エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

日本の地域における再生可能エネルギー・スマートグリッド展開の参考となるネバダ州

2010-04-04 14:51:11 | Weblog
 シリコンバレーは今やITとETが結合したST(スマートテクノロジー)が集積した「スマートエネルギークラスター」へと変貌していますが、そのような変貌による「シリコンバレーモデル」がフロリダ州(オランドなど)、テキサス州(オースチン)、マサチューセッツ州、コロラド州(フォートコリンズ)など全米各地に広がりつつあります。
 このようなSTによる「スマートエネルギークラスター」形成の動きは、いずれ日本の地域(川崎、四日市、堺、北九州など)に波及してくるものと思いますが、これから「スマートエネルギークラスター」の形成を目指す日本の地域やそれを支援する日本の政策当局に参考になるのがネバダ州の政策展開です。
 ネバダ州は、再生可能エネルギー利用をギャンブルや鉱業に次ぐ経済振興策と位置付け、税制優遇措置を中心とする促進策を積極的に展開しています。関連企業の誘致にも熱心で、州政府の太陽光発電導入プロジェクトへの外国企業の参入も歓迎しています。
 以下がポイントです。
①現在、州政府は再生可能エネルギー利用を、ギャンブル、鉱業(金やリチウムの生産量は全米第1位)に次ぐ第3の経済振興策として位置付けています。2008年の導入量(能力ベース)は、太陽光発電が34メガワット(MW)で全米第4位、太陽熱発電(64MW)と地熱発電(333MW)がカリフォルニア州に次いで第2位です。
 ネバダ州には、ラスベガスを中心とする南部と、リノや州都カーソンシティーを中心とする北部の2つの経済圏があります。ラスベガスを中心とする地域では、太陽光や太陽熱発電などのソーラーエネルギーの利用が普及しています。一方、北部は気候的にソーラーエネルギーの利用が活発ではなく、代わりに豊富な地熱資源を利用した地熱発電が普及しています。
②再生可能エネルギー関連企業の誘致に関しては、ラスベガスを中心とする南部にソーラー関連企業を誘致したいと考えています。最近では、州政府が進める「ネバダ陸軍州兵施設スーパーソーラー計画」(3ヵ所の陸軍州兵施設に太陽光発電施設などを導入するプロジェクト)の実施企業として、州内のシエラ・ソーラー・ワンとともに、スペインのゲスタンプ・アセチム・ソーラーが参加しました。外国企業のプロジェクトへの参加を歓迎しています。
③09年米国再生・再投資法(景気対策法)の予算として、ネバダ州には約3,500万ドルが割り当てられました。この資金で公立学校の省エネ化などの事業を行うとともに、再生可能エネルギー関連装置の製造業者に対する低利貸し付け事業などを実施しています。15年までに州政府関連建物の電力消費を20%削減する、との省エネ目標を掲げており、公立学校の省エネ化は、この目標に向けたプログラムです。
 また、クリーンエネルギー関連の製品製造や教育訓練を支援する産学官の連携機関(center of excellence)をラスベガスやリノ周辺に設置する計画で、今後、このための連邦や州の予算を要求していく予定です。
④・再生可能エネルギー関連企業を誘致するための具体的な支援策としては、09年7月1日に施行した州法(Assembly Bill 522)に基づく減税措置が挙げられます。これは、10MWを超える能力を持つソーラー、風力、バイオマス、地熱、水力などの再生可能エネルギー利用発電について、a.商用で発電する場合、不動産税と所得税を最長20年間にわたり最大55%減税する、b.発電装置の販売に関する売上税を3年間にわたり減税する、という2つの制度からなります。
 そのほか、省エネや新エネ関連の助成策として、グリーンビルディングに対する税額控除および再生可能エネルギーシステムにかかる資産税の免除があります。
⑤再生可能エネルギー利用発電の大量導入には、送配電網の見直しなども必要ですが、スマートグリッド関連では、州最大の電力供給企業NVエナジーによるスマートグリッド関連の実証プロジェクトが09年10月、景気対策法に基づく連邦政府の「スマートグリッド投資グラント」の対象になりました。州都カーソンシティーなどで130万個のスマートメーターの設置、変動電力価格制の導入、家庭内ネットワークの設置、送配電線のモニタリング、分散型再生可能エネルギー利用発電の導入、電気自動車の走行試験などの各種実証試験を実施する大型プロジェクトです。連邦政府の助成額が1億3,800万ドル、NVエナジーの負担額と合わせた総事業費は2億9,800万ドルになります。

加藤

北九州市の「ヴァーチャル発電所構想」とエコポイント

2010-04-04 05:03:40 | Weblog
 北九州市は、環境パスポートを市内全域で使えるようにするとともに、IT化を図りつつ、エコポイントの対象・利用範囲を順次拡大するとともに、市民自ら温暖化防止へ参加できる仕組みとして、イベントや市内製品・サービスの提供等で、環境パスポートと連動したカ-ボンオフセットを新たに実施します。
さらに、インターネット上で自分の世帯のエネルギー使用量をリアルタイムで表示し、省エネ量の「見える化」を図る市民参加型の「ヴァーチャル発電所」である「北九州市民節電所」の構築に着手するとしています。この「北九州市民節電所」においては、省エネ量はポイント化し、エコポイント・システムを積み立てる仕組みを構築する計画です。