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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

Happy Minors を飾ったら幸せだろうなぁ

2016-01-10 09:06:26 | Weblog
 新年に相応しい「Happy」とか「New Year」のタイトルはないかと棚を眺めていると「Happy Minors」に目が留まった。聴き込んだレコードはタイトルを見るだけで音が聴こえてくるが、このアルバムは、タイトルを目にすると思わず笑みがこぼれる。少年が3人並んだだけのジャケット・デザインなのだが、表情や服装、ポーズが何とも愛らしい。バート・ゴールドブラットの手による逸品だ。

 トリオや3管で構成されたレッド・ミッチェルの初リーダー作で、、どの曲でもレナード・フェーザーをして「ジャズにおける最高のベース・ソロイスト」と言わしめたプレイがたっぷり聴けるのが嬉しい。おそらくジャズ喫茶世代ならポール・チェンバースと並んで数多く聴いているベースだ。毎日どこかの店でかかるといわれたピアノトリオの大名盤ハンプトン・ホーズのトリオや、これまたアンドレ・プレヴィンの人気盤「キング・サイズ」で腸に響く音を鳴らしている。リーダー作こそ少ないが、参加したセッションとなると毎週1枚ずつ話題にしてもゆうに3年はかかるだろう。それだけミュージシャンに信頼の厚いベーシストだ。

 初リーダー作に相応しいメンバーが揃っている。ジャケットに並んだ文字のサイズからもビッグネイムとわかるボブ・ブルックマイヤーとズート・シムズ、そしてコンテ・カンドリにクロード・ウィリアムソン、スタン・リーヴィー。この作品はズートが参加していることで話題を呼んだが、そのズートを大きくフューチャーしたのが「Scrapple From The Apple」だ。パーカーの愛奏曲で、循環コードのシンプルな作りからジャムセッションでよく演奏される。ここでは短いテーマのあと少々テンポを落としてベースを刻んでいるのだが、バップナンバーとなるとやたら張り切るウィリアムソンとの掛け合いが面白い。

 このアルバムはかなり昔にジャズ喫茶で片面しか聴いたことがなく、CDで全曲聴いたのは最近のことだ。ベツレヘムの10吋オリジナル盤はマニア垂涎の的で、とある中古レコード店の店主曰く、このレコードはディスクよりもジャケットの状態が良いほうが高く売れるという。一度は部屋に飾ってみたいジャケットだ。きっと「Happy」な気分だろうなぁ。「Minor」だから無理な話か。
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14 コメント

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スクラップル・フロム・ジ・アップル・ベスト3 (duke)
2016-01-10 09:10:20
皆さん、今週もご覧いただきありがとうございます。

「スクラップル・フロム・ジ・アップル」のサビは「I Got Rhythm」、サビ以外は「Honeysuckle Rose」のコード進行を使ったパーカー節が光る曲です。パーカーの初演は1947年のダイアル・セッションです。トランペットはマイルス。その後、パーカーは何度も演奏した曲です。パーカーは殿堂入りですので、今週はパーカーをはずしてこの曲のお気に入りをお寄せください。

管理人 Scrapple from the Apple Best 3

Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)
Dexter Gordon / Our Man In Paris (Blue Note)
Jim Hall / Live! (Horizon)

レッド・ミッチェルは「Happy Minors」録音から2年後に「Presenting Red Mitchell」でもこの曲を取り上げております。余程気に入ったのか、未聴ですがウォーン・マッシュとのセッションでも録音しているようです。

他にもソニー・スティットやフィル・ウッズ、ソニー・クリスのパーカー派をはじめ、ゲッツ&マリガン、トミー・フラナガン、キース・ジャレット、クリス・ハンター等々、多くの名演があります。

今週も皆様のコメントをお待ちしております。

「Scrapple from the Apple」の意味をご存知でしょうか。目からうろこの答えを寺井珠重さんが紹介されております。
Scrapple from the Apple: バードと料理のはなし

http://jazzclub-overseas.com/blog/tamae/2015/06/scrapple-from-the-apple.html

"Scrapple From The Apple" Stan Getz, Gary Burton, Steve Swallow, Roy Haynes. (1966)

https://www.youtube.com/watch?v=wlSg2f58w_I

今思うと凄いメンバーです。バートンの魔法みたいなマレットさばきに聴衆はまばたきもできません。
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Scrapple from the Apple (KAMI)
2016-01-10 17:16:40
dukeさん、こんにちは。
この曲はパーカーのダイアル・セッションが素晴らしいですね。

お気に入りは、
Our Man In Paris/Dexter Gordon

Blue's Moods/Mitchell

Stitt Plays Bird/Sonny Stitt
ブルー・ミッチェルも良いのですが、大好きなデックスを一番に挙げたいです。
正月休みは毎日デックスを聴いていて、デックスは最後のハード・バッパーだと考えていました。酔っぱらいフレーズと揶揄されることもありましたがデックスのルーズな感じの吹きかたが堪らなく好きです。

ブルー・ミッチェルのアルバムはウィントン・ケリーの参加も大きいと思います。
彼のスウィング感はとても心地よいです。

スティットは流石だと思います。パーカーの二番煎じと批判される事が多かったスティットですが聴き込むとオリジナリティーのある演奏だと思います。

ところでこの曲は川嶋哲郎の吹き込み(Days Of Bird)もありますが、dukeさんは彼のスクラップル・フロム・・・をどう思われますか?
川嶋は相当実力があり音色も良いのですが、私にはあまりバップには聴こえず少々退屈です。
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川嶋哲郎 (duke)
2016-01-10 17:38:00
KAMI さん、コメントありがとうございます。

ダイアル・セッションはマイルスが参加している点でも歴史的価値がありますね。

トップにデックスがきましたか。酔っぱらいフレーズがいいのですよ。これが正気だったらあのようなタイム感は生まれないでしょう。

そして私がトップに挙げたブルー・ミッチェル。気持ちよさそうに吹いているのが一番です。

スティットは素晴らしい解釈をしております。比較して聴いてはこの良さが分からないでしょう。スティットはスティットでしょう。

川嶋哲郎の「Days Of Bird」は聴いておりませんが、生は二度ほど聴いております。椎名豊のバンドで来た時にリハをのぞきに行きました。ボヘミア・アフター・ダークをやってみようと私が言ったら、「俺、知らない」と。これには驚きましたが、もっと驚いたのは椎名豊が「G7で」と声をかけて演奏を始めたら即座に付いてきました。素晴らしいアドリブを展開しておりました。流石です。

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Unknown (bassclef)
2016-01-11 20:35:02
dukeさん、みなさん、明けましておめでとうございます・・・ちょい遅いか(笑)
scrapple form the apple~いかにもバップ!てな感じのいい曲ですよね。他のパーカー曲と比べると、テーマメロディのリズムのイントネイションが割りと素直なので、アマチュアのセッションなんかでも人気が高いように思います。
パーカー抜きで・・・(うう、厳しい:笑)好きなヴァージョンは・・・というと、以下。
1.Presenting Red Mitchell~あ、これdukeさんがレッドミッチェルのもうひとつのヴァージョン有り、と紹介されたコンテンポラリーの「ベースの上に猫」のやつです。テナーのジェイムズ・クレイが好きなので。それと、管楽器用に創られたメロディを、ミッチェルがベースでしなやかに弾いていて、テナーとのユニゾンが(同じメロディを2つ以上の楽器で奏でる状態)実に素晴らしい! レコードからの聴感バランス上、テナーの音が大きくて、ウッドベースの音がやや小さめに聞こえるので、アンプのヴォリュームをちょいと上げ気味にして聴くと・・・このベース弾きの巧さがしっかり判って、もう最高です!(ベースの音がやや小さめなのは、私の手持ちがキング盤だからかもしれません。オリジナル盤を聴いてみたい!)
2.フィル・ウッズ、セシル・ペイン、デューク・ジョーダンらの『バーズ・ナイト』(savoy)~これ、1957年8月のライブ録音です。上記3人のソロも皆、いいが、dsアート・テイラーもノリノリ、ベースのウエーデル・マーシャルもでかそうな音を出してる。録音はヴァン・ゲルダーで、ゴキゲンなライブ演奏が骨太な音で楽しめて、こりゃ、最高です!
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パーカー信奉者 (YAN)
2016-01-11 22:00:09
dukeさん
皆さま

こんばんは。

パーカーナンバーはやはりパーカーの信奉者の演奏の中から。自分の好みで恐縮ですが・・

まずは、フィルウッズ。
この曲をやっているアルバムは何枚かあるかと思いますが、
何といっても「Phil Talks with Quill」
アルバム自体が好きなアルバムですが・・・・
ウッズもいいし、クイルもいい。パーカー相手だと2人掛りで一人前かも?
それにリズムセクションもけっして有名どころが揃っている訳ではないですが良いプレーをしていると思います。

それに、パーカーといえばスーパーサックス。
スタジオ録音もありますが、自分が気に入っているのは東京でのライブ録音の「The Japanese Tour / Supper Sax」
このアルバムは記事にしました ↓

http://blog.goo.ne.jp/yan111949/e/ce9f418e3867b7f4201d740ba90cbe69

このステージの一曲目がScrapple from the appleです。

ライブだとソロパートも長くフランクロソリーノも好演です。
こちらはサックス5人がかりでパーカーのアドリブの再演です。
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スティット (azumino)
2016-01-11 23:24:06
dukeさん こんばんは

こんな有名曲がまだ残っていたのですね。まだまだ奥が深そうです。たくさんあって、どれにしようか迷いましたが、まずは、スティットのヴァーヴ盤が慣れ親しんでいるので、初めに挙げてみました。

①Sonny Stitt / Sits in with The Oscar Peterson Trio (Verve)
②Keith Jarrett / Up for It (ECM)
③Blue Mitchell / Blue's Moods (Riverside)

スティットのPlays Birdももちろんよいです。ヴァーヴ盤は吹きまくっていますが、音の切れ味がよく、ピーターソンのイントロといい、思い入れもあるのでトップで。スタンダード曲をやっているキース・トリオのこのライブ盤は一段とパワーアップしている感じがします。ミッチェルの演奏は、ケリーも含めて端正でスイングしていて大好きです。あと、挙がっていないものでは、ワーデル・グレイの演奏が、リラックスしていて、忘れ難いです。
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愛猫家御用達 (duke)
2016-01-12 18:11:06
bassclef さん、今年もよろしくお願いします。

トップに「Presenting Red Mitchell」がきましたか。ベツレヘムより内容がいいですね。ロレイン・ゲラーの参加が嬉しいレコードです。私も手持ちはキング盤ですのでオリジナル盤のベース音はわかりませんが、おそらくもう少し大きいでしょう。ベースに注目するなら物足りないかも知れませんね。愛猫家御用達のジャケットです。

「Happy Minors」といい「Presenting Red Mitchell」といい、ハロルド・ランドと組んだ「Hear Ye」といい、この時期のミッチェルは演奏内容も素晴らしいのですが、ジャケットも語っております。

「バーズ・ナイト」もありましたか。一目でサヴォイとわかるジャケットですので覚えておりますが、これは持っておりません。ジャズ喫茶では何度か聴いておりますが、あまり強い印象はありません。CDで出ているようですので聴いてみましょう。レコードの迫力はないでしょうが、ライブの雰囲気は伝わってきそうです。
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パーカー派 (duke)
2016-01-12 18:33:51
YAN さん、こんばんは。

パーカー派からウッズとクイルがきましたね。これも選ぼうかと迷ったのですが、ストックホルムのインパクトが強くてこの曲は少しかすんでしまいました。この曲もアルバム全体も知性あふれる演奏です。

そして、スーパーサックス。「The Japanese Tour」は聴いておりませんが、このバンドが登場したときは驚きましたね。アドリブの再演はいかがなものか、という意見もありましたが、パーカーのアドリブ自体、古典ですし、それをアンサンブルで再現したことが凄い。パーカー信奉者、それもテクニック抜群な強者が揃っているアメリカならではのグループです。日本でもジャムセッションで似たような企画がありますが、迫力に欠けます。
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トップは誰か (duke)
2016-01-12 18:52:31
azumino さん、こんばんは。

パーカーを外すと割れるのは予想しておりましたが、ここまでトップが重ならないのも珍しいですね(笑)

トップにスティットのヴァーヴ盤。これはピーターソンのバックがいいですね。プレイズ・バードといい勝負です。録音数が多い割に好不調がないスティットだけに選ぶならサイドメンの好みかも知れません。

そしてキース、一応聴いております。あまり好みではありませんが、紆余曲折してのスタンダード回帰ですので評価できます。

ブルー・ミッチェルのこのレコードは、「I'll Close My Eyes」だけで語られますが、他のトラックにも注目してほしいですね。

ワーデル・グレイはメモリアルですね。貴重な音源です。
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Unknown (寺井珠重)
2016-01-13 18:15:25
Dukeさま、あけましておめでとうございます。再び、拙投稿をご紹介くださりありがとうございます!

 このところ深夜までエプロンかけて家事しているので、なかなかお礼を申し上げることもできず失礼いたしました。
 
 Scarapple...私ややっぱりトミー・フラナガン+ジョージ・ムラーツの『バラッズ & ブルース』です。
 2番目はOverSeasの寺井尚之(p)+宮本在浩(b)がライブで演るヴァージョンです。手前味噌ですんません。生音でスイングするハーモニーは脳みそをスッキリさせてくれます。

 というわけで、今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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