈します(週刊ダイアモンド2009年12月19日号「環境税なくともCO2抑制や削減推進は可能 冷静な議論を」)。
①民間の将来に対する市場(先物市場)や排出権取引で対応することが可能
②日本など限られた国だけが導入してもその効果は疑わしい。日本の環境税に中国、米国、途上国がただ乗りして、彼らが環境対策をなおざりにすると、世界全体としての効果は小さくなってしまう
③価格弾力性が低いので、環境税よりも規制の方が直接的に目標を達成しやすい
④環境対策を実施する財源を環境負荷に対する課税に求める必要はなく、環境対策に必要な税収を別に集めてもかまわない
⑤環境税を導入するのであれば、環境汚染への正しい負荷価格を設定するものでなければならないが、どれだけ負荷を上乗るのが適当かわからないし、日本だけで実施しても効果は不確定である
 井堀教授は「総じて、環境税を導入するメリットが大きい根拠は、まだ十分には示されてはいない」と結論しています。

東京電力もスマートメーター導入

2010-04-16 00:01:01 | Weblog
 東京電力は、10年10月から東京都清瀬市、小平市の約9万世帯の家庭に多機能な新型電子式メータ=スマートメータを導入します。東京電力は、スマートメーターの導入により期待される具体的な効果については、①顧客サービスの向上(電気の使用状況を30分単位で記録し情報提供、停電復旧作業の迅速化、顧客の利便性向上、プライバシー保護)、②計量関係業務の効率化と説明しています。
 2~3年かけて状況を検証し、2013年度以降に10年程度をかけて、供給区域の全2700万世帯のメーターをスマートメーターに切り替える予定です。東京電力は「当社は、今回の実証試験の結果に加え、経済産業省が行う次世代送配電ネットワークの構築を目指した実証事業などへの積極的な参加を通じて、今後、新メータを活用した次世代送配電ネットワークの構築についても検討してまいります」としています。