エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

カリフォルニアのワイナリーにも新たな環境認定制度

2010-04-02 22:07:21 | Weblog
 カリフォルニア州で、ワイナリーとワイン用ブドウ生産者双方を対象とする新たな環境認定制度が創設されました。新たに創設されたのは、ワイン製造業業界団体のワイン協会と、ワイン用ブドウ生産者団体のカリフォルニアワイン用ブドウ生産者協会との共同組織であるカリフォルニア・サステイナブル・ワイン生産連盟が創設した「カリフォルニア・サステイナブル・ワイン生産認定制度(CCSWP)」です。
 CCSWP設立の主な背景には、同生産連盟が2002年に導入した「サステイナブル・ワイン生産プログラム(SWP)」の一層の推進があります。SWPは、ワイン用ブドウ生産からボトルワイン製造に至る全生産工程で、環境と自然資源保全と社会的責任を念頭に置いた経営管理を奨励する、参加者の自主性に依存する任意プログラムです。法的強制力はありませんが、業界内での普及速度は目覚ましく、10年1月13日現在で、州内ワイン用ブドウ園地総面積の68.1%に達する35万8,121エーカー(約15万5,000ヘクタール)、年間ワイン総生産量の62.5%に相当する1億5,000万ケースのワイン生産にかかわる1,566の経営体が、既にSWPが奨励する227の自主的な審査を行い、節水型灌漑設備の導入、再生可能エネルギー使用率の拡大など経営体制の改善に取り組んでいます。
 SWPの特色は、取り組みに関する出発ラインが一律ではなく、個々の経営体の実情に応じて設定されている点にあります。各生産者やワイナリーが置かれた環境は、自然条件、経営規模によって多様なため、各自がそれぞれの目標を定め、マイペースで経営体制改善に臨む枠組みです。
 CCSWPへの参加は任意ですが、参加に当たっては、持続可能性向上を促す58項目の行為を既に一定レベル以上で実践していることが条件とされています。これら58項目は、SWPの基盤をなす227のベストプラクティスのうち最も基礎的な部分で、大気と水質保全、節水、省エネ、減農薬、生態系保全などの分野に関するものです。
 CCSWP参加が認められた経営体は、227のベストプラクティスに基づいて、自らの「持続可能レベル」を定期的にチェックし、改善に向けた年間計画を策定、実行しまする。そして、初年度と、その後3年ごとに同生産連盟による定期監査を受け、その結果を基に、継続的にレベルアップを図るという仕組みです。同生産連盟監修のガイドブックによると、単一経営体のブドウ園あるいはワイナリーが本認定制度に参加した場合、参加後3年間の手続きにかかる典型的な経費は、1,000~2,000ドルと推計されています。
 カリフォルニア州のワイン業界が、環境問題に積極的に取り組む背景には、全米最大の人口を抱え、日々増大する都市部との摩擦に苦悩する州ワイン業界の現状があります。カリフォルニア州は全米で最も環境保全規制が厳しい州として知られていますが、都市部の人口増加に伴って、各種農作業に伴う騒音やホコリ、農薬散布、あるいはワイナリーから排出される汚水や悪臭への規制が、今後さらに厳格になる見通しがあるためです。

オバマ大統領の2010年経済報告とスマートグリッド&再生可能エネルギー

2010-04-02 06:20:17 | Weblog
 オバマ大統領は2月11日、2010年大統領経済報告 <こちらをご覧ください> を公表しました。報告は、a.金融危機とその対応策を振り返る「救出(rescue)」、b.旺盛な個人消費と政府支出に頼ったマクロ経済の「不均衡の是正(rebalance)」、c.経済成長の新たな基盤づくりのための「再構築(rebuild)」、の3つをテーマとしています。
 政権1年目は危機対応やヘルスケア改革など特定の政策課題に追われ、包括的な経済運営の指針は示していませんでしたが、今回の報告は政権発足後初の経済運営の青写真といえます。
 このうち、クリーンエネルギー経済への移行に関しては、一部地域への石油依存度の引き下げや地球温暖化ガス削減といった目標に加えて、新規産業の創出や、民間の研究開発の誘発、製造業の復権、安定的で質の高い雇用の創出にもつながるなど、経済面の利益も強調しています。
 研究開発支出の増加は、不均衡是正のための設備投資の促進と成長力の強化の両面で、オバマ政権の経済政策では重要な位置を占めています。米国の官民合わせた研究開発支出のGDP比(2.68%、 いずれも07年)は、スウェーデン(3.60%)、韓国(3.47%)、日本(3.44%)などに比べて低い点を強調し、この比率を3%まで引き上げるとしています。
 重点分野はスマートグリッド、再生可能エネルギー、次世代自動車、健康状態の把握・管理技術の4つです。これらに加えて、貿易自由化の促進が生産性を上昇させるためにも必要と訴えている点も大きな特徴です。